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10月02日-一般質問-02号

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  1. 新潟県議会 1984-10-02
    10月02日-一般質問-02号


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    昭和59年  9月定例会 本会議昭和59年10月2日(火曜日)  議事日程 第2号    午前10時 開議第1 県政に対する一般質問   ―――――――――――――――――本日の会議に付した案件 日程第1 県政に対する一般質問(高山巌君、米山繁男君、吉田六左エ門君、福島富君、金子一夫君、阿部信      夫君)   ――――――――☆――――――――出席議員(63名)       石井  修 君  斎藤 耐三 君  東山 英機 君  菊田 征治 君       白沢 三郎 君  滝口 庸一 君  大河原 勲 君  滝口 恵介 君       阿部  喬 君  中原 八郎 君  上原  仁 君  宮崎 光衛 君       増子 宏一 君  斎藤 林一 君  今井 良松 君  須藤 誠也 君       三富 佳一 君  丸山  保 君  水倉 庄市 君  相川 平松 君       中野  清 君  南雲 順一 君  星野伊佐夫 君  高橋  正 君       広井 忠男 君  馬場潤一郎 君  細貝 幸也 君  小笠原正男 君       五十嵐淑郎 君  猪股悌二郎 君  斎藤 勝夫 君  轡田 勝弥 君       高山  巌 君  中川 秀平 君  嵐  嘉明 君  目黒 武尚 君       布施 康正 君  小林  脩 君  小柳 新一 君  武田 武夫 君       古川  渉 君  岩村卯一郎 君  山岸 敏夫 君  高橋 十一 君       小林 静夫 君  祢津 文雄 君  遠山 作助 君  角屋 久次 君       帆苅 二三 君  渡辺  勇 君  梅沢 秀次 君  小川 義男 君       椿  利策 君  中川 良一 君  米山 繁男 君  今井 敬弥 君       石塚 光雄 君  竹内十次郎 君  吉田六左エ門君  高橋 虎夫 君       福島  富 君  金子 一夫 君  阿部 信夫 君   ―――――――――――――――――議員以外の出席者  知事          君  健男 君  副知事         金子  清 君  出納長         笠原健一郎 君  総務部長        有磯 邦男 君  企画調整部長      大川  進 君  民生部長        田中 俊雄 君  衛生部長        服部  坦 君  生活環境部長      山崎 浩司 君  商工労働部長      高橋柵太郎 君  農林水産部長      山田  稔 君  農地部長        垣内 勝弘 君  土木部長        佐々木隆男 君  新潟東港開発局長    佐藤 俊雄 君  病院局長        織原 義男 君  企業局長        長谷川正明 君  教育長         久間 健二 君  人事委員会委員長    成澤  猛 君  人事委員会事務局長   網干 道雄 君  警察本部長       斉藤  隆 君  地方労働委員会事務局長 野沢 英雄 君  監査委員事務局長    佐藤  昭 君   ――――――――☆―――――――― △午前10時3分開議 ○議長(岩村卯一郎君) これより本日の会議を開きます。   ――――――――☆―――――――― △日程第1 県政に対する一般質問 ○議長(岩村卯一郎君) 日程第1、県政に対する一般質問を行います。通告順により発言を許します。 まず、高山巌君の発言を許します。   〔高山巌君登壇〕(拍手) ◆高山巌君 私は、自由民主党を代表いたしまして、財政問題その他、県政の当面する重要案件について質問いたしますので、知事及び関係部長の簡明率直な答弁をお願いするものであります。 まず、財政問題でありますが、最初に9月補正であります。 昨年度の9月補正は、わずかに約4億2,000万でありました。今回は、約71億9,000万であります。県予算が通年編成の方針をとっておるにもかかわらず、このような大型補正となったのは、今冬の260億円の被害を出した異常豪雪災害の復旧関連、特に土木部、農地部等の災害復旧事業費が大幅に組み込まれ、さらに高率な前倒し計上がなされたからであります。 災害復旧は、再度災害防止の観点から、早期に復旧が完了することを望むものですが、国の財政事情等から、3カ年復旧として、3・5・2の比率が標準進度とされております。近年では、景気対策による前倒し執行により、初年度の復旧進度が高められているところであります。本年度も、初年度に6割の執行が可能な事業費を9月補正で計上されたところでありますが、今後の見込みとして、12月補正計上もあり得るのか。さらに大幅な前倒し執行は、県内景気対策の面からもメリットがあり、歓迎すべきであります。昨年度は、年度内事業消化ができず、約73億円余りも繰り越された例もあります。本年度はこの轍を踏まないよう、設計、発注などに万全を期されたいのであります。これについての県の自信のほどをお聞かせ願います。 次に、59年度最終の収支見通しについてお尋ねをいたします。 普通交付税の本年度本県配分は約1,726億円余りで、前年比2%減で済み、県当初見込みより41億円の増加となりました。また、県税収入につきましても、景気の回復を反映して、法人事業税の好調を中心に、この7月末の県税は、調定ベースで前年同期の7.9%増の約952億円となっており、今後もこの増勢は継続するものと思われます。したがって、普通交付税、県税収入ともに見込み率を大幅に上回ることになり、本県財政運営上、干天の慈雨ともいうべきであります。まだ12月補正における人勧の行方など不確定要素はありますが、本年度最終収支見込みをお尋ねいたします。 また、58年度末で85億円あった財政調整基金が、本年度末でどのくらいの積み残しになるのか。さらに、58年度は約15億7,000万円の実質単年度赤字を出したのでありますが、本年度は黒字転換の可能性を期待するものであります。朗報をお聞かせ願いたいのであります。 新年度、60年度県予算編成方針についてお伺いをいたします。 県の新年度予算の編成に当たっては、国の予算編成との関係を無視できません。特に、地方交付税に対する依存率が北海道に次いで2番目、また、東京、北海道に次ぐ公共事業王国と言われ、自主財源に乏しく、国依存度の高い本県財政にとっては、国の予算編成の動向は最大の関心事であります。8月末、国の60年度予算に対する各省の概算要求が締め切られました。その基調とするところは、昨年に引き続き財政再建、国、地方を通じての行財政の合理化、効率化に置かれております。まず、この国の予算編成概要について、県はどのように受けとめておられるかをお聞きいたします。 次に、最大の焦点となると思われる地方自治体への高率補助金削減案についてお伺いいたします。 これは、9省庁、32事業を対象として、国の補助率を1割カットするというもので、総額2,362億円の削減をねらっているものであります。しかも、厚生省関係の社会保障費関係が約9割を占めるところに問題があります。この削減案については、国が地方に負担をしわ寄せするものとして、全国知事会などでも反対を強めていますが、もしこの国庫補助率の変更が実施された場合の本県への影響額、特に影響の大きい生活保護費、児童保護費や公立学校施設整備費などの削減額についてお伺いをいたします。 特に、これらの事業は、国の補助率が減ったからといって後退させるわけにはいかない事業でありますが、その不足財源をどこに求めるのか。加えて、この補助率の削減は公共事業費にも及ぶことはないのか。さらに、このような国の地方財政への転嫁は、国の地方への権限移譲と表裏一体であるべきと思うのでありますが、知事の所見を伺いたいのであります。経済の動向は一応回復基調にあるとはいえ、県をめぐる財政事情が好転するとは思われないのでありますが、来年度の県予算の編成方針、また、59年度と同様に、各種補助金の一律削減などの実施を考えておられるのかお聞きをいたします。 また、この際あわせて、今後の老人福祉対策の一つとしての特別養護老人ホームの整備計画について伺っておきます。これについては、昭和60年次までに収容定員を2,200人にすることを目標にしております。その現況と達成見通し。また、老年人口の増加に伴い、寝たきり老人の増加が予想される中で、本県の場合、特別養護老人ホームへのニーズはかなり高いと思われますが、今後の整備方針を伺っておきたいのであります。 次に、財政問題に関連いたしまして、今県会に条例提案されました核燃料税と、あわせまして、鳥屋野潟整備基本方針を伺いたいと思うのであります。 核燃料税については、前6月県議会の我が党の代表質問において、概略的には取り上げて答弁をいただいておりますので、主として核燃料税の法的性格とその要件となる財政需要、換言するならば、その使い道を中心に伺いたいと思います。 実は、核燃料税につきましては、原子力発電推進の立場に立つ我が党では、県連政調会エネルギー部会が、全国原発関係県13県から成る自民党原子力発電推進都道府県連絡協議会と提携をして、福島、福井、島根の各県などの更新と、本県や静岡県など原発新立地県の本税新設を、通産、自治省などに要望運動を続けてきたところであります。幸いに県の御協力と相まって、来年度から全国10番目に導入実施の運びとなり、本県財政にも少なからぬ貢献をすることができますことを喜びとするものであります。 さて、本税は、原発立地県である本県が、発電用原子炉の設置者である東京電力に対して課す法定外普通税となっております。したがって、法的解釈からするならば、目的税でないので、電源三法交付金などと違って、使途に制約を受けない、また、普通交付税の基準財政収入額にも算定されない財政収入ということになるわけであります。県財政逼迫の折から、一般財源として熱い目が注がれている所因であります。この重要な財源の使途については、既に柏崎、刈羽地域関係市町村からも強い要望が出されていると聞きますが、我が党としても、本県原発推進のための啓発と安全対策とあわせて、多年にわたります行政と民心対策の苦労に耐えてこられた地元市町村の環境整備にも重点配分されるべきものと考えますが、県の対応をお尋ねをいたします。 ついででありますので、この際、柏崎刈羽原発立地と稼働により、県並びに関係市町村にどれくらい財政的寄与があることになるわけでありますか、概略お聞きをしておきます。核燃料税については、60年度から64年度まで5年間で総額48億3,000万円でありますが、関連して原発設置に伴う他の県税、すなわち法人事業税、法人県民税合わせて5年間の増収はどのくらい見込まれるのか。このほか、いわゆる電源三法交付金はどの程度になるものか、お聞きをしておきます。また、核燃料税の本県の条例案では、税率は7%とされておりますが、既に課税を実施しておる他県の税率等の状況と、条例施行までの日程について伺いたいのであります。 次に、鳥屋野潟整備の基本方針であります。 まず、鳥屋野潟の水質浄化及び公園化の早期実現を求める市民団体約11万5,000人の署名、陳情が、去る9月11、12日、知事及び新潟市長に対し、それぞれ行われたとお聞きをしております。この市民の要望について知事はどのように受けとめられておるのか、お伺いをいたします。 さらに、鳥屋野潟の整備計画でありますが、潟内民地の取り扱いについては、私権抹消せずに整備可能であるかのような一部の新聞報道がなされております。従来から県は、潟内民地の私権抹消が必要だとして、昭和56年4月に鳥屋野潟整備計画推進連絡協議会から区画整理方式で推進されたいとの答申がなされたと聞いております。知事としては、この方式で進めることを基本方針とすることについて変わりがないのかどうか。以上2点について知事のお考え方をお聞きをいたします。 次に、本県の行政改革、これに関連いたしまして上越、佐渡両支庁の廃止構想についてお伺いをいたします。 本県の行政改革は、知事が全国に先駆けて専心取り組んでこられただけに、自治省がこのほど発表した地方自治体の行革の実態調査でも、全国最優等生として認められております。出先機関の統廃合では、57年度以降で、北海道、大阪の経済事務所の廃止に始まり、労政事務所、蚕業指導所、計量検定所、農業改良普及所の統廃合など、既に11件の出先機関の統廃合を行い、近くには本庁の生活環境部の統廃合が予定をされております。 また、57年度から始まった職員定数削減では、計画よりも2カ年早く5%削減を達成し、60年度、61年度にはさらに2%上積みの削減に踏み切ると聞いております。この県の組織の統廃合を初めとする事務事業の見直しによって、56年度からの3カ年間で約7億円余の財政効果をもたらしております。君知事が、本県こそは行革の先進県と胸を張られるのもうべなるかなであります。今後も、小さな県庁で最大の行政効果に向けて邁進されることを期待するものであります。 さて、君知事は、去る20日の記者会見において、県行政機構の見直しに関連して、上越、佐渡両支庁の廃止方針について発言をされました。知事は、廃止の理由として、通信、交通手段の急激な変革により本庁との連絡事情が一変したことを挙げておられます。また、支庁が中2階的な変則的な行政形態になっているということも指摘をされておるわけであります。この知事の廃止理由自体については、県行政全般的な視野から見た場合、私も一応理解し得る点もあります。また、行革には、とかく総論賛成、各論反対がまかり通るとき、すぐれた政治的先見性を発揮して、あえて蛮勇を振るうことも必要でありましょう。 私は、行政改革に当たっては、3つの条件を前提として考えるべきであると思います。 1つには、関係者、地元、県議会の十分な理解を得ることであります。廃止の理由の是非は別として、25年間地元と県のパイプ役として親しまれてきた両支庁であります。今回の知事の発言は余りにも突然であり、地元関係市町村では一様に戸惑いを示しておられます。この点、いわゆる政治的根回しを飛び越えた知事の発言の真意を伺いたいのであります。 2つ目には、実際的行政効果が上がることが必要であります。単なる機構いじりではないということであります。現在、上越支庁は総務、農政、地域振興の3課制、職員数54名、佐渡支庁は総務、農政の2課制、職員数29名であります。業務的には、両支庁とも本庁との連絡、経由的業務が主体で、市町村への許認可権限を持っておりません。したがって、知事のいわゆる中2階的な組織の性格もありましょう。しかし、災害時における国、県の出先機関、市町村など地域の連絡調整を図る業務、農政事務所業務、上越支庁の場合は、地域振興課の中で労政関係の業務を担当しております。また、住民と直結した業務には、海外渡航の旅券発給事務もあります。これらの業務は、全面的に本庁に上げられないとするならば、支庁を廃止しても、各部局の単独事務所の存置となれば、実際には職員の減員、経費の節減にはどの程度の効果が期待できるのか。本庁事務レベルですらこれから検討に入るわけでありましょうが、概略お聞きをいたします。 3つ目には、行政サービスの低下を来さないということであります。この点について、行政サービスの実質はもちろん、せっかく上昇傾向にある上越、佐渡地域の地域振興に水を差すことにならないよう十分配慮する必要があります。 以上3点を中心に、まず知事の真意と構想をお聞きし、今後の議会審議を通じて我々もこの問題を煮詰めていきたいと考えるものであります。 次に、このたび発足を見た臨時教育審議会のあり方などを中心に、本県教育との関連など二、三の問題について質問をいたします。 我が党が教育の荒廃を指摘し、その対応を急ぐべきであるということを要望してきてから、既に10年を経過しております。初め、教育の荒廃の存在を否定してきた職員団体ですら、ここ二、三年に至りこれを認め、全国教育研究集会などでも、主なるテーマとして対策に苦慮しておる状況にまで追い込まれてまいりました。 私は、この限られた質問時間の中において、今日の教育荒廃をもたらしたものは何かというような追及論議はいたしません。また、現在の教育基本法や教育制度が、占領行政が支配した戦後の混乱期に米国から押しつけられた教育理念に基づくものといった逃げ口上も使いません。しかし、現在の教育を何とかしなければならないという素朴な気持ちは、今や国民の総意とも言うべきであります。時代の要請でもあります。 戦後、既に40年近く続いた現在の教育制度は、生徒の非行、暴力、落ちこぼれなどの教育のひずみのほか、制度的には、6・3・3制の是非、偏差値、共通1次問題など、さらには教科書無償交付、学校給食制度など、いろいろな角度から見直すべき段階に入ったと言うべきであります。まさに戦後教育総決算の時を迎えたと言っても過言でないと思います。今回の臨教審発足の状況的基盤はここにあるわけであります。 さて、8月に公布された臨時教育審議会設置法に基づき、委員の構成も決定し、いよいよ21世紀を展望し、教育全般にわたっての未来性を求めた改革、検討を求める臨教審がスタートしたわけであります。内容的には、1つ、6・3・3制を含む学校体系の見直し、複線化、弾力化。2つ目には、国際化、高度情報化社会に対応し、人間性重視の教育内容の見直し。3つ目には、家庭、社会教育など、学校教育周辺問題。4つ目には、幼児から退職後までの生涯教育のあり方。5つ目には、日本の精神的土壌、日本固有の生きざまなどの検討などが、これからの審議の対象になっていくものと思われます。 我々は、戦後教育の精神的欠落として、1つ、「日の丸」、「君が代」否定に表徴される愛国心、祖国観念の歪曲。2つには、生徒各人の能力差を認めない無原則な平等主義の弊害を指摘するものであります。イデオロギーを排除して、教育の政治的中立を確保しながら国民合意の教育改革をなし遂げるということは、一朝一夕でできることではありませんが、いわば教育の一大行革を目指し発足した臨教審のこれからの審議、答申に大いに注目するものであります。そこでまず知事から、教育のあるべき姿、また臨教審に寄せる期待、評価について所信を伺いたいと思います。 次に、本県教育の抱える問題、国の段階は段階として、県の段階で改革、推進あるいは見直すべき教育諸問題が多々あると思うのでありますが、その中から数点について教育長にお尋ねをいたします。 「教育は人なり」と言われるように、教育の原点は、教師がすぐれた人格と指導力によって生徒を伸ばしていくことにあります。したがって、教員の養成、また、採用、研修などには十分力点が置かれるべきであります。最近、文部省においても、教員の資格、採用試験の改善強化など検討中と聞きますが、県教委としても、新規教員採用試験と決定時期を民間に合わせて繰り上げるべきであります。現行では、6月に志望受け付けを始め、7月には採用試験、第1次の採用内定は11月であります。これに対して民間企業では、9月にはおおむね就職内定が終わります。これでは人材が集まりません。教員の研修についてもさらに充実を図るべきではありますが、特に新採用教員研修は早期に、少なくとも4月4日ごろまでには実施すべきであります。 第2点は、6月県会においても問題にいたしました高校入試制度及び入試業務の厳正化についての対応であります。 第3点は、先端産業の進展に伴う本県高校工業科の見直しと増設であります。我が党が多年懸案にしておりました建築設備コースは今年度新設されましたが、最近、本県産業のエレクトロニクスの進展、電子関連企業の進出から、電気系学科の充実が必要となってきております。三条市からも今議会に、電子関連学科の設置の陳情が出ております。その他、半導体技術の開発からして、既設機械科の再検討、また、情報処理のニーズにこたえる情報技術科の新設などについて方針をお尋ねします。 最後に、総務部長に、私学助成金についてお尋ねいたします。 本県高校教育において私学の占める位置は重要であります。この私学助成金は、今年度は財政事情から生徒1人当たり年額4%減額され、その分だけ父兄負担がふえ、私学経営にしわ寄せをされております。60年度においてさらに減額ということになるならば忍びがたいことであります。少なくとも本年並み、またはそれ以上を確保すべきでありますが、県の方針をお伺いをいたします。 次に、農業問題として、最近の米の需給動向と水田利用再編対策を取り上げて質問をいたします。 最近の米の需給動向についての質問の第1点は、本年の米の需給事情について、県はどのようにとらえているかであります。まず、本年の水稲作況指数が、9月15日現在、全国平均で105、やや良であります。本県でも104で、平年並みからやや良ということで、一息ついたことは喜ぶべきであります。しかしながら、昨年産米が全国で平年を下回り、これで4年連続して不作となったことから、本年10月の59米穀年度末の在庫量が全国でわずか10万トン程度になるという厳しい状況の見通しとなり、米の需給事情の逼迫、特に夏場以降、新米の出回りまでの端境期対策が懸念されるに至りました。幸いに、これまでに末端における混乱もなく、新米の出回りとともに需給事情は平常に復したと聞きます。しかし、国民に、米の供給について不安を与えた感は否めず、食管制度の運用上、適正を欠いたものと言わざるを得ません。この米の需給事情に対する県の認識はどうか。 第2点は、本年産米の早期集荷対策の内容及び県の対応についてであります。米の早場地帯と遅場地帯とでは、新米の出回りも8月から11月と異なります。したがって、本年のような端境期対策に当たっては、全国的に過不足の出ないよう、万全の計画的操作が必要であります。最大の早場県である本県に対し、食糧庁長官が来県し、早期集荷を要請したのも、その期待のあらわれであります。国の農政に対し、言うべきことは言い、やるべきことはやるというのが本県農政の姿勢であります。長官の早期集荷の要請に対し、知事が全面的に協力を約束し、米生産県の供給責任を果たす姿勢を示したことは全く同感であります。国も県の誠意にこたえ、早期集荷に対する助成措置を講ずるとも聞いております。知事の所見をお聞きをいたします。 第3点は、本年産米の検査の現況と県の対応についてであります。早期集荷のためには、万全の検査体制が前提となります。特に、本年は、豊作によって大量の出荷が見込まれ、早期集荷のためには、例年以上に万全の検査体制をしかなければなりません。9月25日現在で約23万トン、出回り見込みの3分の1以上が検査を終えております。例年を上回る速いペースで進んでいるとお聞きをいたします。しかし、一方では、出回りに対し検査が対応し切れず、相当量が農家の庭先に滞貨しているという実情もあります。検査実務は国の仕事でありますが、県産米の円滑な流通と庭先滞貨からの不正規流通米、言いかえるならばいわゆるやみ米防止の観点から、県としても検査の円滑な実施について何らかの措置を行うべきであると思いますが、県の対応をお聞きをいたします。 第4点は、加工米の集荷の見通しであります。他用途米の主食転用により不足する加工原料用米全国集荷目標数量は20万トンであり、本県は1万3,300トンであります。他用途米の主食用政府買い上げ決定の経過からして、立場上、全中や系統組織も目標達成に懸命であります。これについて県の見通しをお伺いいたします。 次に、水田利用再編対策についてお尋ねをいたします。 昭和53年度から米の需給均衡化対策の一環として始められてまいりました水田利用再編対策は、米の生産抑制をより徹底しながら、不足する農産物の生産を拡大し、総合的な食糧の自給力向上を図るため、おおむね10年間の長期対策として行われているところであります。今年度から開始された第3期対策には、新たに他用途利用米、また在庫積み増しなどを制度化するとともに、全国潜在生産量を1,375万トンと見込み、これから需要量1,040万トンと在庫積み増し量の45万トンを加えた数量を差し引いて、要調整量を290万トンとし、これに見合う転作等の目標面積を60万ヘクタールとして実施されておるわけであります。全国に誇る良質米の主要地である本県も、恵まれない営農条件に苦しみながらも、鋭意努力してきたところであります。 こうした中で、53年産米の臭素事件に端を発し、韓国米輸入、他用途利用米の主食転用など、一連の国の農政の目まぐるしい変動に対し、これまで真剣に転作に取り組んできた農家や関係者に、国の農業政策に対し不信を抱かせ、一転して転作政策の見直しが論ぜられるに至りました。しかし、4年連続の不作等により、米の在庫水準が低下したことは事実でありますが、長期的に見れば、米の潜在生産量は依然として需要を大幅に上回っておる現況にありまして、米の過剰基調にあることは変わりないものと考えられます。 今問題となるものは、転作政策の見直しについて、大幅緩和の期待が出始めておることであります。国会において、総理や農林水産大臣の生産調整緩和を示唆するかのような見解表明により、拍車がかけられたことであります。これについては、その後、本年、全国的豊作との見通しから、農水省は、転作等目標面積の緩和はあったとしても小規模程度という態度を示しておるものと思います。一方、既に市町村等において、明年度の転作等への取り組みに入っておる段階であります。 そこで、農林水産部長にお聞きをいたします。(発言する者あり) ○議長(岩村卯一郎君) 質問時間が超過しておりますので、結論を急いでください。 ◆高山巌君(続) はい。第1は、明年度における転作等目標面積について、大幅緩和の期待感と全国的な豊作とを関連して考えるとき、県はどのような見通しを持っておるのか。第2は、先ほども触れました他用途利用米を、本県においては101の市町村において取り組んだと聞いておりますが、その最終結果がどのようになったのか。また、転作カウントの面において、契約不履行から転作未達成になる市町村が出ないのか。 以上、大変時間を超過いたしましたが、おわびをしながら私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。(拍手)   〔知事君健男君登壇〕 ◎知事(君健男君) 今冬の異常豪雪に伴います災害復旧事業費で、9月補正に加えて、12月補正予算で再度追加があり得るかとの御質問でありますが、今後の国の動向次第によるものと考えております。 また、事業の繰り越しにつきましては、今後の天候に左右されることはもちろんでありますが、ただ、昨年は12月補正であったものを、本年は9月補正しておることでもあり、年度内消化に最大限の努力をしてまいる考えでございます。 次に、本年度の最終収支見込みでありますが、職員給与改定の問題がありまして、例えば1%の給与改善につきまして15億円以上の一般財源が必要でありますので、現時点では不明確な点が多い関係上、確かなことを申し上げることができませんが、税収がこのまま順調に推移すれば、今年度は当初予算で見込んでおりました状況よりかなり改善されるものと考えております。しかしながら、本年度予算は44億円もの財政調整基金の取り崩しを前提としておるものでありまして、このまま取り崩しを行えば、年度末残高は約55億円となり、全国の最低クラスまで減少することとなります。したがいまして、来年度のこともありますので、今年度は可能な限り財調の取り崩し額を圧縮する方向で努力したいと考えております。 次に、国の予算編成の概要についてでありますが、59年度末の国債残高が120兆円を超える見込みであるなど、国の財政状況は極めて厳しい状況にありますので、政府におきまして3年連続マイナスシーリングを設定するなど、財政再建のために、行財政の合理化、効率化を図ろうとすることは当然であろうかと考えております。 しかしながら、高率補助負担率の一律削減は、本来、事務事業そのものの見直しをすることにより行われるべき行財政改革を、単に地方ヘツケ回しをすることにより実行しようとするものでありまして、これは容認できないことと考えております。もし、概算要求どおりの削減が実行されますと、市町村分も含めた本県全体では、58年度決算ベースで約35億円余の影響を受け、このうち生活保護費補助金では11億円余、児童保護費等の補助で10億円余り、公立学校施設整備費補助金で3億円余、それぞれ削減されることとなります。 また、公共事業が削減対象になるかどうかは、現時点でははっきりしておりませんが、そのおそれは多分にあるものではないかと心配しておるところであります。その影響につきましては、補助率が2分の1を超えているものだけに限って1割削減されたとした場合でも、県の一般公共事業分だけで約63億円の被害を受けることになります。 また、地方への権限移譲問題についてでありますが、要はその権限移譲の中身が問題でありますし、また、事業実施に見合う一般財源が補助金にかわって十分補てんされる必要があると考えております。 次に、来年度の予算編成方針についてでありますが、来年度も本県にとりましては極めて厳しい財政環境になるものと予想されますので、財政当局に対しましては、事務事業の徹底した見直しを行い、行財政改革を一層進めるとともに、限られた財源の重点的配分を図るためにも、国に準じてマイナス5%シーリングで予算編成作業を行うよう指示したところであります。なお、各種補助金につきましては、個別に見直しを行うこととし、一律削減については現在のところ考えておりません。 次に、特別養護老人ホームにつきましては、昭和60年度までに2,200床の整備計画を進めており、今年度末には2,121床、96.4%が整備され、目標年度に計画を達成できる見通しであります。しかし、人口の高齢化に伴い、寝たきり老人はこれからも増加の傾向にありますので、現在の計画達成後も、引き続き特別養護老人ホームの整備を進めたいと考えております。整備の目標といたしましては、本県の場合、65歳以上人口に占める寝たきり老人の発生が2.8%程度であり、施設入所を必要とするお年寄りは、このうちの約30%と見込まれますので、昭和65年度における65歳以上人口の推計値約37万4,000人に対し、3,140床となるように、明年度から昭和64年度までの5カ年間に、新しく1,200床を整備したいと考えております。 核燃料税の使途についてでありますが、本税の創設の趣旨にかんがみまして、財政状況の許す限り、地元市町村の区域内における財政需要に対しまして、優先的に充当する方向で検討してまいりたいと考えております。 次に、鳥屋野潟の問題でありますが、約10万人の署名簿とともに提出された鳥屋野潟公園化を進める会からの陳情書、及び約1万人の署名簿とともに提出されました山潟地区自治連合協議会からの陳情書がございます。いずれも鳥屋野潟の現状を憂い、鳥屋野潟の浄化と公園計画の早急な実現を要望するものであります。今回このような大きな住民運動が展開されましたのは、鳥屋野潟問題が新潟市民にとって緊急かつ重大な問題となっておることを反映したものと受けとめております。県及び市では、従来から河川事業、公園事業、下水道事業等、鳥屋野潟整備に力を注いできたところでありますが、今回の陳情の趣旨を踏まえまして、県としても、今後新潟市等地元の積極的な協力を得ながら、鳥屋野潟整備の早期実現に向かって一層努力を払う所存であります。 また、潟内の私有権抹消の基本方針についてでありますが、湖底地の私有権の半数近くが共有地である上、権利者の所在不明や相続未了などがあり、また、各筆の境界確定が極めて困難なことなどから、地権者の3分の2以上の同意が得られれば事業が成立する土地区画整理事業が最良の方法と考えております。このことにつきましては、昭和56年4月の答申以来変わっておりません。 次に、上越、佐渡支庁の問題でありますが、先般の記者会見における私の発言をめぐりまして、その後、一部に混乱を招きましたことは御指摘のとおりであり、遺憾に存じておるところでございます。 私は、現在の支庁制につきましては、従来の経緯と現状を踏まえた場合、行政の効率化を進めている中で、今の組織で果たしてよいのかどうか、常々疑問に思っていたところであります。御承知のとおり、今の支庁組織に移行した昭和34年当時に比べまして、交通事情、情報通信手段は飛躍的に発達し、時間的距離は大幅に短縮されたこと、さらに支庁の業務内容に変則的な点があり、また、中越や下越との整合性を考えると、極めて不合理がありますので、この際、時代に即応した思い切った見直しが必要であると考えて申し上げたものでございます。 お説のとおり、行政改革を進めるに当たりましては、県議会はもちろんのこと、地元関係者等、広く県民の御理解と御協力をいただかなければならないことは申すまでもないことでありますので、今後は従来にも増してその点に留意してまいる考えでございます。 次に、支庁廃止に伴う後の手だてにつきましては、目下事務局に検討させておるところでありますが、私の基本的な構想といたしましては、御指摘のとおり、事務の性質によりましては単独事務所の設置が必要となるものもあろうかと考えております。つまり、上越におきましては、農政事務所と労政事務所を、また、佐渡には農政事務所をそれぞれ設置いたしたいと考えております。さらに、海外渡航の旅券事務のように、住民の直接窓口業務的なものにつきましても、サービスの低下を来さないよう、財務事務所にその窓口を残したいと思っております。したがいまして、このように県民サービスを低下させないでも、かなりの人員削減が可能であります。また、本庁直轄による事務処理の迅速化を初めとし、人員、経費の両面におきまして効率的運用が図られ、大きなメリットが期待できるものと考えております。 第3点の行政サービスにつきましては、低下することのないよう十分配慮しております。特に、上越及び佐渡両地域の振興につきましては、従来もそうでありましたように、今後におきましても、いささかもおくれを招くことのないよう、全県の均衡ある発展を念じながら対処いたしてまいる所存でありますので、御理解を賜りたいと考えております。 次に、臨時教育審議会の問題でありますが、社会の急激な変化、教育の量的な拡大等は、教育のあり方についても大きな影響を与えまして、多くの問題点が指摘されております。したがいまして、今後は、情報化の進展、高齢化社会の到来、国際化など、我が国社会が直面しておる新たな変化や課題に対処し得る能力を持つ多様な人材を育成する方向で、そのあり方を検討すべきものであると考えます。また、そのためには、学校、家庭、地域社会の各教育機能の充実や生涯にわたる学習機会の整備などの必要がありますが、とりわけ学校教育が社会の変化に即応してその機能を充実し、責任を果たすことが不可欠であると考えております。このような考え方から、充実した審議が進められることを強く期待しておるところであります。 次に、米の需給動向と水田利用再編対策でありますが、昭和59米穀年度の需給動向につきましては、国全体で4年連続の不作となったことに伴いまして逼迫の度合いを強め、質量ともに前年度実績を下回った供給が行われるなど、極めて厳しい状況になったところであります。このような事態に立ち至ったことは、食糧管理のあり方としては適正を欠くものと考えており、県といたしましても、国に対して、作柄のいかんにかかわらず、国民に対し米の安定供給が図られるよう、今後とも食管制度の万全な運用を要望してまいりたいと考えております。 次に、本年産米の早期集荷対策でありますが、お話のとおり去る8月22日に食糧庁長官が来県し、県、農協中央会、経済連等に対して、本年産米の早期集荷について要請を行ったところであり、これに対し、県としては協力を約束したところであります。国も、農業団体等に対し、新たに早期出荷への助成措置を講ずることといたしました。これら関係者の協力の結果、本県が9月末までに県外へ出荷した数量は11万1,000トンで、前年同時期5万トンの2倍を超えるペースとなっており、本県を初めとする早場米生産県のこのような出荷努力が、国全体の端境期需要に大きく貢献しているものと考えております。 詳細につきましては、それぞれの関係部長に答弁させます。   〔総務部長有磯邦男君登壇〕 ◎総務部長(有磯邦男君) 2点についてお答え申し上げます。 最初に、原発設置に伴います法人事業税及び法人県民税の増収でありますが、これは、東京電力につきまして、法人事業税では、分割基準となる固定資産の価格について、本県分が増加することにより、また法人県民税につきましては、同じく従業員数が増加することによりまして増収となるもので、昭和60年度から昭和64年度までの5カ年間で、およそ230億円と試算しております。なお、御承知のように、交付税ではその8割を基準財政収入額に算入いたしますので、その分の交付税は減額されることになります。 次に、電源三法交付金でありますが、今回核燃料税の対象となる柏崎・刈羽1号機につきましては、昭和53年度から交付を受けており、総額で、県、市町村合わせまして約85億円であります。なお、参考までに申し上げますと、2号機、5号機につきましては、それぞれ92億円の見込みであります。 次に、核燃料税の税率につきましては、条例案では7%として御提案申し上げているところであります。他県におきましては、このたび更新の内諾のありました島根県及び静岡県におきまして、これまで5%であったものを、今度から7%に引き上げることになったため、すべての県で7%となっております。 今後の日程につきましては、条例案の議決をいただきました後、速やかに自治大臣へ許可申請を行い、許可を得て12月1日から施行する予定としております。 次に、来年度の私学助成金についてお答え申し上げます。 厳しい財政環境下での予算編成となりますが、国家予算概算要求では、生徒1人当たり国庫補助単価は今年度同額でありますので、交付税積算基準が今年度より減額されないよう国に要望し、当県といたしましても、今年度を下回らないよう可能な限り努力してまいりたいと考えております。 以上です。   〔農林水産部長山田稔君登壇〕 ◎農林水産部長(山田稔君) 最初に、本年産の米の検査の現況と県の対応につきましてお答えを申し上げます。 お話にもありましたとおり、好天に恵まれましたことから、稲刈りが早まりましたこともございまして、米の出回りに検査が対応し切れず、いわゆる庭先滞貨が生じまして、関係方面からも検査の促進につきまして強い御要望が出されているところでございます。御心配のように、庭先滞貨は、1つには米の品質の低下、2つには農家収入のおくれ、3つにはやみ米などの発生の問題につながりますために、食糧事務所に対しましては、検査体制上の制約があるにしても、当面する滞貨の解消に対する具体的な対応を求めるもので、県といたしましても、さきに食糧事務所長に対し、検査の促進と滞貨の解消につきまして申し入れを行いました。 食糧事務所では、退職検査官の活用によります食糧検査士制度の活用、本来毎個検査でありますが、できるだけ抽出検査の採用など、検査体制、方法の一層の効率化を行いますとともに、先週の日曜日、9月30日には日曜検査を実施するなどの対応を行っております。また、農協などによります庭先滞貨解消のための集荷努力と相まちまして、本年の検査実績は昨年を相当上回る進捗状況となっておるところでございます。お話にもございましたが、9月25日現在で約23万トンでありまして、昨年同期の16万トン余に比べまして、約4割以上の検査増という実績でございます。県といたしましては、今後とも検査促進のための必要な要望は行ってまいりたいと考えておるところでございます。 次に、加工用米の集荷見通しについてでございます。 去る7月27日の米価決定に際しまして、本年産の他用途利用米につきましては主食用買い上げの道が開かれたところでございますが、これに伴って不足いたします加工用米の確保につきましては、農業団体と国との協議の結果、集荷目標数量は全国で20万トン、このうち本県分は最終的には1万3,332トンと決められまして、現在、県、市町村も協力する中で、農業団体、集荷団体による集荷努力が行われているところでございます。これまで把握いたしましたところでは、他用途利用米の約8割を他用途利用米のまま出荷することによりまして目標数量を確保することとなると見込まれておりまして、県全体では、本日現在、おおむね目標数量に近い線は確保できる見通しであります。 次に、明年度の転作などの目標面積の見通しについてでございます。 韓国米の返還問題が表面化をいたしました際に、山村農林水産大臣が今年度の作柄を見た上でとしながらも、目標面積の緩和に取り組みたいと、転作規模に見直しのあることを表明いたしました。また、今年産米が平年作か、あるいは平年作を2%程度上回るにとどまった場合は、在庫積み増しを計画どおり増していくためにも、60年以降の転作を緩和しなければならないという農林水産省の考えが示されておったところでございます。しかしながら、幸いにも9月15日現在の水稲作況指数が105と発表されまして、最終的にはさらにこれを上回る豊作型が現在予想されることになりましたために、最近にわかに転作緩和を慎重にすべきであるとの考え方が出てきているところでありまして、盛んに報道されているところでもございます。 そこで、現時点におきます農林水産省の考え方を昨日照会いたしましたところ、1つには、面積の緩和はあると考えていただいていいということ、2番目には、しかし、本年の作柄の推移から緩和の量は極めて小幅との感触を受けたところでございます。こういった国全体の情勢を踏まえながら、県といたしましては、1つには、全国ベースではできるだけ多くの緩和数量を、2つには、その各県配分に当たりましては良質米生産県への傾斜配分を、この2つを重点に今後とも国に働きかけてまいりたいと考えております。 最後に、他用途利用米の最終結果と転作カウント面への影響についてのお尋ねでございます。 まず、他用途利用米の配分につきましては、御承知のとおり昨年末に国から配分を受けました当初の約2,000ヘクタールに続きまして、市町村の要請等に基づきまして実施をしました2回にわたる追加配分、さらには国との協議が調いました青刈り稲から他用途利用米への移行分1,370ヘクタールを加えまして、最終的には面積で約3,700ヘクタール、契約数量で約1万7,000トンに達しました。この1万7,000トンの内訳は、主食用といたしまして、約21.5%に当たります3,700トン、それから、本来の他用途米として78.5%に相当いたします約1万3,300トンを予定いたしているところでございます。いずれにいたしましても、一たん他用途利用米として契約をいたしました総数3,700ヘクタールは、転作カウントとして取り扱われるものでありまして、現在、農業団体に協力して、市町村とともに集荷を推進しているところでございます。 契約不履行から転作未達成の市町村が出ないかとのお尋ねでございますが、確かに他用途利用米から主食転用への道が開かれ、それがまた一部他用途利用米へ戻るなどの制度の途中変更がありまして、一部農家の方々に戸惑いがありましたが、県、市町村、農業団体などの懸命の努力によりまして、生産予定数量がほぼ契約されておりますので、集荷結果を見ませんと断言できませんが、他用途利用米問題が直接の原因となっての転作未達成になる市町村は出ないものと判断をいたしております。 以上でございます。   〔教育長久間健二君登壇〕 ◎教育長(久間健二君) お答えいたします。 新採用教員の採用検査の実施時期につきましては、現在、すべての都道府県におきまして夏季休業中以降に実施されております。本県におきましても、7月下旬に実施しているところでございます。この問題は、全国的には他県とのかけ持ち受検を防ぐため、検査日のブロック別と申しますか、地域的統一が行われつつあること等とも関連いたしますので、今後とも各地域の動向を踏まえつつ、なお検討してまいりたいと考えます。 次に、採用内定時期についてのお尋ねでございますが、昭和57年の文部省の通知によりまして、第1次内定は11月1日以降ということで、すべての都道府県でそのような対応をいたしております。本県につきましては、昭和56年までの第1次内定の時期は12月中旬でありましたものを、昭和57年から11月中旬に早めたところでありますが、本年度はさらに11月初旬に繰り上げるとともに、早期内定者の比率を可能な限り高めるよう努力いたしたいと考えております。 新採用教員の研修につきましては、現在、小中学校におきましては年間20日間、高等学校におきましては年間15日間程度、県教育委員会、市町村教育委員会及び勤務校におきまして、それぞれ分担実施しているところでございます。実施時期につきましては、おおむね5月以降としてまいりましたが、一部の市町村教育委員会及び勤務校が実施しています4月の事前研修を、今後は全県にわたり計画的に実施し、その充実を図るよう指導してまいりたいと思います。なお、県教育委員会が分担しております研修会の時期につきましても、極力早める方向で検討してまいりたいと考えております。 次に、いわゆる入試業務の厳正化についての対応はどうかというお尋ねでございます。これまでの経過を申し上げます。6月に全県の校長会を招集いたしまして、各校の処理体制の再点検を指示いたしました。7月に、中、高の関係者から成ります高校入試改善委員会を開催し、選抜要項を初め関係通知の見直し等を行いました。さらに、7月中におきまして、全高等学校を対象に詳細な実態調査を行い、あわせて改善意見の聴取を同時に行っております。現在、この改善委員会でなお検討を加えておるというところがこれまでの経緯でございます。方向といたしましては、厳正公正な業務遂行につきまして選抜要項に特記いたしますとともに、答案の取り扱い及び採点業務について、具体的な指示を通知する方向で検討されております。 教育委員会といたしましては、これらの結果を踏まえまして、選抜要項等に必要な改正を加えますとともに、例年より早期に選抜要項を配布し、この説明、指示を徹底させ、明年度以降の入試につきましては万全を期していく所存でございます。 なお、先ほど御答弁申し上げました全校の実態調査におきましては、59年度の入試業務については、1校を除きましてすべての学校で厳正に行われていたという調査結果となっております。 次に、工業科の見直しについてのお尋ねでございます。 まず、国の動向といたしましては、本年6月に理科教育及び産業教育審議会の審議のまとめが出されております。それによりますと、最近の機械技術と電子技術を結合したメカトロニクス化の進展に対応して、また情報技術の発達から、情報処理に関する多様なニーズに対応するため、既存学科の枠を超えた複合化を目指す新しい学科の新設等の必要性が指摘されておるところでございます。 本県の工業科につきましては、昭和58年度の在籍生徒数から見ました比率におきましては、工業科全体といたしましても、また電気系学科といたしましても、全国平均を上回っているところでございますが、その配置や学科構成については、最近の諸情勢にかんがみ、見直しの必要があるものと考えております。したがいまして、生徒の進路動向等から工業科のウエートをどう考えるか。電気系学科の地域的配置をどう考えるか。メカトロニクス化に対応して、従来の機械科のあり方をどのように考えるか。そのほか、既存学科の取り扱いをどうするか。主としてこれらの観点に基づきまして、現在検討を進めているところでございます。今後さらに国及び各県の動向を踏まえ、地域の産業構造の変化等を見きわめながら慎重に検討を進め、昭和61年度から順次改善を図る方向で対処してまいる考えでございます。   〔知事君健男君登壇〕 ◎知事(君健男君) 先ほど特別養護老人ホームの今後の問題で、「1,200床」と申し上げましたが、次のように訂正させていただきます。明年度から昭和64年度までの5年間に「1,020床」と訂正させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○議長(岩村卯一郎君) 高山巌君の質問は終わりました。 次に、米山繁男君の発言を許します。   〔米山繁男君登壇〕(拍手) ◆米山繁男君 社会党県会議員団を代表して、財政問題等当面する県政の重要な諸課題について御質問申し上げます。一部は今御質問なされた高山議員の質問とダブる部分もありますが、知事の率直なお答えを期待をして質問に移ります。 その第1は、財政問題についてであります。まず、総論的に景気の動向と展望についてお伺いいたします。 経済企画庁は、さきに我が国の経済成長率を、当初4.1%見込みを5.3%に見直しをされましたが、確かに今日の実態はそうでありましょう。しかし、何の資源もない我が国の経済の底の浅いこともまた事実です。アメリカの経済、金融、金利政策の動向により、もろに影響を受ける事実を忘れてはならないと思います。アメリカの国内では、この1年に50行もの銀行倒産が続いているとの情報もある中で、日本の経済や県内経済も長期的には予測のつけにくいこともありましょうが、県内の産業構造の将来性とのかかわりからも、一定の観測を明らかにしておく必要があろうと思います。今後の景気の見通しについて、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、県内経済と県税収入に関連して、今後の見通しについてお伺いいたします。 一般的に昨年の景気見通しは曇り後晴れと伝えられておりましたが、本年5月末、58年度決算の状況を見ると、県税収入は予算現額に対し調定額において32億5,500万と、2.28%の伸びを示しており、その後も次第に景気は、産業間にばらつきはあるものの、全体的には回復しつつあると伝えられております。鉱工業、電気機械、一般機械等機械工業、その他金属関係、ガス、石油関係機器や食料品等、景気は上昇している反面、業種によってはかなりの低迷を続けているようです。しかし、総体的には、県税収入において見込みよりかなりの伸びを示しております。今後の県内産業景気の伸縮をどのように分析されているか。 また、官公需依存型の強い建設業界を対象として、9月補正としては通年型予算と言われて以来の大型追加補正となっており、その73.5%は土木部予算であり、しかもその大部分は災害前倒しということで、住民のためにも一応の理解はできますが、建設業界に対し、適正な工事発注が可能かどうかお伺いいたします。また、通年型予算方式の放棄として理解してよいか、あわせてお答えいただきたいと思います。 次に、来年度の予算編成の方針についてお伺いいたします。 具体的には、今議会が終了と同時に来年度の予算編成に取りかかられると思いますが、国の方では既に概算要求を通じながら緊縮財政堅持との方針を出し、地方自治体に対しても厳しい牽制を加えてきており、県としても戸惑いが大きく、困惑しているのが現実といってもよいと思います。長い間我が社会党が提起をしてきた財界や大企業優遇の国の借金財政のツケを、行財政改革の名のもとに地方や住民に肩がわりさせるもので、絶対に容認できるものではありません。例えば、生活保護費地方負担を20%から28%に、また、国が50%以上を負担している補助金や措置費を一律に10%カット、あるいは公共事業補助率の見直し、さらに国税三税の32%を充てる地方交付税の引き下げ等々、これでは自治体は死に体とならざるを得ないのが実態であろうと思います。しかも、補助措置もしないで権限だけ移譲と言うが、事実上は権限移譲どころではなく、統制だけが強くなるのではないかと思います。 そこで、知事にお尋ねいたします。第1、このような国の方針で、本県の行財政に与える影響はどうなるのか。第2に、このような無謀とも言うべき国の行財政運営方針に知事はどう対処されるのか。第3に、権限移譲について、知事はどう理解されているか。第4に、これらの事態を踏まえ、来年度県予算の編成方針の大綱をどう考えておられるかをお示し願いたいと思います。 質問の第2は、人勧問題についてであります。 地方公務員法によって争議行為の禁止されていることは何人でも承知しているところですが、その代償措置として、同法により人事委員会を設け、同委員会に職務権限が与えられていることもまただれでも知っているところです。したがって、人事委員会では、毎年法律や規則、条例等に基づいて、知事に対し、職員の給与の改善について勧告をされてきているところです。 ところが、3年前、すなわち昭和57年度から実施見送り、または一部不実施ということで、法の精神が生かされていないのが実情です。57年の人事委員会勧告は、4.57%の勧告に対し実施は見送り、58年の勧告6.49%に対し2.04%の実施と、既にこの2年間で給与の10%もカットされたことになり、これに抗議の意味で、57年9月と12月、58年の10月、それぞれ29分から2時間のストを行ったことに対し、停職2人、減給35人、戒告21人、計58人もの懲戒処分を出されたことは、法のもとで片手落ちと言わざるを得ません。行政権者は法律を守らなくともよいということなのでしょうか。知事の行政権者としての法の趣旨に従わない責任はどうなるのか、この際明確なお答えを求めます。 また、財政が苦しいのでぜひ財政協力をしてほしいということはどういうことなのか、お伺いいたします。私は、56年4月の本給17万円の中堅的な職員の給与実態を調べてみましたが、この3年間に受けた不利益総額は35万500円にも達していることを知りました。財政協力という言葉の持つ意味からすると、納税外税金とも解釈できるのではないかと思います。国民はすべて法のもとで平等であるという憲法の精神にも反することになろうと思います。この2年間の10%にも上る不実施分は結果的にどうなるのか、明らかにしてほしいと思います。 なお、本年の人事委員会の勧告はもう作業も終わっていると思われるが、いつ、どのくらいの勧告を出されるのか。また、これを受けた知事、あなたはどう対処されるのか。政府の方針ではなく、知事、あなた自身の、県の行政責任者としての明確な方針をお聞かせ願いたいと思います。 さらに知事、あなたのこれまでの方針と、市町村に対する締めつけとも受け取れる強力な指導で、ラスパイレス最下位から全国19市のうち本県の11市が含まれていると聞いており、また、本県職員の給与水準も、行政職において56年4月全国36位、57年4月全国38位、58年4月全国41位と年々低下しています。これらの実態をどう判断されているのか明らかにしてほしいと思います。 質問の第3は、農業、農政問題についてであります。 まず、減反政策強制中における外米輸入政策についてであります。 社会党や日農では、減反政策の始まった時点から機会あるごとに、米は余っていない、政策上意図的に余らされたもので、やがてその矛盾は表面化することを指摘をしながら、特に日本農民組合では減反政策に反対してまいったことは御承知のとおりです。指摘してきたとおり、今日その異常な事態がやってまいりました。政府や知事は、この事情は4年続きの冷害の結果と、自然条件に責任転嫁されることはわかり切っております。実態は相次ぐ低米価を中心とする低農産物価格政策及び生産調整減反政策の強制により、農民の生産意欲の減退による影響が主要な原因であると言わなければなりません。それでも農民は、世界的な過去の歴史、また日本の歴史を知っているから、食糧の危機に備え、今日まで農業を聖職として細々と営農を続けてまいりました。 ところが、去る5月28日、突如として農林省は韓国米の輸入を公言し、8月10日名古屋港、神戸港を皮切りに15万トンの輸入を続行し、ついに農業主産県である本県に、9月13、14日両日にわたり、陸路から150トン、さらに22日に4,400トン、引き続いて10月中に合計1万5,000トンもの韓国米が新潟港に輸入陸揚げが行われ始めており、本県農民の感情を逆なでするものです。我々は、再三知事や副知事に対し、港湾管理者として入港中止を求めてまいりましたが、受け入れられなかったことは極めて残念でなりません。抗議に駆けつけた県下農民や消費者の憤りは異常なものであることは、知事も承知のことと思います。 韓国米輸入問題は、去る6月議会でも論議されたところですが、知事は、このたびのことは緊急やむを得ざるもので、今後はこのようなことはないと思うし、反対であると言っておられましたが、仄聞するところでは、既にタイ国から第2次輸入も考えられていると言われているようです。しかも、今回輸入された韓国米には多量の重金属やカドミウム、水銀が含まれていると聞きますが、実態はどうなっておるのでしょうか。知事は、これらは国の責任と言われましょうが、それでは言いわけは通りません。この際、明快なお答えを望みます。 次に、他用途米取り扱いの混乱責任についてお伺いいたします。 既にお伺いしてまいりましたように、絶対的な米不足から、青刈り稲の中止、他用途米生産、さらに他用途米の主食転用と、毎日のように取り扱い事情の変転、価格の不徹底、及び他用途米売り渡し後の農家間の公平を期するとの理由からのプール計算のあり方などなど、何一つ明らかにせず、やみくもに本県だけで1万7,319トン余りの他用途米の集荷のためのみに重点を置いていることは、県下農民を足げりにした反農民的政策のあらわれと言っても過言ではないと思います。このように県下農民を混乱に追い込んだ責任はだれが負うのか。そのために受ける農民の不利益をだれが補償するのか、明らかにすべきだと思います。 例えば、他用途米にも4つの価格があります。主食転用米全体量の21%と言われる価格1俵1万8,600円、政府補助金トン当たり7万円のつく他用途米1俵1万80円、政府補助のない他用途米1俵7,200円、さらに他用途米、3等に準ずる米1俵5,880円と、同じ他用途米でも4通りもの値段があるにもかかわらず、生産者農民には内容は知らされないままになっており、自治体によっては行政と農協の責任のなすり合いもあると聞くが、一体これらの指導はどうなっているのか、明らかにすべきだと思います。この点につきましては、先ほどの農林水産部長の答弁でも、この混乱の中身はうかがえるようです。 次に、潜在生産力と荒廃農地対策についてお尋ねいたします。 これまで知事はいつでも米の過剰基調は変わらぬと答えてこられたが、その基準は何であるかをこの際明らかにしてほしいと思います。国も潜在生産力1,375万トンの数字は改めようとはしなかったのですが、社会党の追及によって、今11万トン程度少なくすべきとの議論があるように聞いております。いずれにしても、1,375万トンのうち、本県の潜在生産力はどのくらいなのか、また、それを生産する面積は一体幾らなのか、確実な面積と量を明示してほしいと思います。 急激な農政転換の図られたピーク時と言われる昭和37年の本県水田面積に比べ、昭和58年の水田面積は2万8,590ヘクタールも少なくなっており、このうちおおむね半分くらいは二度と水田に戻すことのできない土地があるのではないかと推定されます。このような実態も調査することなしに、ただ農林水産省の指示待ち農政であってはならないと考えますが、具体的な調査をどうするか、また、その結果を本県農政にどう反映させるか明らかにすべきです。誠意あるお答えを期待いたします。 なお、御承知のように、国土保全という立場から、水田は水害等自然災害を防ぐ重要な役割も果たしており、また、山間水田等は土地の高度利用という点から最も理想的ですが、これらの水田で減反政策で荒廃してしまった農地の実態把握と、その対策を具体的にどうするのかも、あわせてお答え願いたいと思います。 農政問題の最後に、端的にお伺いいたします。徳川時代の悪代官と言われた時代も、収奪こそあれ実施されることのなかった減反政策を、いかに国の施策とはいえ、農業主産県と言われる本県農政に公権力を背景に強制し、3年越しの米不足時代を迎えながら、不明確な潜在生産力を背景に強制してきた君知事の行政責任は極めて重く、徳川時代の悪代官以上に、その名は後世に残るものと思いますが、農業県の知事として農政の運営に誤りはなかったか、今こそ反省すべき絶好の機会であろうと考えます。知事の率直な見解を承りたいと思います。 同時に、国の方針でも、9月27日統情発表の作況指数が上昇しているものの、圧倒的な米不足から、まだまだ流動的ではありますが、来年度の生産調整を含めた農政の基本について、農業県の知事としてどう考え、どう対処されるかを明らかにお示し願いたいと思います。 質問の第4は、地方交通線対策と北越北線の諸問題についてお伺いいたします。 臨時行政調査会行政改革路線と言われる基本は、福祉も厚生もかなぐり捨てて、行政も民間企業もすべて同一視し、もうからないものはすべて行政から切り捨て主義とも受け取れるものと考えさせられるものではないかと思います。政府の考え方の中には、前から言われていた3K征伐、すなわち米、健保、国鉄、それぞれ政府、特にその背景と言われる財界にとっては目ざわりなものであったでありましょうが、ついに国鉄も3年前から合理化切り捨ての手が加えられ、本県でも既に赤谷線、魚沼線等廃止されたことは全県民の知るところです。しかも知事は全国の知事に先駆けて賛成されたことは、本県議会でも議論されてきたところですが、結果は、知事の同意により、2線は廃止の運命となり、今、第3次計画で米坂線廃止の運命を余儀なくされようとしております。 もともと地域住民の足を守り、経済活動を容易にすることは、国の行政責任においてなされなければならないことで、国鉄利用率に比例する過疎、過密もまた行政運営の結果生ずることは論を待たないところです。したがって、行政運営の結果過疎を招き、赤字だから料金を引き上げるでは、行政の住民への責任転嫁と言わざるを得ません。既に本年4月から地域ごと格差運賃の導入をされていますが、これは国鉄の分割・民営化の先制攻撃と受けとめざるを得ません。知事はどう思われますか。 本県でも、大糸線、弥彦線、越後線など、第三セクター転換もささやかれ始めており、本県の国鉄交通線確保対策は焦眉の課題となっています。国鉄当局の再建努力も十分にされないまま、分割・民営移管等、無責任きわまりないと思います。例えば、運賃料金体系はどうでしょう。上越新幹線工事代金を料金上乗せさせた上に、在来の特急、急行廃止などの方向を打ち出す等無謀の連続です。また、ダイヤ改正による時刻表はどうでしょうか。乗り継ぎダイヤ等全く考慮されておらないのが現状です。 知事は、これらの点について利用者県民の立場で、国鉄当局に対し物を申した経緯がありましょうか。もっとも、知事や部長は多忙なために、常時ヘリコプターや県公用車を利用されており、国鉄の不便さをおわかりにならないのも無理からぬことと思いますが、その分だけもっと下積みの人たちの生活苦や不自由さを吸い上げる、詰まることのないパイプを考えられる行政改革をお考えになるべきだと考えます。いかがです。知事の行政権者としての責任をどう感じておられるかをお伺いいたします。 私は、過疎地に住む住民は、一生懸命国土保全のため、みずからの経済活動を通して、一国民、一県民として責任を果たしているものと信じております。これらの人たちの足を守る行政は、福祉行政の一環であろうと考えます。これを赤字などと逃げるのは、国の行政権者の怠慢であり、無責任と言わざるを得ません。知事の御所見を承りたいと思います。また、このたび提起されている米坂線等廃止案や大糸線、越後線、弥彦線の第三セクター移管等について、知事はどう対処されるかをお伺いいたします。 これまで述べてきたように、社会党の国鉄に対する基本的な考え方は明確でありますが、さらに6月議会で、社会党の私どもから見れば見切り発車とも言うべき北越北線について、二、三お伺いいたします。まず、質問の前に、我が党の基本的な態度を明瞭にしておきたいと思います。 基本的には、公共交通は国、すなわち国鉄の責任において確保されるべきものでございます。したがって、自治体が無条件で肩がわりすることに対し、慎重な対応をすべきであると主張してきたところです。地域経済、地域開発、住民福祉の立場から、長い間、国の立場で建設されるよう悲願として運動を進めてきたところですが、4区の保守系2人の代議士の政争の具となり、30年以上もおくれを来したところです。ようやくにして日の目を見たときは、第三セクター方式、すなわち自治体と地域住民の犠牲を伴う経営方式となったわけです。私どもは、いかなることがあっても、沿線自治体や住民に不利益があってはならないと考えています。 そこで、既に発足した北越急行の社長でもある知事に、2つの点についてお伺いいたします。 その第1は、将来も続くであろう赤字の処理対策についてであります。計画に示されている乗客1日当たり1,459人と見込んでいるが、これは起点から終点まで通し客の数で、途中乗下車数は入らないこととなっており、しかも運賃は国鉄料金の1.6倍、さらに2年ごとに11%の値上げが見込まれております。このような事情を住民は本当に理解していないのが実態ではありませんか。しかも、道路整備が整いつつあり、マイカー族のふえていく中で、過去の統計から割り出されたという計画は、まさに絵にかいたもちに等しいものであろうと考えます。大幅な赤字を抱え込む結果は、火を見るより明らかと考えますが、その赤字処理の具体的方針と北越北線の将来展望を、住民の納得のいく説明を求めたいと思います。 第2に、沿線17市町村の地域開発、産業振興の具体策についてお伺いいたします。既に県の指導のもとに、各市町村ごとに真剣に開発構想に取り組んでおられるようですが、私はそんな生易しい簡単なものではないと考えます。東頸城地方の過疎の進行状況については、全く目を覆うものがあります。昭和35年に東頸城郡6カ町村で5万5,384人の人口が、本年の4月で2万8,671人と約半分に落ち込み、特に昭和52年から急激に減少傾向をたどり、この春まで7年の間に1万3,000人も減少しております。この事実をだれよりも地元町村が一番憂慮され、万策を講じてまいったところですが、県が指導し、積極的参加をしたから好転するというものではないと思います。知事は、北北線第三セクターに踏み切ったのだから、地域開発、産業振興等、長期計画を地元の活力で樹立せよと言っておられるようですが、命令的な言葉だけでなしに、具体的な指針を示すべきだと考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、県の行政機構及び組織の改革、合理化についてお伺いいたします。 今春知事の突然の公表で、十分な論議の乾いていない生活環境部と衛生部の統廃合問題については、ただ生活環境行政を現状より後退はさせないと言われるだけで、中身については不明確なままになっております。検討の現状はどうなっていますか、お伺いいたします。 部統廃合はこのような状況の中で、続いて去る9月20日、庁議後の記者会見で、いきなり、25年の長いとうとい歴史を残してきた上越支庁及び佐渡支庁廃止を発表、庁内外をあっと言わせた事案について、余りにも独善過ぎるのではないかと思います。しかも、記者会見前の庁議にも何の前触れもないとは、知事、あなたの優秀な部下職員に対する不信行為であると言わざるを得ません。このことについて、知事の心境をお伺いいたします。いかに庁内部に精通されている知事であっても、上越、佐渡両支庁合わせて85人のあなたの部下職員の苦労の実態はおわかりにならないのではないでしょうか。また、管内市町村の受けている経済的、実務的メリットについても想像もできないと思います。知事、あなたは全国的行革優等生などと言われ、県民の知事であることをお忘れなのではないでしょうか。 確かに、支庁が設置された25年前と比較すれば、電話も交通も大きな変化を遂げたでしょう。しかし、海を隔てた佐渡、交通が発達したと言われながらも、県庁まで往復7時間も8時間もかかる東頸城、西頸城地方を抱える上越支庁です。中頸城の中央部に位置する私でさえ、県庁往復5時間以上かかります。また、昔から上越の地には「蒲原政治」という言葉のあったことは知事も御承知だと思いますが、最近ようやくその声が下火になり始めたばかりです。 このような現実を直視するとき、一刀両断で支庁廃止とは、地域住民の感情はおさまりません。もう少し両支庁とも管内市町村と十分なコンセンサスのできるまで廃止を見合わせるべきだと考えます。唐突とも受け取れる知事の発言、なぜそんなに急ぐ必要があるのか。しかも、部統廃合や支庁廃止については、条例改正の伴う事項でもあります。県民が納得のいく説明をお願いいたします。 質問の最後は、新潟46万市民の生命を盾にした市長に対する脅迫事件について、警察本部長にお尋ねいたします。事件のあらましについては、既にマスコミを通じて報道されていますので、時間の関係で省略いたしますが、端的にお尋ねいたしますので、市民及び市来訪者等の安心できるお答えを期待いたします。 第1、市長から脅迫の事実の通報はいつ行われ、それ以降警察の対応状況はどうなっていたか。 第2、指定されたパチンコ店における警察の対応はまずかったのではないか。 第3、今日の犯罪者は日本じゅうまたにかけていることを考えるとき、単に新潟という地域の田舎芝居の脅迫との読みの甘さはなかったか。 第4、犯人の指定した鳥原地内高速道を含め、車両配置4台だけで、その他には周辺道路、高速道等の警備態勢はどうなっていたのか。素人の私でさえ、やる気があったのかと疑いたくなります。 第5、せっかく犯人の車を目撃しながら取り逃がしたでは、県民に言いわけは立ちません。警察の責任と県民の警察に対する信頼を失墜させた責任は極めて重大です。どう釈明されるのか。 第6、もう事件発生以来きょうで13日も経過してしまいましたが、グリコ社長脅迫事件、森永脅迫事件等、この種事件捜査は難しいことはわからぬでもございませんが、警察組織の中に何かのひずみがあるのではございませんか。今後どう対処されるかお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)   〔知事君健男君登壇〕 ◎知事(君健男君) 景気の今後の見通しと本県経済の長期展望に関しましては、全国的な景気の拡大傾向を反映いたしまして、業種間、企業間に跛行性が見られますが、全体としては順調に回復傾向をたどっておるところであります。すなわち、鉱工業生産指数は、本年7月現在で9カ月連続して前年水準を上回り、設備投資、個人消費の動向も堅調に推移しておるほか、本年8月時点での日銀新潟支店による短期経済観測調査におきましても、55年以来4年ぶりに業況がよいとする企業が、悪いとする企業を上回っておる状況にあります。このような鉱工業の生産状況や設備投資、個人消費の動向、さらには本年12月時点におきまして業況がよいだろうと見る企業の比率が、現時点の比率を上回るという日銀の調査結果などから勘案いたしますと、今後しばらくは製造業、非製造業とも全体としては順調に推移するものと考えております。 なお、長期的な経済見通しにつきましては、御指摘のとおり、海外の経済動向等、先行き不透明な部分もあり、予測しがたいところでありますが、高速交通体系の整備等の進展に伴います企業立地や地場産業の活性化等によりまして、本県産業が今後着実に発展するものと期待しております。 次に、今後の景気動向と今回の補正予算との関係でありますが、今回の補正予算は、土木部関係の災害復旧費が主体であります。昭和56年度を上回る今冬の異常豪雪に伴います融雪出水及び凍上凍結等による被害が大きく、これが早期復旧のために補正をお諮りいたしたものであります。工事の発注につきましては、実施態勢を整えまして、適切な発注に努めてまいります。 なお、このたびの補正は、災害復旧等を中心としたものでありまして、通年予算の方針をやめたものではございません。 次に、国の補助負担率の削減による本県への影響についてでありますが、高率補助負担率の一律10%カットによります影響額は、市町村分も含めまして、本県全体で約35億円に達すると見込んでおりますが、公共事業につきましても、補助率2分の1を超えるものだけに限って、仮に10%削減されるといたしますと、県の一般公共事業費だけで約63億円の影響を受けるものと考えております。行財政改革というものは、事務事業そのものを見直しを行って、事業の廃止あるいは縮小などにより実行されるべきものであり、今回のような、単に一律10%補助率の切り下げ、地方へその負担をツケ回すことにより対処する方法は容認できないものと考えておりまして、今後とも全国知事会を通じて、他の都道府県知事と一体となって反対運動を展開いたしますとともに、本県選出の国会議員の方々にも機会あるごとに働きかけてまいりたいと考えております。 なお、地方への権限移譲の問題につきましては、住民生活に関連する行政は、地方の自主判断により実施されるべきものでありまして、基本的には賛成でありますが、その事業に見合う一般財源が十分補償された上で実施されるべきものと考えております。 次に、来年度の県の予算編成方針でありますが、今申し上げました国の負担転嫁が予想されるとともに、地方財源不足額の圧縮によります財源対策債の大幅な削減も考えられる状況になっておりますが、さらに公債費等の義務的経費も大幅に増加する見込みでありますので、本県を取り巻く財政環境はかなり厳しいものとなると考えております。したがいまして、財政当局に対しましては、事務事業の徹底した見直しを行いまして、従来から進めてまいりました行財政改革を一層推進するとともに、国に準じてマイナス5%シーリングで予算編成作業を行うように指示したところであります。 次に、人事委員会勧告はできるだけ尊重したいと考えております。結果として勧告を完全実施できなかったことは、まことに残念なことと考えております。今後の問題につきましても、県独自で対処することは不可能に近く、政府や他の自治体の動向により左右されるものと考えております。 また、争議行為に対する処分でありますが、公務員の争議行為は、いかなる目的にせよ違法でありますので、今後とも厳正に対処してまいる考えでございます。 次に、農業問題についてでありますが、まず、米の輸入につきましては、基本的には、米の供給は、主食用、加工用を問わず、全量を国内産米で自給する方針は堅持すべきであるという考えは従前どおりであります。今回の韓国産米の輸入問題については、いわゆる臭素問題に関連いたしまして、今年秋までの加工用米の供給不足に対処するため、国が本年度限りの特例として講じた措置であると理解しておることは、6月県議会で御答弁申し上げたとおりであります。タイからの輸入等の問題は承知いたしておりませんが、第2次輸入の心配はないと考えております。 また、韓国産米の残留農薬問題につきましては、国が事前にサンプルを取り寄せ、安全性の確認をしたもののみを船積みしております。また、コクゾウムシなどの害虫の混入により、国内で薫蒸を行ったものについても、再度検査を行った上で供給することとなっておるところであり、国の責任において安全性の確認を行った上で供給を行っていると承知いたしております。 次に、他用途米につきましては、米をつくれる転作として発足したものでありまして、農業団体等も、価格あるいは品種の面で議論はありますが、大方の理解のもとに実施されてきたところであります。本年の極めて特殊な事情の中で、年度途中での方針変更はやむを得なかったと考えております。 しかし、他用途利用米の主食用、加工用等への取り扱い変更の問題につきましては、国と全中、関係農業団体等の話し合いの中で取り進められてきた経過がありまして、現在行われております加工用米の集荷につきましては、県及び市町村も協力する中で、農業団体が中心となって周知徹底が進められておるものであります。したがいまして、結果的に他用途米の全量が主食用に買い上げられなかったとしても、それをもって補償を論ずべき問題ではございません。また、市町村、農協において、他用途利用米制度の円滑な運用のため、その時々の状況の中で、それぞれの立場で最善を尽くしてきたところでありまして、本県の場合、加工用米の集荷の見通しは、現時点ではおおむね確保されるものと予想いたしております。 次に、生産調整に対しましては、国民の食生活の多様化によりまして、米の消費量が大幅に減少したことに伴い、過剰になった米から国内自給率の低い作物への転換を進めるための施策として推進したものであります。米の消費は、残念ながら依然減少傾向にあるとともに、潜在生産力は需要量を相当上回るとされており、基本的には今後も引き続きこの施策を推進していく必要があるものと考えております。また、近年の国民の食糧消費の伸び悩みを反映いたしまして、牛乳、豚肉等の需要も頭打ちの状況になっており、現在需要に対応した計画生産が実施されておるところであります。 国民の食生活は、今後も一層多様化、高品質化の傾向を強めるものと思われます。こうした需要の動向に対応して、本県としては良質米生産地としての特性を十分生かしながら、複合営農の展開により、生産性の高い新潟県農業を実現していく考えであります。このため、中核農家への農用地の利用集積、地域ぐるみの集団的な農用地の利用調整等、土地利用の高度化と転作の定着を初めとした複合営農の推進によりまして、高生産性農業の育成と地域農業の組織化を促進するための施策を講じていく所存であります。 次に、国鉄の地方交通線対策でありますが、現在危機的状況にあります国鉄の財政再建を図るため、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法に基づくものでありまして、まことに遺憾ではありますが、やむを得ない面もあると考えております。しかし、大糸、弥彦、越後線については、これら各線が県内主要都市を結ぶとともに、信越線、上越線の幹線に接続する路線として、また、沿線地域住民の生活路線として、極めて重要な役割を果たしております。この意味におきまして、これらの路線については、国鉄線として幹線と一体的に経営されるべきものと考えております。 国鉄の運賃料金体系につきましては、本年4月から地方交通線の割り増し運賃制が導入されておりますが、本制度の導入は、地域格差の是正等を目指す国の基本的政策に逆行するものとして、国及び国鉄に対しまして反対要望を行ってきたところであります。また、上越新幹線の上野駅乗り入れ後における在来線の優等列車につきましては、新幹線ダイヤとあわせて、利用者の利便性が確保できるよう検討されるべきものと考えております。なお、新幹線料金につきましては、今ほど申し上げた趣旨から、一律運賃が望ましいと考えております。 県民の足の確保につきましては、本県が豪雪地であること、及び過疎地の振興という観点から、国鉄線の果たす役割は大きなものがあると考えます。米坂線につきましても、国の方針が決定したわけではございませんが、同線は本県と山形、仙台とを最短距離で結ぶ路線として、極めて重要な役割を果たしており、存続に向け、東北各県及び関係市町村と一体となって、国を初め関係機関に働きかけてまいる考えであります。 北越北線の経営につきましては、会社として減量経営に努めることはもとより、県及び沿線市町村が一体となって誘客対策に努めてまいりたいと考えております。これまでの試算では、大幅な赤字は出ないという結果となっておりますが、仮に赤字が生じた場合は、県及び出資市町村が出資比率に応じて負担していかなければならないと考えております。 北越北線沿線地域の開発につきましては、長期的視野に立って、沿線市町村がみずからの創意と努力により、地域に根差した産業の振興、特産品の育成、あるいは地域の条件を生かした観光開発及び企業誘致などを積極的に進める必要があると考えておるところであります。県といたしましては、沿線地域市町村の意欲と熱意を十分にくみ上げながら、地域全体の振興、開発が図られますよう、沿線市町村とともに北越北線沿線地域開発計画を策定していく考えでございます。このため、県と沿線市町村で構成する地域開発連絡会議を設置いたしまして、地域開発計画づくりを積極的に進めてまいりたいと考えておるところであります。 次に、県の機構改革の問題でありますが、最初に、生活環境部の問題につきましては、環境行政と衛生行政は、いずれも県民の快適な生活環境をつくり、人々の健康の保持と増進を図っていくことが目的でありまして、その業務の関連性、類似性は極めて深いものと考えております。したがいまして、これらの行政は一元化し、総合的に対処してまいる方がより効果的でありますので、両部を合体させ、内容を十分強化し、合理的で能率的な組織に改めるべきものと考えておる次第であります。具体的な成案につきましては、目下総務部におきまして鋭意作業中であります。 なお、生活環境部の中でも、消費者行政や交通安全対策は、いわば県民運動的色彩の強い仕事であることや、課が設置された当時の背景と現状を比較した場合、衛生部との合体になじまない面もあり、総務部あるいは企画調整部へ移行した方がよいとも思われますので、これらを踏まえまして検討しておるところであります。 次に支庁問題でありますが、先ほど高山議員に詳細にお答えしたとおりでありまして、私は、現在の支庁制度につきましては、かねてから効率的な行政を進める中で、今の組織のままでよいのかどうか、非常に疑問を抱いておったところであります。支庁の業務内容は変則的な点があり、また、中越や下越との整合性を考えますと、極めて不合理であります。支庁問題に限らず、行政改革を進めるに当たりましては、特に地元関係者の意見を聞き、広く御理解と御協力をいただかなければならないことは申し上げるまでもありませんが、この問題にいたしましても、地域の振興、発展と住民サービスの低下防止には十分配慮しながら、効率的な行政組織のあり方を求めていく考えであります。 なお、私は、組織・機構を見直した結果、改革の必要があると判断したときは、県民の賛同を得た上で、可能な限り早く実施すべきものであり、それが行政運営の基本だと信じております。 以上で答弁を終わります。   〔総務部長有磯邦男君登壇〕 ◎総務部長(有磯邦男君) 人勧問題に関連いたしまして、財政協力を求めるという御質問でございますが、組合交渉の過程で人事委員会の勧告が完全に実施されないのは残念ですが、苦しい県の財政事情の中で、できるだけお互いがすべての経費の節減に努めるべきものと申し上げておるところでございます。 勧告の未実施分及び本年度の人事委員会勧告につきましては、勧告がなされました後、政府の方針及び他の都道府県の動向なども慎重に見守りながら対処してまいる考えでございます。 次に、本県市町村のラスパイレス指数についてでありますけれども、市及び町村ともに、平均が全国平均よりも下位にあることは御指摘のとおりであります。今後も、国家公務員の給与制度やその運用を基本に、適正化が図られるよう指導してまいりたいというふうに考えておるところでございます。   〔農林水産部長山田稔君登壇〕 ◎農林水産部長(山田稔君) 米の潜在生産力につきましてお答え申し上げます。 国全体の米の潜在生産力は1,375万トンと国から公表されております。しかしながら、その実際の根拠を把握できますのは、47都道府県を統括いたしまして調査をできます国、農林水産省でありまして、仮に本県のみがいかに厳密な調べを行ったとしましても、国全体の潜在生産力を推しはかることができない現状にございます。 そこで、お尋ねの本県の潜在生産力を国の計算方式を参考にいたしまして、58年度の数値で計算をしてみました。国では、水稲作付面積に転作などの実施面積を加えまして、これから年間の壊廃で減ります面積と転作カウントのみの対象面積を差し引いて潜在作付面積といたしておりますので、これと同様の方法で、昭和58年度の本県の潜在作付面積を計算をいたしますと、約16万8,300ヘクタールという数字が出てまいります。この面積に、昭和58年産の平年単収、作況指数100といたしました場合の数量508キログラムを乗じまして、これに、ごくわずかでありますが陸稲がございます、これを加えました潜在生産量は約85万5,000トンという数字が出たわけでございます。 また、今回の本県の潜在生産力などの調査を市町村等を通じて行いました。この調査は、今後の稲づくりと水田利用再編対策指導の参考にするために、昭和59年度の転作など実施見込み面積のうち、今後も水田に復帰しないと想定される面積を、市町村長に照会をいたしまして取りまとめたものでございます。それによりますと、水田に復帰しないと想定される面積は、県内全体で約2,000ヘクタールでありまして、これは全水田面積に対しまして1.2%、それから、転作などの目標面積に対しましては9.6%という数字になったところでございます。 これらの結果を今後の本県の農政にどう反映させていくのかというお尋ねでございますが、去る8月24日に、知事の意向を受けまして、私が農林水産省に出向き、明年度の転作推進上の重要課題であります目標面積の緩和や他用途利用米面積の実績配分などに加えて、潜在生産力の見直しにつきましても強く要請をしてきたところでございます。これに対しまして、農林水産省は、原則として今対策期間中の制度の基本となる事項については見直しを考えていないという極めて消極的な考え方が示されたところでありますが、今後ともゆとりある需給計画を樹立し、目標面積を緩和することによって、良質米の生産拡大ができますよう国に要請をしてまいりたいと考えております。   〔農地部長垣内勝弘君登壇〕 ◎農地部長(垣内勝弘君) 荒廃農地についてお答え申し上げます。 県内におきます荒廃農地の実態等についてでございますが、昭和57年の新潟農林水産統計年報によりますと、耕地壊廃面積のうち、宅地、工場用地、道路、植林等を除きますその他の項目に相当する面積は580ヘクタールありまして、荒廃農地はこれに含まれるものと思われます。このような荒廃農地は、生産性の低い農地で、主として中山間部の過疎地の放棄水田と考えられます。 このような中山間部の農地の荒廃を防ぎ、生産性の向上を図るため、農地と里山の山林原野を一体的に整備する目的で、本年度国の委託によりまして進めております農林地一体開発整備基本調査等の調査結果を待って、整備を図ってまいりたいと考えております。 また、農地による自然災害防止の働きにつきましては、水田におきます水利用は、河川の流況安定、地下水の涵養等の機能を果たしておりまして、特に、降雨時の水田の湛水は遊水池となり、ダムと同様の治水機能を果たし、水害防除の大きな役割を担っているものと理解しております。   〔警察本部長斉藤隆君登壇〕 ◎警察本部長(斉藤隆君) 御質問の事件の捜査経過についてお答えいたします。 9月20日の午前7時過ぎごろに、市長宅に男の声で脅迫電話がございまして、被害者方からの電話通報によりまして警察は事件を認知したところでございます。 事態を重視いたしまして、警察本部から直ちに新潟西署に捜査員を応援派遣するなど、強力な体制で捜査を推進しておったわけでございますが、24日に指定されました場所のパチンコ店に行きましたところ、犯人側から、高速道路へ現金を持参するようにとの、場所変更の電話が同店にかかりましたので、捜査員が指定されました高速道路付近に隠密裏に移動しましたところ、その高速道路下から不審車両が急発進いたしまして、これを追跡いたしましたが、見失ったものでございます。 秘匿して配置しがたい場所において不審車両と遭遇するなど、もろもろの不利な条件が重なりまして、結果的に不審車両を捕捉することができず、まことに残念でありましたが、今後ともさらに綿密、適切な捜査を推進いたしまして、犯人を早期に検挙して、県民の不安感を取り除くべく、強力な捜査を推進してまいる所存でございます。 以上でございます。   〔企画調整部長大川進君登壇〕
    ◎企画調整部長(大川進君) 国鉄のダイヤ問題についてお答えを申し上げます。 県といたしましては、かねてからダイヤの改正に当たりましては、利用者の側に立ったダイヤとするように、国鉄に対して要望を行ってきたところでございます。最近におきましては、6月に、新幹線との接続ダイヤの増強及び接続時間の短縮、並びに地域住民の利便を考慮した列車ダイヤの確保等を骨子とする要望を行ったところでございます。さらに先月も、県国鉄整備促進協議会の場で、国鉄に対しまして同様趣旨の要望を強く行ったところでございますが、今後ともお話しの趣旨を踏まえ、要望してまいる所存でございます。 以上です。   〔人事委員会委員長成澤猛君登壇〕 ◎人事委員会委員長(成澤猛君) お答えいたします。 まず、本年の給与勧告の作業過程及び内容についてでございますが、例年のとおり県内における民間事業所の給与実態調査を行い、地方公務員法に定められている給与決定原則に基づきまして、現在、勧告内容について鋭意検討中でございます。勧告の時期につきましては、なるべく早く勧告できますよう、作業の促進に努力しているところでございます。 次に、未実施分に対する対応についてでございますが、給与勧告は、毎年4月現在をもちまして、在職する職員と民間従業員の給与について綿密に調査、比較し、公民間に較差が生じた場合は、その較差を是正するよう行われているものでございます。人事委員会といたしましては、これまでも公民較差是正のため勧告を行ってまいりましたが、残念ながら57年は実施の全面的見送り、58年は一部実施にとどまりました。したがいまして、本年4月の調査に基づく公民較差の中に、未実施分に対応する額がいかほどであるかは不明でありますが、理論的には、調査の結果判明いたしますところの公民較差の中に、未実施分に相当する較差が含まれていると考えられます。 給与勧告制度は、改めて申し上げるまでもなく、議会、知事におかれまして十分尊重され、その実施に最大限の努力をしていただくことを基本として成り立っているものでございます。人事委員会といたしましては、勧告どおり実施されますよう強く望むものでございます。 ○議長(岩村卯一郎君) 米山繁男君の質問は終わりました。 暫時休憩いたします。  午後0時13分 休憩   ――――――――☆――――――――  午後1時19分 開議 ○副議長(小林脩君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行います。 まず、吉田六左エ門君の発言を許します。   〔吉田六左エ門君登壇〕(拍手) ◆吉田六左エ門君 それでは、9月議会の午後からの1番でございますが、県政に対する一般質問、県政会の吉田六左エ門という立場で、あらかじめ通告申し上げました順序に従って、3点について御質問を申し上げたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。 まず第1といたしましては、ガンセンター新潟病院新施設の機能の充実についてということで伺いたいと思います。 去る17日に、私はちょうど留守で出席できなかったのでございますけれども、ガンセンター新潟病院の新築のための地鎮祭と起工式が同時にとり行われたわけでございます。これは、62年早春2月の完成を目指してこれから工事が進められるわけでございます。まことに御同慶のきわみであると思います。 この同じ9月の17日、西頸城郡能生町出身の斉藤貞夫さんが、新東京国際空港から第2の故郷でありますブラジルのミナス・ゼライス州に向かって、元気に立っていかれたというか、戻っていかれたわけでございます。この斉藤さんは、27年前にブラジルに移住された方で、1月にサンパウロ市の医者に診ていただいたところが、がんであるということを告知され、母国の両親だとか、あるいは兄弟と相談の結果、どうせなら新潟に帰ってこい、立派なガンセンターがあるから、ここで手術をしてもらったらどうだということに意見が一致しまして、3月末帰国、そして5日後には、県幹部の配慮を受けて、早々にガンセンターで診療をしていただき手術。病院関係者の手厚い扱いを受けて、5月の27日には退院されたわけでございます。 私はちょっと縁がありまして、彼が県庁を訪ねるごとに、控え室でいろいろとお話をする機会に恵まれたわけですが、捨てたと思った命だ、ガンセンターの先生方と関係者の皆さんによってよみがえらせてもらった、名もないブラジル移住者に対して、医師も看護婦さんも、親切な取り扱いをしてもらったということを会うたびに感謝の意を表しておられました。 その斉藤さんが、13日にガンセンターで最後の診療を受けて、これこそくしくも起工式の日に日本を発たれた。ガンセンター新潟病院は、全国に先駆けて本県が設置し、がん対策と多くの命を守ってきた誇るべき病院でありますが、ブラジル移住者のこの率直な評価こそ、新施設に対しての全県民の期待ではなかろうかと私は考えているものであります。 さて、全県民待望のこの新ガンセンターは、知事がドクターであられる専門的立場から、また、県財政の大元締めであられる笠原出納長が前任の病院局長であるという必然性から、緊縮一途の財政方針にもかかわらず、着工を1年も早めたという英断は、県民ひとしく称賛を惜しまないところであります。しかも、2月定例会において、県新庁舎工事の発注が県外業者に比重がかかっていることを指摘させていただいた折、知事は、ガンセンター建設には県内業者に優先発注したいと御答弁をされましたけれども、新施設の工事にはそのお約束をお守りいただいて、大変に立派な知事だと改めて感謝をしているものであります。 しかしながら、建設費が総額101億円と言われ、本年度から62年度に及ぶ継続事業として、本年度予算は10億7,340万円が計上されているところであります。計画まことに立派でありますが、無理を承知で1年早めたこの継続工事に対して、今後3年度の間、予定どおり予算をつけ、計画どおり62年2月に工事竣工ということは、確かなのかどうか、知事の決意を含めてお伺いしたいのであります。 次に、新施設の医療設備や医療機器類についてお伺いしたいのであります。 目まぐるしい科学技術の発展は、医療設備類もその例外ではなく、かつて誇るべきガンセンター新潟病院であったとしても、今や時代おくれとなった機器類を医師の医療技術でカバーして、ガンセンターの権威を守ってきた部分も多いのではないかと思っているのでありますけれども、新施設の開業を契機に、「新しい酒は新しい革袋に」の例えのとおり、新施設にふさわしい医療機材は、旧施設から持ち込むものを除いて、一体どれくらいの金額となるのか、伺いたいのであります。 建物の工事と予算措置は4年度継続でもやむを得ないことでありますが、新施設への移動というか、引っ越しと言ってもいいのかもしれませんけれども、重症の入院患者移動も含めて、新ガンセンターの開業のその日には、瞬間的にすべての内部設備は完備していなければならないのではなかろうかと思います。世界の医学が克服も解明もし切れない病、がんの臨床医学の第一線を守るガンセンターの権威と、県民の要望にこたえるためにも、内部設備、なかんずくすべての医療機器はパーフェクトの状態にあるべきで、年次継続事業で整備されるというようなことがあってはならないと思います。それについての御意見と予算措置について、その見込みあるいは工事継続年度に並行して機器類も購入するのかというあたりをお聞かせいただきたいと思います。 また、これは全く私の私見でございますけれども、県政発展に相応しての貢献をされている県内外の信用高い企業に対して、新ガンセンター開業に当たり、医療機材を寄附いただきたいと知事がお願いするならば、恐らく快く受けてくれる向きもあろうかと確信します。県政は県民のものであり、ガンセンターも県民のものであります。貧しいことは恥ずかしいことではありません。県財政不如意の折にもかかわらず、どのような無理を差しおいても達成しなければならない新ガンセンター開業が完備された条件にあるために、財界の助力を請うことも県政だと確信するものでありますが、知事のお考えを伺いたいと思います。 第2番目といたしまして、空港整備と佐渡の観光開発についてお伺いしたいと思います。 県は、例年、重点施策の中で豊かな県土の整備を挙げ、そこで常に総合交通体系の整備をうたってきました。それは、道路網の整備から港湾、空港の建設、そして鉄道、バス対策にまで及び、それぞれ特徴のある施策がなされていることも確かであります。総合交通体系なるものが理想的に整備されることに比例して地方が発展するものならば、本県のように港湾、自動車道、新幹線、空港とすべての点で、隣接5県に比べれば優越的な条件にあるはずでありますのが、上越新幹線が開業して間もなく、新潟―東京間の定期便が停廃されるという事実を見る限り、総合交通体系の整備とは一体何ぞやと首をかしげたくなるのであります。 ところで、その新潟―東京便の廃止の後、新潟空港整備推進事業について、県はあきらめて骨休みをしているのではありませんか。当面の新潟―東京便の廃止と空港整備の推進とは、本来次元の違うものであるはずであります。B滑走路の2,500メートル延長について、運輸省が首を縦に振らないからとしても、国際空港としての新潟は、どうしても2,500メートル以上なければ、今後の機種変更に対応できないはずであります。東京便がなくなって、旅客需要が落ち込んだので、2,500メートルなくともよいというような危険な思想が運輸省にあり、それに県が同調しているとしたら、極めて非科学的であり、総合交通体系整備の名にも劣るものと言わなければなりません。 運輸省は、ただいまようやくにしてB滑走路の誘導路建設に着手し始めました。新潟空港がジェット化されて、安全上どうしても必要なのにもかかわらず、10年余り放置しておいたのではありませんか。空港整備は施設の拡張だけではないはずであります。新潟空港として何よりも優先して整備しなければならないのは、新潟―新東京間、いわば成田線の開設ではありませんか。成田の2期工事の見込みがないので国内線の乗り入れはまかりならぬというのならば、新潟もあきらめていいでしょうけれども、大阪、札幌、沖縄ならばまだ理解ができますけれども、新潟と同じ第二種空港である鹿児島、長崎、福岡、名古屋の4空港間に成田線が開設されているのであります。運輸省はこう言うかもしれません。新潟空港は滑走路が短いからと。だが、滑走路の短い新潟空港に着発しているボーイング727を使ってまで、名古屋、長崎、福岡間の運航を許されているではありませんか。新潟―成田間の路線は許されないわけはないはずであります。 私は、昨年6月の定例会でも同じ質問を申し上げています。県当局はこの間、この問題について、あれから1年どのように対策をされたのか、お伺いを申し上げたいと思います。どうしてもそれが当面困難としても、現に新潟―ソウル便の日本航空のボーイング727が週に1回、新潟―東京間を空便で運航しています。せめてそれを試行として、定期路線の新設を手がけてはいかがでしょうか。この辺で県民の英知を絞りたいというところであります。施設の拡張はそれからの論議でもいいでしょう。だが、その事前に、騒音対策、そして民家防音だけでなく、被害地域、例えば松浜や船江町に、空港公園とか空港遊園地のようなものも設置して、住民対策におさおさ手落ちのないように手はずをしてもらいたいものであります。 次は、新潟県が管理者である佐渡空港についてでありますけれども、佐渡空港は、昭和30年代に現在の施設規模を整えながらも、運輸省の認可がとれずに、46年に初めて供用が開始されたと聞いております。等級はしりから2番目のH級で、第三種空港としても問題にならないわけであります。この間の事情は歴史的事実として記録されていますので、ここでそれを掘り起こす気はありません。年間1,300万円だとしても、一般会計から管理費を支出している管理者たる県は、今後これをどうするのか、その見解はぜひお伺いしたいのであります。 ところで、佐渡にはゴルフ場開発の計画が幾つかあったようですけれども、不思議なことに、どれも消滅しています。佐渡を離島と呼ぶのは、国の離島振興対策の恩恵にあずかるために有益であるだけで、佐渡の人は、佐渡が離島だなどと思う人はなく、佐渡ガ島は鉄道がないだけで、本土以上に恵まれた点が多くあります。それは気象条件であり、観光資源であります。仮に佐渡にゴルフ場ができれば、佐渡は単なる史跡の島ではなく、伊豆や箱根にも劣らない近代的な、そしてリゾート・アイランドに生まれ変わって、佐渡の皆さんをより豊かに潤すことは間違いないはずであります。 ゴルフ客の増加は本格的ホテルを必要とします。大会議場を備えたホテルとゴルフ場があれば、各種学会や会議の誘致は、この新潟市よりも有利であるでしょう。場合によっては、国際会議の誘致も夢ではないはずであります。そして四季を通してのことでもあるわけです。そのためにも、空港の整備は絶対条件であります。新潟空港からセスナを飛ばすだけの空港ではなく、国内の主要空港から臨時便がいつでも飛んできて、佐渡全島にその余禄がばらまかれるための空港のことであります。空港整備の面から、佐渡の観光振興について、新たな企画を県がなすべきときではなかろうかと思いますが、いかがでしょうか。 最後に、第3番目といたしまして、新産都市法と東港開発についてお伺い申し上げます。 東港開発の促進は県政の重点施策にもかかわらず、花も咲いてくれないし、実も結んでくれないままに歳月が経過していることはまことに遺憾であります。 過日、都内で、新潟に支店を持つある会社の幹部の方と夕食をともにしました折、先様は、新潟は韓国米輸入に反対して荷揚げを阻止するそうだが、港を何と心得ているんだね、新潟は港町でしょう、港町とは、出船入船でにぎわわなければ町は栄えていかないはずなのにね、と話を向けられました。単なる世間話のつもりでの話題なのでしょうけれども、私はぎくりといたしました。いや、それは一部の団体の動きであって、県政でも県民の意思でもありませんよと打ち消しましたが、東港開発にとっても考えさせられる言葉であります。 なぜならば、現時点での東港開発は、その基本である新潟地区新産都市建設基本計画が内閣総理大臣に承認されてから20年たっているというのに、その二昔前にやっておかなければならなかった用地買収をやりながら、企業誘致も並行して進めているのであります。そして、紛れもなく、その新産都市計画の中の一部にある西港に入る韓国の米輸送船に反対するというのですから、新潟県と競争意識を持つ他県としては、見るも楽しい対岸の火事ということになるのだと思います。 ところで、1年生でありますのでまだ不勉強でありまして、本県が20年前に承認を受けた建設計画の内容、すなわち新産都市建設促進法第11条に定められる内容、特にその中の整備すべき施設の各項目についての子細を知ってはいません。知ってはいませんが、20年を経て、今や新産都市計画の中の東港を中心とした新潟臨海工業地帯は、港湾と工場だけがそのすべてであって、住宅や宅地や教育施設及び厚生施設あるいは職業訓練施設など、基本計画に盛られていたかどうかは別として、現に東港周辺には全くその計画はないことだけは事実です。恐らくそれらのものは、広大な新産都市構想区域の既存施設で間に合っているということになっていたのでしょう。そのことが問題であって、東港開発の長丁場とその混迷はそこにあるのではないでしょうか。 20年間の経過の前半ならば、高度経済成長期でもあり、土地ブームでもあり、設備投資は目をみはる状態にありました。そのころ、一気かせいに開発を終わっていたなら、今の苦悩はないはずです。しかし、新潟地震、阿賀野川有機水銀事件、新潟県としては企業立地を不利にする事態が続出、後半はさらに公害問題や石油ショックと、企業進出さえ抑止することになり、現在に及んでいるのであります。過ぎ去ったことを悔やんでもいたし方ないことです。ここで県当局は、今や博物館入りしてもよいような新産都市法の規制が重荷になっているとしたならば、それを改めるための必要な措置や対策を国と講ずることはできないのでありますか。 開発計画は見直しを検討中であるとしても、工業団地がすべてであっては企業誘致は困難だと思います。団地の中にゴルフ場があってなぜいけないのですか。工場地帯の一角に、パチンコ屋や飲み屋や喫茶店などの商業業務地が介在することは不可能なのでしょうか。新潟大学用地にもひけをとらない島見海岸に工業技術短期大学があっても不思議ではないし、その砂丘地に県の住宅公社がマンションを林立させても至極自然だと思います。東港開発は、ここまで来れば、21世紀の新潟県のためにあると言ってもいいでしょう。もっともっと県民の英知を集め、人間くさい、人間の集まりやすい生産基地を目指してはいかがなものでございましょうか、御所見をお伺いいたします。 次に、東港でのコンテナ輸送についてのことであります。過日、シベリア経由で冷凍コンテナ輸送計画を県がお手伝いをしたいと報道されていましたが、まことに結構なことだと思います。 そのシベリア鉄道経由の由来のことであります。ここに、昭和44年4月、5月の新潟日報の写しがあります。当時東港建設に合わせて、臨海鉄道株式会社の設立に絡んだ関係の記事でありますが、「新潟東港にコンテナ基地を」という見出しの記事に目を引かれます。当時これを担当された記者の方にお伺いしたら、臨海鉄道の採算を上げるために、会社も国鉄も、シベリア鉄道経由の欧州向けコンテナを扱うことを期待したいきさつがあったそうです。コンテナ・バースには、臨海鉄道を引き込む構想だったそうであります。ねらいは、京浜地帯から船で出していた欧州向け雑貨を、シベリア・ランド・ブリッジ構想に合致させることであったのです。しかし、障害はシベリア鉄道の軍需優先と民間輸送に対する輸送力の不安定さにあったとお聞きしました。 ところで、中央政界には、国鉄再建構想絡まりの中で、2年後に開通するという第2シベリア鉄道を経由して、日本からヨーロッパ向け直通輸送体制を確立しようという案がありますけれども、御承知でしょうか。これは新潟東港ではなく、北海道―サハリン経由という、まさに遠大な構想であり、工事中の新線はバイカル湖北辺を経てアムール州に抜けるもので、途中でそれが現在のバム駅に接続できるのでバム鉄道と呼ぶようです。これはきのうのテレビで完成したという様子が報道されていましたけれども、直行でサハリン対岸のワニノ港までなら、ナホトカからより約1,000キロ近く短く、北海道経由案も決して軽視できない考えだと思います。ともかく、バム鉄道ができるということは、シベリア鉄道の輸送力が倍増されることになることは確かです。 昭和44年に先見の明を持った我が新潟県が、シベリア・ランド・ブリッジ構想を北海道経由などに持っていかれることのないように、実際に現在でも民間ベースではありますけれども、コンテナを月に2便ほどシベリア・ランド・ブリッジ構想のもとでヨーロッパへ送っている事実があるわけでございますから、海外調査を含めて万全な対応をなすべきだと考えますけれども、知事の御見解をお伺いしたいと思います。 終わります。(拍手)   〔知事君健男君登壇〕 ◎知事(君健男君) ガンセンター新潟病院の建設につきましては、関係各位の協力を得まして、去る9月17日に起工式を行い、工事に着工したところであります。 御承知のとおり、極めて厳しい財政事情にありますが、必要な財源の確保に努めまして、当初計画どおり62年2月完成、5月移転開院ができるよう進めてまいる考えでございます。 また、医療機器の整備に当たりましては、昭和35年に現病院を建設した際、広く国内外から募金した経過があります。今回の改築に当たりましては、ただいまのお話もありましたが、病院局長からも募金について話がありますので、検討を進めてみたいと考えております。 次に、空港整備と佐渡の観光開発の問題でありますが、観光の多様化、高速化に対処するため、佐渡空港の拡充整備につきまして、これまで2回にわたり調査検討をしてまいりました。その結果、地形障害、騒音並びに建設費等難しい問題もあることから、現空港を最大限に利用する方向で対処してまいりたいと考えております。 次に、新産業都市建設促進法と東港開発についてでありますが、新潟地区新産業都市の区域は、21市町村に及ぶ広範な地域が指定の対象となり、開発発展のための各種の施策が国の助成を受けながら展開されてまいりましたが、新潟東港地区は、その区域の中における工業開発の拠点として開発が進められてきたところであります。 しかしながら、近年における社会経済情勢の急速な変化は、企業の立地の態様にも大きな変化を及ぼし、工場団地内の整備だけでなく、教育施設、厚生施設、住宅環境など、周辺の環境にも大きな関心が寄せられており、御指摘のように、今後の東港開発を進める上で、それらの条件整備が重要であると考えます。そこで東港開発計画の見直しに際し、開発区域内に公共的施設や商業的機能を具備した管理機能区域を設けることといたしましたが、さらに周辺の環境整備にも努めまして、企業立地の促進を図る考えでございます。 次に、シベリア・ランド・ブリッジにつきましては、本県では同構想実現のため、新潟―ナホトカ間のコンテナ船就航を関係方面に強く要望し、昭和55年に実現して以来、シベリア鉄道経由ヨーロッパ向けの貨物は年々着実な伸びを見せておるところであります。 また、現在、コンテナ船の運航が定期便としては月1便となっておりますが、近々増便になると聞いておりますので、御要望のとおり、これを機会に県といたしましてはさらに対岸貿易の促進とあわせて東港の整備に努め、同構想の推進に努めてまいりたいと思います。 詳細については、関係部長から答弁させます。   〔企画調整部長大川進君登壇〕 ◎企画調整部長(大川進君) 吉田議員にお答えを申し上げます。 新潟空港の整備につきましては、この空港が我が国と対岸諸国等との文化、経済交流の拠点として、極めて重要な位置を占めていることから、2,500メートル滑走路の早期実現に向けて強力に運動を展開してきたところでございます。 しかしながら、御案内のように国の財政事情や、羽田、成田及び新関西空港整備最優先という考え方から、地方空港の整備については大変厳しい状況にございまして、新潟空港につきましても、再々の要望にもかかわらず、現段階では残念ながら2,500メートル滑走路延長は進展していないという状況でございます。 県としてはこれまで2,500メートル滑走路実現のための運動を重ねる一方、関係機関ともども、技術的な検討、調査を続けてきたところでございます。また、空港整備に当たりましては、需要の増加というものも大変大きな要素でございますので、利用客の増加対策もあわせて講じてきたところでございます。その結果、最近では大阪便を中心としての国内線及び国際線とも順調に伸びておるところでございます。 いずれにいたしましても、御指摘のように、新潟空港は国際空港でもございますので、2,500メートル滑走路の早期実現を今後とも国へ強く訴えかけてまいりたいというふうに考えておるところでございます。 次に、お話のありました新東京国際空港、成田と新潟を結ぶ路線についてでございますけれども、現在のところ国内主要幹線として、成田と千歳、名古屋、大阪、福岡が結ばれておりますし、また国際線といたしましては、名古屋、福岡、長崎、鹿児島が成田乗り入れとなっております。 新潟の場合、国内線としては残念ながらローカル線でございますし、また国際線といたしましては、ハバロフスク及びソウル線があるわけでございますけれども、ハバロフスク線につきましては、極地間航空ということで新潟どまりでございますし、また、ソウル線につきましては、ソウル線を有する他の空港――これは名古屋、福岡、それから長崎とあるわけでございますが――と同様に航空協定上、成田乗り入れはできないという取り扱いとなっているわけでございます。 なお、新潟―成田間を空き便で飛んでおります飛行機の効率的利用につきましては、運輸省及び日本航空等とも、事務レベルで話し合いを続けておりますけれども、これまでのところ、航空協定やあるいは採算上の問題等によりまして、実現は難しい状況でございますけれども、なお、精力的に話し合いを進めてまいりたいと思っております。 最後に、騒音対策、住民対策についてでございますが、60年度以降行う予定としております環境影響調査を進める中で、関係する方々の御理解を得られるよう万全を期していきたいというふうに考えております。 以上でございます。   〔病院局長織原義男君登壇〕 ◎病院局長(織原義男君) 新ガンセンター新潟病院の医療設備機器の整備についてお答えを申し上げます。 現在、建設スケジュールに合わせまして、鋭意整備計画案の練り上げを行っているところでありまして、その金額を現段階では明示し得ないところでありますが、本年度内に成案を得まして決定をする予定でございます。 考え方といたしましては、移転までに当然現病院として整備すべきものを含めまして、移設使用可能なもの、耐用年数を過ぎ、老朽、陳腐化して更新の必要のあるもの、新たな診療科の増設に伴って整備を要するもの、診療治療機能を充実する上で整備を要するものなどの観点で整備を図ることといたしておりまして、新病院の診療機能に即した医療機器整備を行う所存でございます。 なお、他県類似病院の状況、最新版の自治体病院協議会の医療機器設備基準、日進月歩のME機器の成熟、開発見通しなども参考にしたいと考えております。予算措置につきましては、61年度以降を予定をいたしておりまして、開院時には支障のない整備状況となるような努力をしたいと思います。 以上でございます。 ○副議長(小林脩君) 吉田六左エ門君の質問は終わりました。 次に、福島富君の発言を許します。   〔福島富君登壇〕(拍手) ◆福島富君 私は日本共産党の立場から、当面いたします県政上の幾つかの問題につきまして、知事そして関係部長にお尋ねを申し上げたい、かように思います。 まず最初に質問申し上げたい点は、行財政問題についてであります。 その第1は、国の補助金カット、地方転嫁についての知事の御見解を伺いたいと思います。午前の議論でも出てまいりましたが、さらに新たな立場等を含めて踏み込んでお尋ねを申し上げたい、かように思います。 本定例会に先立って、県議会議会運営委員会では、この補助金カット撤回を求めまして、全会一致の本定例会の意見書を採択するとともに、強力で効果的な反対行動を国に向けて展開することを申し合わせましたが、行政当局の知事としては、いかような御対応をお考えでありましょうか、お伺いをいたしたいのであります。 実は、昨今の君知事のこの問題につきましての御発言で気になるところがございます。それは、去る9月20日、庁議後の記者会見の際の御発言でありますが、新聞報道では、さきに全国知事会が絶対反対の緊急要望をしたが、10%引き下げは実施されるだろうという悲観的な見通しをお述べになった、こういう報道があるわけです。内なる行政改革には大変強力な政治姿勢でありますが、我が地方自治体にかかる攻撃には弱腰の感じでは困るのでありまして、真意をお伺いしたいわけであります。 御承知のように、地方行革の推進を打ち出しまして、補助金についても総額抑制の意見を提出いたしました行革審の方向に沿いまして、国は補助金1割カットを強引に推し進めようとしております。しかし、これは国が最低限度の生活保障をすることを規定いたしました生活保護法など法の本旨を無視したものであるだけでなく、「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」といたしました地方財政法を全く無視をした乱暴なものであり、断じて容認をしがたい、絶対反対――容認しがたいと知事はおっしゃっておるわけですが、絶対反対、撤回を求める、この働きかけをお願いをしたいのであります。 もしこのような福祉、教育、労働費などの地方転嫁をいささかでも許すならば、国は地方財政ゆとり論を盾にいたしまして、公共事業を初め、第2、第3の補助金カットの挙に出てくるでありましょう。これは新潟県のような場合には特に影響甚大であります。 私は、このような理不尽な国の地方財政圧迫に、知事は不退転の決意で対処されるよう強く望むものであります。そのために、私が知事に具体的に求めたいと思いますのは、地方財政法20条の2に定められております、国の支出金について不服のある地方公共団体は、自治大臣を経由して内閣、または内閣を経由して国会に意見書を提出することができるという条項を活用していただきたいということであります。単に全国知事会を通じてというところにとどまらず、地方自治の権能を100%発揮して、本県独自の意見書を提出されるよう求めたいのでありますが、いかがでありましょうか。 行財政問題の質問の第2は、本定例会を直前にいたしまして、突然に知事が提唱されました上越、佐渡両支庁廃止についてであります。 私は、この廃止論の即時全面撤回を強力に主張するものであります。知事は、上越や佐渡が豪雪、過疎、離島というハンディを背負った地域であることをどのように受けとめておられるのでしょうか。電話が即時通話になった、交通機関が便利になったということだけで解決し切れない、地域振興、災害時対応などの行政課題を抱えた地域が上越、佐渡であります。 新潟県は、富山、石川、福井の北陸3県と匹敵する県土と人口を持った大県であります。そのことが無視されて地域密着の県行政サービスは切り捨てられ始めています。特に農業改良普及所を初めとする県の出先行政機関の統廃合は重大な問題を投げかけておるのであります。広島県の場合は、県行政サービスを地方に厚くして、本庁権限を地方出先に委譲する方針を打ち出しているのに、なぜ本県が支庁廃止という強権的とも見える統合論をとらなければならないのでありましょうか。 私は、知事が、上越、佐渡の両市町村や住民の声を広く聞かれるべきだと思います。関係自治体が困るという中で、市町村に負担だけを押しつけるような県行革は、断じて思いとどまるべきだと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 次に、米問題についてお尋ねをいたします。 4年連続の不作の後、ことしは幸いに好天に恵まれ、一部の地域を除きまして豊作となりました。大変喜ばしいことであります。ところが、この豊作を理由に減反緩和の見送りの動きが強まっております。そもそも今回の減反の見直しは、米の緊急輸入という異常事態のもとで、政府がこれまでの需給計画は余裕のないものであったことを認め、国民と農民に約束したものであります。知事におかせられては、減反緩和見送りの動きにどのような御見解か、お聞かせをいただきたいのであります。 ことしの豊作を減反緩和見送りの理由にするのでなく、長期的にすべての米を安定供給できる体制に改める絶好のチャンスとすべきではないでしょうか。特に毎年平年作を前提とし、その年の需要はその年の生産で賄うという単年度需給計画こそが、わずかな作況変動でも米不足を起こす原因であります。単年度需給計画を改めて、不作の年でも安定して米が供給できるゆとりのある需給計画とされるよう、知事から国に強く働きかけていただきたいのでありますが、いかがでありましょうか。 米問題第2の質問は、加工原料用米集荷についてであります。 政府は、韓国米輸入に対する農民の厳しい批判を受けて、他用途利用米を主食用として買い上げると言明いたしました。ところが、同時に20万トンの加工原料用米の集荷責任を農協と農民に押しつけ、他用途利用米の主食用買い上げをほごにしたばかりか、5,880円の輸入米価格並みの低米価の押しつけを図ってきているのであります。これは、米不足を逆手にとって、米輸入か安い米か、二者択一を農民に迫るもので、まさに脅しの論理としか言いようがありません。食用米にしても加工用米にしても、その確保は政府の責任であります。農協と農民に対する加工原料用米の集荷責任と、輸入米価格並みの超低米価の乱暴な押しつけを政府が取りやめるよう強く求めていただきたいのであります。さらに、60キロ5,880円の加工原料用米買い入れ価格は、再生産を保障するという食管制度の原則を根底から崩すことにならないのか、知事の御所見をお伺いいたします。 昨年12月県議会で、知事は他用途利用米を認め、他用途利用米が食管制度を崩すことになるとは考えていないと答弁をされました。日本一の米産県の知事が、生産費さえ切り込むような60キロ5,880円の加工原料用米をも認めるようなことがあれば、米作農家が一層苦境に立たされることは明らかであります。 米の第3の質問は、今日の米問題を正しく解決する方向についてであります。 米は臨調行革のもとで、国鉄、健康保険制度とともに3K赤字としてやり玉に挙げられ、政府の食糧管理費は、昭和45年、政府予算全体の5.9%から、今年度実に1.6%と大幅に削減されてまいりました。そして、米の政府全量管理と再生産の保障という食管制度の原則が、今や有名無実になろうとしているのであります。今日の米不足を生み出した根源がここにあるというふうに考えざるを得ないのであります。 臨調行革の名による食糧管理費の削減をやめ、すべての米に生産費を償う生産者米価を保障させなければなりません。政府が全量管理するという食管制度の本来のあり方を基本に据えてこそ、今日の米不足という深刻な事態を正しく解決できると考えるのでありますが、知事の御所見をお伺いいたしたいのであります。 3番目でありますが、最近にわかに県政上の焦点となってまいりました鳥屋野潟公園について知事にお尋ねをいたしたいと思います。 ある新聞は鳥屋野潟につきまして、次のように報道いたしております。年々進む水質汚濁と汚泥の流入で新潟市の貴重な自然は瀕死の状態だ。が、潟は田中元首相の金脈と言われ、政治の思惑も絡んで整備計画は進まない、新聞もこう指摘するように、鳥屋野潟公園計画が進まない最大の原因は、残念ながら、田中金脈事件であることは今も変わりないのであります。 最近の鳥屋野潟公園の早期実現を求めました2種類、合計11万に上る署名運動、また、鳥屋野潟は埋め立ててはならない、貴重な自然と治水機能を保全すべきだという鳥屋野潟研究会など市民運動の盛り上がりも、注目すべき動向であります。 君知事は、8月に、公園化は54年の見直し計画で区画整理で進めること、また、地権者も国もうんと言えるような案を本年中にまとめたいと報道機関に述べられております。9月に入りましてからは、既に任務の終わった鳥屋野潟整備計画推進協議会を再発足させる考えを発表されております。 鳥屋野潟について第1にお尋ねしたいのは、知事は鳥屋野潟について、一体区画整理の方式で事業が必ず進むという確たる見通しをお持ちなのかどうか、しかとお尋ねをいたしたいのであります。これは極めて重要なことであります。 私は、水面の私権をそのままにした公園化を主張してまいりましたが、今多くの市民が願っている潟の浄化、公園の促進にとっては、その手法こそが最も公園化の近道であり、道理にかなっていることをますます確信するようになりました。 最近新聞紙上でも、建設省の治水担当実務者が、治水上必要なしゅんせつには私有地でも公有地と同じ、一々許可なんか取りませんと語っており、建設省河川局水政課の見解も、民法上から言っても、しゅんせつ土を売ったりしなければ問題ないはずと県の方針に首をかしげる、新聞はかように報道していることは、知事も御承知だろうと思います。 私は最近になりまして、県当局も鳥屋野潟公園計画の初期の段階では、この建設省の見地と同じであったという重大な事実を発見いたしました。それは、昭和46年当時、当時君知事は副知事でいらっしゃったわけでありますが、君副知事の指揮のもとに発足いたしました鳥屋野潟総合開発プロジェクトチームが、同年9月にまとめました鳥屋野潟総合開発基本計画報告書の附属資料の中からであります。私は演壇にこの資料を持ってまいりました。これは、今まで公開をされておりませんで、私がこの議会に先立って資料要求をいたしまして、企画課から出していただきました。 このときのこの中にあります計画は、A案、B案、C案の3つの案を並列したものとなっており、知事はよく御承知だと思うのでありますが、A案は、公園を水田50ヘクタール買収してつくりまして、水面は湖岸整備程度にして水面の民有地はそのままで公園にしようとしております。つまり、湖の中については一切手を加えない、こういう内容であります。 B案は、公園用地に必要な50ヘクタールの水面を買収して、その部分だけを埋め立て、これも残りの水面の民有地私権はそのままで公園にする計画案となっております。B案は湖面の一部を埋め立ててそこを公園用地にする。残余の湖水面はそのままという案なのであります。しかも、この詳細な説明を行っている昭和46年報告書の附属資料では、水面民有地の私権を残したままでの公園化を認め、次のように記しているのです。すなわち「湖面は現在河川区域となっており、管理については河川法を適用し、現区域を公園として確保が可能でもあると考えられ今後の問題とする。」こう言っているのであります。 このときのC案だけが水面全部を私権抹消する。A、B案は、水面はそのままで公園をつくる。今日の建設省の見解と同一なのであります。河川は河川法でも公共用物とされておりまして、公共の福祉に役立たせなくてはならないし、ヘドロが堆積して流れがよどみ、水質悪化が起これば、建設省も認めておるように水面下の所有者のいかんを問わず、しゅんせつするのは河川管理上の常識であります。河川、湖沼の土地所有がどうであれ、ボートを浮かべ岸辺を整備して、公園として公共の福祉に役立てている。これはどこの河川、湖沼も同じなのであります。どこにもある風景で当然許されることであります。この常識がなぜ変質してしまい、今では何が何でもヘドロしゅんせつには同意が要る、区画整理で私権抹消しなければ断じて公園ができない、こういうふうになぜ変わってしまったのか。経過が極めて不明なのであります。 第2にお尋ねしたいのは、現在の鳥屋野潟公園計画は、潟の自然保全と治水対策、つまり、大雨が降ったときの災害防止の治水対策にとりましては最悪の計画案が採用されてきたのではないかということについてであります。したがって、今県民から求められている、潟を埋め立てる、広く水面を残し、自然を守り、治水機能を確保させるべきだという意見を取り入れて計画を根本的に再検討すべきだと思いますが、知事はどうお考えでありましょうか。 このことについても私は、先ほど申し上げた46年の翌年、47年度、舞台は当時の企画調整課に移りまして、企画調整課が日本技術開発株式会社というコンサルタントに、A、B、C案の詳細な公園計画の委託調査を行ったのがこれであります。この資料を請求いたしましたところが、実物がないということであります。ないのか見せないのか、いまだに不明なのでありますが、私のところには幸いに入りました。 これでお尋ねをいたすわけでありますが、プロジェクトチームの46年報告が出た後、鳥屋野潟公園検討の舞台は、今申し上げる企画開発部企画調整課に移り、そしてコンサルタント日本技術開発に公園基本づくりを委託し、その報告書は47年に提出をされたのであります。 この報告書は、さきにも触れましたA案、B案、C案を比較検討して、単に事業費が安くて済むというだけでC案に決めておりますが、C案は、自然保全との関係でA、B案に劣る。当然であります。最悪の案とされていることであります。ここでは、現在の湖としての景観保全と今後における環境改善による自然保全を取り上げ、特に水面確保による景観保全及び鳥類の保全では、A、B案に劣ると記述をしていることであります。 さらに、自然だけではなく治水対策でも採択のC案は最悪の案であります。ここに出ております。ここでは、潟の水面容量を広くとったA案、埋めないのですから容量いっぱいあってこれが一番いいのです。A案、B案よりも、潟をいっぱい埋め立てるC案の方が、最もポンプアップ能力を大きくしなければならぬ。つまり、この中で遊水池機能の最も劣った案だとしているのであります。 現在進められようとしている鳥屋野潟公園計画は、今日自然保全、そして市民運動の側から求められている、できるだけ埋め立てないで水面を広く、治水機能を大きく、自然をたっぷり残してもらいたいという願いとは最も遠い案、こういう大問題がここにあるのであります。 私は、知事がもう一度、鳥屋野潟公園の本来のあり方という原点に立ち戻って、今、市民、県民が求めているように、12年後の今日、12年前と同じ立場で鳥屋野潟の公園を進めていいというわけはないと思うのであります。自然観点は今日大きく変わりました。かけがえのない自然というのは、今日国際的な問題であります。10年の推移で大きく変わりました。ぜひ知事が根本に立ち戻った検討、私権抹消をしなくても済むと言っていた、そしてまた、公園が広く自然を残していった方がいいという案も出ていた、こういうところに立ち戻って、子細な経過の検討をお願い申し上げたい。 潟を埋め立てず水面を広くとるためには、ヘドロをどう始末するのかの対策が問われております。知事は、潟内処理しかないとして、現行の埋め立ての見解のようでありますが、既に新大農学部の土壌学の専門家から、汚泥量やヘドロとの割合、ヘドロの成分、処理方法については、県はもっと研究すべきだと提言をされ、そして、しゅんせつした砂は土木工事の埋め立てに――砂の方がいっぱいあるというのです。それは潟外で埋め立てに使える。ヘドロは石灰処理で畑作利用に使用できるし、潟外処理の可能性もあるとされているのであります。そうすれば、湖面を広くとることができるのであります。十分に科学的な調査、研究が必要だと考えるものであります。 さて、第3に鳥屋野潟でお尋ねをいたしたいのは、知事が本定例会後に再発足を目指しておられる鳥屋野潟整備計画推進協議会、既に3年前にその任務を終わっているのではないかということについてであります。また、この協議会を再発足させ、区画整理方式による換地率を引き上げるために、潟内埋立地を拡大することになるのではないかと取りざたされておりますが、知事のお考えはどうでありましょうか、明確にお答えをいただきたいのであります。 この協議会は既に終わり、過去形であることは運営要領によっても明らかであります。常設協議機関であれば幹事会が必要ですが、その定めが全くないのであります。関係機関との連絡調整と湖面下の私有権の処理を目的としていますが、これは昭和55年2月の協議会の初会合の席上で、協議会は水面下の土地所有権問題を協議する、このことを再確認してから協議に入っているのであります。 56年4月答申後に、会長でありました前市長川上さんがお亡くなりになりました。残念でなりませんが、川上さんも最近発行されました遺稿集の中で、鳥屋野潟協議会に触れて、こう言っておられるのです。「協議会はこれでおしまいにする」、あの遺稿集の中で述べておられます。私はそのとおりだったと思います。何よりも、56年4月の答申後、3年6カ月一度も会議をやっていない。このことがはっきりとなくなっていることを証明しているのであります。 鳥屋野潟は県管理の1級河川であり、今つくられようとしているのは県立鳥屋野潟公園であって、県の行政責任において正しく立案、推進されるべきであります。その上で、関係の市町村や団体に協力を求める。責任は県、第一人者は県。この主体がはっきり立たなければならないのであります。主体をぼかしてはならないのであります。でなかったら、これだけの難題が解決するわけはないのであります。こうして協議会の再発足は県の責任を回避するものにならないように私は願うのであります。知事の真意を伺っておきたいのであります。 次に、けさ発言の追加を行いましたところをお願いしたいと思います。 改正健康保険法が施行されまして、被用者保険本人が1割負担となってまいりましたが、けさの新聞報道等でも、全国23の都道県が、重度心身障害者、母子家庭の母、老人、難病患者の自己負担を肩がわりしている、こういう報道がございます。本県の場合も、3つの県単医療制度がございます。非常にアンバランスな事態が10月1日から生まれてきているのでありまして、他県で既に始まっているように、本県でもこれら健保本人の県内3医療との比較の上で不公平にならないように助成策を講ずべきだ、かように思うのでありますが、御見解をお伺いしたいのであります。 次にお尋ねいたしたいのは、低肺患者対策についてであります。 ことしの結核予防週間に当たりまして、県内での結核の権威者である国立西新潟病院の橋本正院長が、新潟日報紙上に寄稿され、最近では結核患者数が減少して死因15位となり結核に対する関心も薄れてきた、しかし、結核後遺症である低肺患者の問題が大きくクローズアップされ、結核の新たな問題としてゆるがせにできないと、対策強化を訴えておられています。 君知事もかつて結核医療に貢献いただいてまいりましたが、知事が御活躍いただいたころの結核患者が、今実は低肺機能に陥り苦しんでいるのであります。橋本先生も、50代、60代になると、心臓や肺の機能が衰えて、肺の中のガス交換が不十分になって息切れや動悸などの症状が出てくる、慢性の呼吸不全があるときに、気管支炎や肺炎などを合併して急性増悪を起こすと、激しい呼吸困難や昏睡状態になって救急車で運び込まれることもあるが、このときに適切な処置をしないと生命の危険があると、結核後遺症の怖さを指摘され、この症状は肺気腫、慢性気管支炎、ぜんそくでも起こり、その患者がふえていると警告されておるのであります。 そこで、私は本県におけるこの低肺患者の現状と対策について幾つかの点で質問をいたしたいと思います。 その第1は、新潟県内における低肺患者の実態把握はどうなっているのかということであります。全国の低肺患者数を厚生省は4万から5万と公表しておりますが、実際の低肺機能者数は毎年増加して、数十万とも言われております。私は、本県低肺患者数の実態調査を県で行っていただきたいのでありますが、いかがでありましょうか。また、身障者手帳交付も知らない対象者に、一日も早い周知徹底を図っていただきたいのであります。 質問の第2は、低肺患者やその家族の相談窓口を保健所につくっていただけないかということであります。私のところに低肺患者の方から手紙で、残念ながら保健所の保健婦で低肺のわかる人がいないと訴えております。ぜひ保健婦講習会等で低肺問題を取り上げ、保健所で患者相談に乗れるようにしていただきたいのであります。 質問の第3は、重症の低肺患者に対する集中呼吸管理室、IRCUと言うのだそうであります、これを備えました医療機関を整備することであります。厚生省は、国立医療機関で整備する方針と聞いておりますが、当面県内でも実現可能と言われる新潟市にあります国立西新潟病院、柏崎市にあります国立新潟病院でのIRCUの早期整備を強力に国に働きかけていただきたいのでありますが、いかがでありましょうか。 質問の第4は、結核後遺症による低肺機能患者の悲願であります在宅酸素療法、入院したときはいいわけでありますが、自宅におりまして急性増悪になりまして、呼吸困難に陥る、それが一番不安だと言っております。この在宅酸素療法の保険適用を国に働きかけていただきたいということについてであります。 本年8月2日の衆議院社会労働委員会で、共産党・革新共同の田中美智子議員が厚生省側に質問した際、保険局長は、社会保険医療適用の道を開きたい、次期診療報酬改定時の実現に努力すると約束をされております。酸素療法は退院すれば保険から外されて患者負担となっております。そのため在宅で急に夜中に苦しみ、酸素を持っていなかったために、胸をかきむしるようにして亡くなられたという患者のことも私は聞いております。ぜひ一日も早い在宅酸素療法保険適用を国が決定いたしますように、国に働きかけをしていただきたいのでありますが、いかがでありましょうか。 最後の質問は、土木部長にお願い申し上げたいと思いますが、公共事業における下請単価問題についてであります。 御承知のように、建設業法第19条の3では、「注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請求代金の額とする請負契約を締結してはならない。」と定めております。しかし、昨今公共事業の減少につれ、大手元請業者による下請圧迫は急速に激化をしてきておりまして、私のところにも、その窮状の訴えが再三にわたって参っております。これは土木部長にも、以前からお願いを申し上げているところであります。 私が、鉄筋、型枠、木工などの下請代金の実情につきまして調査したところでは、次のような聞きしにまさる状況であります。 例えば、昭和58年の県発注工事である小千谷大橋の鉄筋工事の場合、積算単価に沿った鉄筋組合の協定ではトン当たり5万円であるのに、実際に最末端で施工に当たった業者の――固有名詞は省きますが、下請単価は半値以下の2万3,000円であります。また、昨年施工の県立津川高等学校の小体育館工事におきます型枠工事の場合、協定単価が1平方メートル当たり一般型枠で2,900円のところ、実際は2,550円、打放型枠が3,100円のところ2,400円の下請単価となっており、3割前後も切り下げられているのであります。木工工事についても、これは国の工事でありますが、ことし大蔵省が湯沢町で発注いたしました国家公務員宿舎の事例が持ち込まれておりますが、これでも国の積算単価を3割以上、4割近いのでありますが、下回る下請代金になっていることであります。 このような場合の下請業者は、契約なしで工事にかかっている。なぜ契約しなかったかと言いますけれども、立場が弱いわけでしょうか、契約なしで工事にかかって、途中でトラブルが発生している、こういう事例がたくさんあります。最近の不況下での仕事不足から、末端業者が極度なしわ寄せを受け始めています。どうしても建設業法を遵守させるように県の行政指導が強く求められているところであります。 そこで、第1に土木部長にお尋ね申し上げたいのは、公共事業における下請単価や契約の現状につきまして、県土木部としての実態調査を早期に実施していただけないだろうかということであります。以前に要望申し上げ、実態調査が行われたことがありますが、その結果、相当の効果を生んだことが記憶に新しいのであります。ぜひ年内完了ぐらいのスピーディーな実態調査が行われ、新年度の公共事業発注前に実態取りまとめを行っていただけないのであろうか、要望を含めてお尋ねをいたします。 第2にお尋ねしたいのは、この実態調査結果に基づいて、厳正な行政指導を行い、適正な下請単価が守られますように対応をお願いをいたしたいのでありますが、土木部長の積極的な御対応の御答弁を承りたいと存じます。 以上で私の質問を終わります。(拍手)   〔知事君健男君登壇〕 ◎知事(君健男君) 最初に、国の高率補助負担率の一律カットの問題でありますが、これまでも御答弁してまいりましたように、このようなやり方での負担転嫁は容認できないところでありまして、全国知事会を通じたり、あるいは本県選出の国会議員の方々を通じまして、強力な反対運動を展開してまいりたいと考えております。お話しの新聞報道で1割カットの問題は、現在各省一致して予算要求が決定しておる関係で、難しい状況にあると申し上げただけのことでございます。 また、地方財政法第20条の2に定められた意見書は、国の補助金の交付等一定の行為があった後に、その交付額の算定基礎等に異議がある場合に提出することができるものであると考えられますので、少なくとも政府の意思決定がいまだなされていない現時点では、提出できないと思われます。今回の問題につきましては、既に全国知事会等より書面で申し入れがなされておることもありますので、地財法に基づく意見書の提出については、今後、全国知事会あるいは他の都道府県の動向を十分見きわめながら、地財法の条文解釈も含めまして十分検討いたしたいと考えております。 豪雪、過疎、離島振興の業務につきましては、従来から本庁で計画の立案に当たっており、その実施については支庁を通じ、地元市町村の意見が十分反映されるよう配慮してきたところであります。支庁を廃止した場合、本庁機能を強化すること等によりまして、今後ともきめ細かな行政の展開が図られますよう配慮してまいるつもりであります。 なお、関係市町村の御意見も十分お聞かせいただきまして、私の考え方も理解いただけるよう努めてまいりたいと考えております。 次に、転作の緩和に対する見解でありますが、お話しのとおり、ことしの水稲は全国的に豊作型で、9月15日現在の作況指数は105と発表されました。仮にこの指数で推移したといたしますと、60米穀年度への供給量は約1,160万トンとなりまして、需要が満たされる状況にあります。いずれにいたしましても、今後大きな災害がない限り、本年度の豊作がほぼ確定したことから、来年度以降の転作等目標面積の緩和の見送り、または小幅でないかとの報道がなされておるところであります。 県といたしましては、米の供給は国内産米で全量自給するとの方針を堅持する立場から、来年度以降の転作等目標面積を緩和するよう国に要請しておるところであり、今後も引き続き強く要請してまいる考えであります。 加工原料米の集荷についてでありますが、現在農業団体が行っております加工用米の集荷対策は、他用途利用米の主食用買い上げに伴いまして、不足する加工用米を確保しようとするものであり、この方法といたしましては、他用途利用米の約8割を他用途利用米のまま出荷することによりまして、集荷目標数量を確保することとなる見通しであります。 このような方策を講ずるに至りました事情としては、加工用米の確保が図られないことに伴います米の輸入は極力回避したいとする農業団体の切実な要請が背景にあるわけでありますので、この意味で県といたしましてもやむを得ないものと受けとめておるところであります。 また、他用途利用米の価格が低米価の押しつけではないかとの御指摘でありますが、他用途利用米は加工用米として用途を限って生産されるものでありまして、また、量的に見ましても、国全体の米の生産量の2%に満たない数量でありますので、他用途利用米の価格が米価を抑制したり、あるいは食管制度を崩すことになるとは考えておりません。 食管制度のあり方についてでありますが、米の政府全量管理と再生産の確保は制度の根幹をなすものとして、食糧管理法上明記されておるところであります。確かに本年は、4年連続の不作による極めて切迫した米の需給事情の中で、韓国米の輸入問題、他用途利用米の取り扱い変更など、米にかかわる特殊な事態が発生した年でありましたが、基本的には米は国民の主食でありますから、その安定生産、安定供給は不可欠であり、そのため政府においても法の趣旨に従いまして、適切な制度運用を行うべく努力が重ねられておるものと理解しております。 鳥屋野潟問題でありますが、まず、鳥屋野潟湖底地の私権抹消の必要性でございますが、ヘドロのしゅんせつ、掘削等を行う場合は、地権者の同意、所有権の取得等により権原を取得しなければなりません。この点につきましては建設省も同意見であります。また、都市公園として供用開始するに当たりましても、所有権等の権原を取得する必要がございます。 次に、土地区画整理事業の見通しについてでありますが、先ほど高山議員にもお答えいたしましたとおり、私権抹消の方法としては、土地区画整理事業が最良の方法と考えております。したがいまして、今後再開される鳥屋野潟整備計画推進協議会において、土地区画整理事業の案を十分に詰めていただきながら、地元新潟市の協力を得て、土地区画整理事業の推進に努めてまいる所存であります。 次に、鳥屋野潟公園計画の見直しについてでありますが、鳥屋野潟公園は、潟の自然を最大限に生かした森と湖のイメージを持つ公園として計画しておりまして、この整備に当たりましては、親水性のある環境護岸の施行、水生植物の生育に適した湖辺の造成、各種植栽等により水辺の自然を再現するなど、極力自然環境の保全及び創出を図っていく所存であります。潟の埋め立ては、環境保全上、治水上必要となる潟のしゅんせつに伴うヘドロの処理のための必要最小限の埋め立てでありまして、それが2次的に広域公園としての陸上部の確保に寄与するものであります。したがいまして、鳥屋野潟公園計画を全面的に再検討する必要はないものと考えております。 次に、鳥屋野潟整備計画推進協議会の再開についてでありますが、本協議会の目的は、鳥屋野潟整備計画の推進を図るため、関係機関との連絡調整及び湖面下の私有権処理についての指針を得ることであります。56年4月までの協議会では、この目的の一部である公有化の手法についての答申を取りまとめていただいたわけであります。このたび、ようやく土地区画整理事業に関する試案を得るに至りましたこと、並びに地域住民から潟の浄化及び公園化の促進についての陳情がなされたこと等から、協議会を再開し土地区画整理事業に関する具体的な枠組みについての検討及び各種事業の一体的な推進を図るため、より密接な連絡調整を行おうとするものであります。なお、御指摘の潟内埋立地の拡大は全く考えておりません。 次に、県単独事業の老人医療及び障害者医療の助成制度は、老人及び障害者の福祉向上を目的として、医療費の全額を公費で負担することとしたものでありますが、今回の健康保険法の改正に伴って生じた健保本人の1割自己負担につきましては、対象者の福祉充実のため、これまでどおりの扱いにいたす考えでございます。 また、県内の低肺患者数につきましては、今のところ正確には把握しておりませんが、現在、身体障害者福祉法による呼吸器機能障害者として、身体障害者手帳の交付を受けている方は537名となっております。 厚生省の推定によりますと、全国における呼吸不全患者の数は4万人ないし5万人としており、この数値を本県の人口割に単純に推定いたしますと、およそ800人ないし1,000人という数字になります。しかし、本県では大気汚染等の公害被害が比較的少ないことから、実態はかなりこれを下回ることが考えられますが、今後とも社会福祉事務所、保健所及び市町村の相談活動を通じまして、医療機関との連携に留意しながら周知を図るとともに、実態の把握に努めてまいりたいと考えております。低肺患者やその家族の窓口相談につきましては、保健所においても十分対応できるよう配慮してまいります。 次に、これにかかわる医療機関の整備でありますが、国立西新潟病院が呼吸不全対策に積極的に取り組んでおりますので、必要な施設設備につきまして、県の国家予算編成に対する重点要望事項の中で、かねてからこの整備を強く要望しているところであります。なお、国立新潟病院につきましては、既に基幹的な小児慢性疾患の施設として整備を進めており、御指摘のような整備は当面無理だと考えております。 低肺機能患者に対する在宅酸素療法の保険適用につきましては、まず安全性、管理体制、患者の理解度、酸素等の供給体制などを検討する必要があるところから、厚生省では、現在これらの点につきまして関係学会の意見を求めておるところであり、今後学会の意見が出た段階で、さらに中央社会保険医療協議会に諮り、その答申を得て保険適用を行う方針と聞いております。厚生省では、できるだけ早く取り進めたい意向と聞いており、県といたしましても早期実現を要望してまいりたいと考えています。 以上で答弁を終わります。   〔土木部長佐々木隆男君登壇〕 ◎土木部長(佐々木隆男君) 下請単価についての御質問にお答えいたします。 下請代金等、元請、下請関係の適正化につきましては、かねてから業界に対する指導に努めてきたところでありますが、建設業をめぐる経営環境が一段と厳しい現状であることを踏まえ、今月から12月にかけ、二百余の建設業者を対象とした元請下請実態調査を実施することといたしております。速やかに結果を取りまとめの上、改善を要する点につきましては、実効ある指導に努めてまいる考えであります。   〔福島富君登壇〕 ◆福島富君 3点再質問を申し上げたいと思います。 10月1日からの健保適用に当たっての問題でありますが、健康保険の本人で70歳以上のお年寄り、健康保険の本人であるがために、10月1日から働いておられるお年寄りは1割有料ということに実はなってくるわけです。これは老人保健法、あるいは県単制度も非常に問題になってくる。重度の心身障害者の場合も、健保本人である場合に有料化という事態が起こってくるという問題で御質問申し上げたわけであります。 知事御答弁でこれまでどおりの方法であるというさりげない御答弁だったわけでありますが、けさの新聞報道等でも、23都道県の単独制度でこれを補完して、1割負担をかからぬようにしようという前進の方向がとられている。これを他の23都道県のように、本県でも本県にある県単制度で自己負担が出ないように措置をするということと解してよろしゅうございましょうか。第1の質問であります。 あと2つは鳥屋野潟問題であります。 鳥屋野潟の最初の方の質問は、今知事、土木部長に資料をお渡ししたわけでありますが、知事がプロジェクトチームの責任者で、46年、最初の鳥屋野潟総合開発基本計画報告書をつくられた。最初のこの附属資料の最後の80ページのところでありますが、ここでは明瞭に、本報告には出ていない陰の部分でありまして、今回本邦初公開になったわけでありますが、A案でまいりますと、これは潟内を全然いじらない。潟の整正程度にとどめて、潟の上の水田を買って公園用地にする。これは私権抹消は一切触れない。B案も潟の中の一部を買って埋め立てて公園用地をつくるが、残余の水面は私権抹消しない。ただ、C案だけが水域全部の私権抹消をする。一番最後の2行には、これは河川区域であって河川法が適用されて、河川の「現区域を公園として確保が可能でもある」という見地に当時立っているという資料であります。 私は最初の振り出しに返りまして、全部の資料を読んでみた。こういうのが発見されました。したがって、建設省も知事の御答弁によれば、私権は抹消しなければならぬと言っているとおっしゃるわけですが、一般報道はそうではない。私が今手元に持っている建設省の河川法改正当時の国会答弁でも、水面については一切触れる必要はないと明快に言い切っております。なぜ鳥屋野潟だけがそういかないのか、振り出しに返ってもう一度再点検をお願い申し上げたい。 鳥屋野潟の2つ目の質問は協議会の問題であります。 協議会再開でありますが、先ほどお亡くなりになった川上新潟前市長が書いておられる内容で、これは知事にお見せ申し上げます。川上さんの遺稿集が出ている中で、鳥屋野潟については実にいろいろ悩まれながら、知事に会われた話、日記には私と会ったお話も書いてありますが、当時本当にいろいろ御苦労かけたなあという感じで私はこれを読みました。 「知事と会う。彼、率直に話を聞いてくれる。彼は人がいいのである。しかしときどきタカになる。わかるのだがもう少し配慮ができれば、いい政治家になるのだが。」などと言って、知事の心配をされている川上さんの心情もあるわけですが、56年の3月30日、これは最後の鳥屋野潟協議会答申原案をまとめた後なのです。「答申することを決定、協議会はこれでおしまいにする。」となっているのです。やれやれという感じがこれににじみ出ている。実際にはこれで終わったのです。このことは、一般の関係者は周知の問題だ。 どうしても県が前面に立って、県の責任で鳥屋野潟の困難を打開するというのでなくて、新潟市長を前面に、そして関係者をということで、県が後ろでという感じが気になってしょうがないわけでありまして、これでは難関を突破できない。協議会は既に終わっているのでありまして、むしろ県が前面に立って、知事が陣頭指揮をとって状況打開を図っていただきたいが、いかがでありましょうか。 以上であります。   〔知事君健男君登壇〕 ◎知事(君健男君) 健保1割負担の問題でありますが、先ほど申し上げましたように、従前どおり負担がないようにいたしたい。 それから、鳥屋野潟の問題でありますが、A案、B案、C案というのは私も忘れましたが、なるほどここに書いてあります。私権抹消の問題ですが、現在建設省に正式に問い合わせました。報道等にいろいろ疑問がありまして、国は必ずしも同意は必要がないと考えている向きの見解が報道されましたので、正式文書で河川局長に答弁を求めました。返事が参りまして、同局長からは、国の見解も県と同一である旨の見解を得ました。 その内容は概略次のとおりであります。「河道にたい積したヘドロのしゅんせつ、掘削等の河川工事で土地の形状を変更することとなるものを行う場合、その実施に当たっては、」当該土地が民地であれば、「地権者の同意、所有権の取得等により河川管理者が権原を取得する必要がある」「なお、一定計画に基づき河川工事を施行している区域内の堤外民地については、築堤、掘削等の河川工事を施行するため直接必要な土地は全て取得する」というのが建設省の方針であり、治水工事の一環として実施する鳥屋野潟のヘドロ掘削には私権抹消が必要である、こういう正式な建設省河川局長の公文書をいただいております。 したがいまして、私どもとしては直接買収はできないという見解であります。できる、可能である――また3分の1以内程度の人が、例えば所在不明だとか相続が行われておらないとか、とても私権抹消ができない状況にあることも事実であります。 さらに、特に潟の浄化の問題は新潟市の雑排水の問題であります。また、市の下水道対策が根本的に関連がありますので、市民の協力が不可欠でございます。したがって、市の全面的な協力が得られなければなかなか難しい問題であります。県といたしましては、国と協力して全面的に対応する考えでございますけれども、公共事業に対する市民対策は、すべて市町村にやっていただいておる。一緒にやるというのが建前でありまして、こういう難しい問題、特に加害者が市民である雑排水問題が主流でありますので、みんなが力を合わせなければ到底できない、こういうことでございます。   〔福島富君登壇〕 ◆福島富君 再々質問でありますが、一番最後に知事が御答弁いただいた協議会の問題については、関係する、所在する市町村、関係者が協力をするというのは当然でありまして、協議会で今の私有地の取り扱いから何から全部をオーソライズをするという意向が、知事の記者会見でうかがわれますものですから、私はそうではなくて、既に過般私の党といたしましては、県に正式の申し入れをいたしました際、副知事は当時明快に私どもに対して、10月末には県の案を出そう、地権者に示す案を出そうという話だったんですが、その後、どうもそれはいかぬということになったのでありましょうか、今度は協議会を開いて、つまりそこでプランニングを図るような組み立てになった。 私はそうではなくて、市町村に協力を求めるためには、これだけの難問題だ、私権問題を含めてさまざまな意見があるわけでありますから、県が根本的な深い検討を行って、こうあるべきだ、従前、副知事が答えておられましたように、県の案というものを立てて、そして市町村、関係者に協力を求めるのが正道であろう、こういうことでないと、これだけの難関は解決しないのでありますということを申し上げて、市町村協力必要ないなんということを私は言ってない。それが主体になるというのは筋違いではないでしょうか、それではこの困難は打開できないのではないでしょうか、こういうことを申し上げているわけです。これは意見でありますから、これ以上のやりとりは必要ないと思います。 質問を申し上げたいのはもう一点でありますが、建設省河川局長の鳥屋野潟の私権についての御答弁があったそうでありますが、この鳥屋野潟の私権問題というのは、先ほど御質問申し上げたように、46年には、知事はそのことに触れていただいてないわけでありますが、知事がその当時副知事で責任者で、A案、潟の中の湖は一切私権そのままで公園ができると、当時、案ができている。B案は、潟を一部埋め立てて公園用地とするが、残余の水面はそのままの私権のままで公園にできるのだ、河川法でやれるのだというふうな明快な立場だ。これに政治支配が始まると変になってくるんです。翌47年、先ほど御紹介したところへ来ますと、全面買収となるのです。A、Bの案も全面買収。それが今度は48年、3年目を迎えますと、今日言われている区画整理になっていく。何が何でも区画整理でなきゃだめだ、こうなっていく。ここに不自然さがある。どこの潟、河川であっても、水流となっている場所については私権が及ばない。 私、今ここに、河川法が改正をされました国会議論と、その後、当時の河川局次長鮎川幸雄氏がこの私権問題について、新法――現在の河川法について述べられている点を持ってまいりました。水流のある場所については、私権は存在することができない、これは当時の建設省河川局次長鮎川幸雄氏の明快な見解なのであります。ただ、どうしても買収しなければならない場所というのは、第3の場所、つまり堤防です。さっき洪水堰についてもというお話がありましたが、洪水堰でも、工作物がつくられるという洪水堰は買収しなければならぬという見解が、国でも県でもとられているようでありますが、水流については、もう明快に私権が存在することはできない、私権があったとしても、河川法上は私権が存在することができない。つまり、河川法の網がかかっていれば、その河川には所有者は指一本触れることができないのですから、これはどうしようもないわけです。 そのことから建設省の詳しい理論展開を見ますと、水流についてはもはや私権は存在することができない。つまり、そこは公の湖面、水面として利用するというのが当然できる、河川管理者がどうにでもなるということが明快にうたわれているわけです。知事にお示しをいたしました46年当時のこの立場を、もう一度やはり検討し直していただきたい。もう少し平らにあるべき姿を求めれば、もっと近道を早く進む、このことを申し上げたい。これが質問であります。   〔知事君健男君登壇〕 ◎知事(君健男君) 何か3つの案があって、政治支配があった関係でC案に決まったようなお話でありますが、断じて違っております。私はそういう3つあったということもよく覚えておりませんが、C案を最終決定として事務的に私のところに持ち込んだのが事実であります。何かこう政治支配があったとか、何か考えていらっしゃる、かんぐりがあるのじゃないかという疑いも持っているわけであります。 それから、水流そのものは私権のないことは当然であります。建設省の言うのは当然であります。しかし、遊水池まで私権を認めないということはないのであります。先ほどの建設省の見解どおりに、鳥屋野潟の埋め立ては絶対に私権抹消が必要であるという建設省の意見でございます。 ○副議長(小林脩君) 福島富君の質問は終わりました。 15分間休憩いたします。  午後2時58分 休憩   ――――――――☆――――――――  午後3時18分 開議 ○議長(岩村卯一郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 引き続き県政に対する一般質問を行います。 まず、金子一夫君の発言を許します。   〔金子一夫君登壇〕(拍手) ◆金子一夫君 私は、公明党の立場で、当面する県政の諸問題について、あらかじめ通告をしておきました順序に従い、知事並びに関係部長に質問をいたします。今までの論議の中で重複する点もございますが、どうぞよろしくお願いいたします。 初めに、県の行財政運営についてお伺いいたします。 国の60年度予算の編成作業がスタートしたわけでありますが、政府は、防衛費を4年連続で異常突出させる一方、財政難を理由に地方自治体への高率補助金の一律1割削減を打ち出し、その分の負担を地方自治体に押しつけようとしているのであります。しかもその内容は、一律削減方式という、政策の判断も優先度も全く無視した安易な歳出削減の手法であったために、その9割が福祉関係の予算に集中したのであります。概算要求で補助率引き下げを盛り込んだ省庁は、厚生、文部、労働などの9省庁で、その削減額は31件で総額2,362億円にも上るのであります。これら補助金の補助率引き下げは、削減率、負担額ともかつてない規模のものであり、福祉、文教関係の補助金をねらい撃ちにしているところは、全く納得ができないものであります。県が発表したこれに伴う本県の影響額は、59年度予算の現計ベースで39億1,800万円で、このうち県分は17億9,800万円、市町村分は21億2,000万円となっているのであります。 9月12日、政府主催で開かれた全国都道府県知事会議で、来年度予算の概算要求の中の一部補助金の一律1割削減に対して知事側は強く反発、補助事務事業の見直しや、権限の地方への移譲を強く求めたことに対し、中曽根首相はその後石原事務次官に、地方に負担を求めるには国の方も努力しなければならないとした上で、国の権限移譲を各省庁に任せても、それぞれの立場があり、うまくいかないので、一定の共通原則に基づいた各省庁の横断的な特別立法で改革を進めたいとして、関係省庁と協議するよう指示したというものであります。この特別立法制定に伴い、60年度予算の最大の焦点となっていた国庫補助金問題は、権限の地方移譲と引きかえの形で地方への負担が強化されるのは避けられない見通しであるというふうに聞いておりますが、この問題をめぐる全国都道府県知事会の様子はどうであったか、お聞かせを願いたいのであります。 このたびの補助金削減問題は、地方にとっては重大な問題であります。大蔵省は、国の財政に比べて地方財政はまだ余裕があると考えているようでありますが、累積債務にしても、公債依存率にしても、数字はそのとおりであっても、それは3,300の地方自治体のトータルであって、一つ一つの実態ではないのであります。各自治体の自主財源にしても、大都会や大都市を抱える力の強い県もあるかと思えば、本県のように20%しかなく、地方交付税や補助金がなければ動きのとれない自治体も決して少なくないのであります。このような地方財政の厳しい現状を無視し、一方的に財政負担を転嫁する動きは、絶対に容認できないのであります。国に対して強力に撤回を求めてほしいのですが、知事の御決意のほどをお伺いしたいのであります。 また、もし削減が決まった場合、大蔵省は公共事業費も聖域ではないとしているところから、削減は必至であります。そうすれば本県の公共事業にも重大な支障を来すことになりますが、どう対処されるおつもりか、あわせてお伺いいたします。 次に、上越、佐渡両支庁の廃止の問題であります。 知事は去る9月20日の記者会見の席上、行政機構見直し問題に触れ、上越と佐渡の両支庁の廃止について早急に検討する方針を明らかにされたのであります。これは生活環境部の統廃合に続く第2弾でありますが、突如として打ち出された感は否めないのであります。本来行革は、帰着点として住民の福祉を増大させるためのものでなければならぬと考えますが、知事は、地域に絶対に迷惑をかけない形で廃止したいと強い決意を示されましたが、県民サービスのマイナスにならないか、お伺いいたします。また、仕事減らしや機構の整理は行革本来の目的でありますが、それを進めるに当たって、プロセスや展望も必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。 次に、人勧と県職員の給与改定についてであります。 人事院は8月10日、国家公務員の給与を4月にさかのぼって平均6.44%引き上げるよう、国会や内閣に勧告したのであります。今年度の人事院勧告6.44%は、昨年並びに一昨年と2年連続して給与の改定を見送り、抑制による官民較差を考えたならば、その是正を図るための措置としておおむね妥当なアップ率であります。政府はこの2年連続して勧告を軽視し、完全実施を避けてきたわけでありますが、その結果、公務員の生活水準は著しく低下し、勤務意欲の減退をもたらし、士気やモラル面にも悪影響を及ぼしているのであります。もし今年度も抑制されるようなことになれば、極めて深刻な事態を招くことは明らかであります。 人事院勧告制度は、労働基本権制約の代償措置として設けられたものであり、もし今年度も勧告の抑制措置をとったりするならば、人勧制度は完全に形骸化し、その存在理由が問われかねないのであります。本年度の人勧の完全実施を政府に強く求めるものであります。本県においても、国の実施にならい、2年連続勧告を軽視してきておりますが、これから予定される県人事委員会の勧告に従い、本年こそは給与改定を完全に実施すべきだと思いますが、本年はどのように対処されるか、知事のお考えをお伺いいたします。 次に、非核平和宣言についてお伺いいたします。 去る8月1日、長岡市が「非核平和都市宣言」を行い、県下初の宣言都市が誕生したのであります。核兵器の廃絶は人類の悲願でありますが、その道は厳しく、険しいものであります。今全世界で非核平和運動は着実に輪を広げつつありますが、核もまたそれを上回る勢いでふえ続けているのであります。米ソを中心に英、仏、中国の核保有量は5万個を超え、破壊力は広島型の100万発に匹敵するほどになり、万一核戦争が始まれば、犠牲を強いられるのは非戦闘員の一般市民であります。「戦争は二度とごめんだ」「あの思いだけは子供にさせたくない」、こんな素朴な感情が寄り集まって行動を起こせば、自然に平和運動になるのであります。イデオロギーに左右されないこれらの人々が、生命を守るため、非核平和宣言を望むなら、実効を疑うより、やってみるのが自治体の務めではないかと思うのであります。 現在、米ソ間の核軍縮交渉が途絶え、米ソが中距離核ミサイル配備競争を続け、ヨーロッパを舞台に核戦争を始めかねない緊張状態にあることを人々は深刻に受けとめ、その行動を糾弾しているのであります。本年4月、イギリスのマンチェスターにおいて、日本を含む9カ国、99の非核自治体の代表が集まり、第1回非核自治体国際会議が開催されたのであります。イギリスでは1980年11月、マンチェスターで非核都市宣言運動が始まり、1982年3月にはロンドン市が同じく非核地帯を設ける決議を採択しているのであります。現在ではイギリス、アイルランド、ベルギー、オランダ、西ドイツ、ノルウェー、イタリア、その他日本、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど13カ国で1,400もの自治体が非核都市宣言を行っているのであります。日本でも現在では県段階で神奈川、長野、徳島、高知の4県を初め160を超える都市に及んでいるのであります。 核戦争の巨大な被害については、最近、ニュークリア・ウインター(核の冬)という現象が大きな話題を集めているのであります。これは昨年秋、アメリカの科学者グループが発表した現象で、米ソ両国が全面核戦争に入れば、爆発の煙で地球は厚い雲に覆われ、北半球の中緯度地方は60日の後に北極並みの寒さに1年以上も襲われ、穀物不足で人類は滅亡の危機に直面するというものであります。こうした科学レポートが核戦争に対する人々の認識を一層深刻にさせていることは確かで、最近の国際的な非核・軍縮運動の担い手は普通の一般市民であり、その底流にあるものは、広島、長崎の悲劇を再びこの地上で起こしてはならないという肺腑からの叫びであります。この住民の意思を結集して、地方自治体で非核平和宣言を決議するケースがふえてきておりますが、この種の宣言をどうお考えになるか、お伺いいたします。 ここで考えなければならぬ問題は、核の抑止力の問題であります。核兵器の飛躍的な進歩によって、核の抑止力が次第に失われつつあるという点であります。現在の核は、運搬能力、命中精度の向上で、的確に軍事施設をねらい撃ちができるようになり、先制攻撃をかければ相手の報復力を著しく破壊できると考えられるようになったのであります。しかも、開発中の宇宙兵器による防衛網が完成すれば、報復のため発射された残存ミサイルも宇宙空間で撃破できる、つまり理屈の上では、双方とも破滅するのではなく、一方が勝ち残れる可能性が出てきたのであります。どちらが核戦争を始めても、報復の応酬で根こそぎ都市や産業が破滅し、共倒れになるという恐怖心がなくなれば、核は平和のための抑止力ではなくなるのであります。核の飛躍的進歩が、勝ち残れるかもという危険な思想を生み出してしまったのであります。核戦争の脅威が身近な現実になりつつあるのであります。 これらを背景に、非核平和宣言を決議する地方自治体がふえているわけでありますが、この非核宣言の構想は、戦時法上の無防守都市や非武装地帯に対する保護と、国連などでの非核地帯の考え方の双方から影響を受けていると言われております。1899年、ヘーグで開催された平和会議で作成された「陸戦の法規慣例に関する条約」の25条に、「防守せざる都市、村落、住宅又は建物は如何なる手段に依るも之を攻撃又は砲撃することを得ず」とあり、また、1977年のジュネーブ条約追加第1議定書第59条には、「紛争当事国が無防備地域を攻撃することは手段のいかんを問わず禁止する」と定められているのであります。これらの無防守都市、非武装地帯等の保護は、現実的には交戦国民の条約遵守の意識のいかんにかかわるわけでありますが、第2次大戦中でも、パリ、京都、ハイデルベルグなどの文化都市が破壊を免れ、また、軍隊の駐屯を拒んだ沖縄の渡嘉敷村前島が米軍の攻撃を受けなかったなどの実例もあるのであります。 また、非核地帯は非武装地帯の考え方を国際的に拡大したもので、各国の非核政策を広げて国際的な保障を確保しようという構想であります。これは1967年2月、中南米の二十余カ国が参加してラテンアメリカ非核地帯を形成し、英、米、中国、ソ連、フランスが批准し、成立しているのであります。非核地帯をつくり、それを核兵器保有国に保障させるという方法は、核攻撃を避ける有効な方法であります。 地方自治体は、住民の生存、健康、幸福を確保する責任があると思うのであります。核兵器の製造、設置、配備、持ち込みを禁止して、それを対外的に宣言するとともに、その実行を監視、確保することは当然可能であります。そして、このような非核自治体が数多く成立し、政府や核兵器保有国を取り巻き、核兵器使用禁止から廃絶への声を高めていくことが、人類を核兵器の脅威から守り、平和を実現する道でもあると思うのであります。知事は、このような非核平和宣言に本県として取り組まれるお考えがあるかどうか、お伺いいたします。 次に、鳥屋野潟問題についてお伺いいたします。 鳥屋野潟の浄化、公園化を推進しようと地域住民の間で進められてきた2つの署名運動も、9月上旬に相次いで双方合わせて11万名の署名簿となって県、市に提出され、鳥屋野潟整備計画は、行政側が今後どう取り組むかに関心が移っているというのが現状であります。 鳥屋野潟整備計画は、53年、県内を襲った6・26水害の後、大幅に見直され、54年10月、鳥屋野潟見直し計画として発表されたのであります。治水対策は、従来の50年に1度から100年に1度の安全度に引き上げられ、河川区域内の陸地部は50ヘクタール、高水敷は30ヘクタール、水面は100ヘクタールとしたのであります。公園整備基本計画は、従来の177.1ヘクタールから、県立自然科学館を含めた一体的な利用を図るため、190.2ヘクタール――現在は191.9ヘクタールに拡大してありますが、北側は文化教養施設や休養施設を配置した人工的施設地区とし、南側は森の中の観賞地区や野鳥保護区を配置した自然的施設地区とする、湖周は園路と園地で結び、高水敷も喬木を含めた緑豊かな公園として利用を図るなどとなっているのであります。 マスコミの報道によれば、知事は、整備計画について54年度の県案に基づいて進める、私有湖底地は区画整理方式により公有化する、区画整理については建設省も地権者も納得いく案を考えている、時期については本年度中に具体案を提示するという発言をされたのでありますが、その後さらに、現在休眠状態になっている鳥屋野潟整備計画推進協議会を再開し、区画整理の具体的手法について協議を行うとし、9月県議会終了後に発足する予定であるとのことであります。そして同協議会では、論議の中心は区画整理問題であるが、公園整備のあり方、水質浄化問題、周辺整備など広い範囲にわたって意見が交わされることになっているというのであります。 現在、鳥屋野潟整備に向けて市民的な盛り上がりは幾つかの動きになっているのでありますが、同じ公園化を進めるに当たっても意見はまちまちであります。鳥屋野潟を自然公園とするため、潟の埋め立ては必要最小限にとどめるという意見から、潟を大幅に埋めて幅200メートル程度の水路とする案まで、さまざまな情報が飛び交っておりますが、今後の推移の中で、整備計画の具体案は基本的に54年の県案を推進されるのか、それとも計画変更もあり得るのか、お伺いいたします。 次に、9月20日に行われた庁議後の記者会見で、知事は鳥屋野潟問題に触れられ、事業を行っていくには住民のコンセンサスが不可欠である、そのためにも新潟市や亀田町、横越村、亀田郷土改が先頭に立ってもらわねば困る、市町村の対応には国、県が全面的にバックアップする、と述べられたとあります。このことは新聞でしか知ることができないのでありますが、鳥屋野潟の整備計画を事業化するのは県であり、先頭に立つのも県でなければならぬと思いますが、いかがでしょうか。 また、整備計画を推進するに当たり、計画達成のめどはいつに置いて出発をされるのか、お伺いいたします。 さらに、整備計画は、知事の表明の中にもありましたように巨額な事業であり、県単独ではとてもできない、国から金を出してもらわねばならないことは当然であります。国への働きかけが重要でありますが、国からの助成の見通しはどうか、お伺いいたします。 次に、浄化の問題であります。鳥屋野潟の水質汚濁の原因は、周辺からの流入汚水の問題と、汚濁物質が蓄積しやすい地形的要因とによるものでありますが、鳥屋野潟の浄化に大きなかかわりを持つのがヘドロのしゅんせつであります。県は、湖底私有地のしゅんせつは地権者の同意がなければできないという見解をとっているのでありますが、建設省や北陸地建は見解を異にしているようでありますが、この点はどうなっているか、お伺いいたします。 また、水質改善に効果が期待されるフラッシングについては、既に舞潟揚水機場から信濃川の水を導入し、実施をしているところでありますが、信濃川より水のきれいな小阿賀野川の二本木排水機場から浄水を導入する計画もあると聞いておりますが、今後の計画についてお伺いいたします。 次に、水質汚濁の中心である家庭用雑排水対策でありますが、関係行政機関で組織され、今年5月に発足をした鳥屋野潟水質汚濁対策行政連絡会議で協議を重ねておられると思いますが、その後の進展はどうか、お尋ねいたします。 次に、高齢社会対策についてお伺いいたします。 先ごろ人口問題審議会から発表された人口白書によれば、社会制度を人生80年時代にふさわしい仕組みに変えるべきだと提言をしているのであります。我が国は、昭和45年に老年人口の総人口に占める割合が7%を超え、高齢社会の仲間入りをしたのでありますが、その後、世界のどの国もいまだ経験したことのない速いスピードで超高齢社会への道をひた走りに走っているため、高齢社会を迎えている他の国々も、日本の対応に注目しているのであります。 我が国は昭和30年代から完全な少産少死に入った結果、人口は高齢化し、老年人口比率が昨58年には9.8%に達し、推計によれば、今世紀末の昭和75年には15.6%、さらに昭和100年には21.3%にも達すると予測されているのであります。これに伴い昭和55年には、7.5人の生産年齢人口で1人の老人を支えていたのが、昭和75年には4.3人で1人、昭和100年には2.9人で1人を支えることになるのであります。しかも、支える側のうち15歳から19歳は学生層が多いので、実際の生産年齢人口が支える高齢者の扶養負担はもっと厳しいものがあるわけでありますが、これは時代の必然であります。長寿でありたいということは古来人間の願望でありました。今日本は、人生80年時代を迎え、世界一の長寿国になったわけでありますが、それを手放しで喜べない事態が山積していると言わざるを得ないのであります。 こうした分析を踏まえて、人口白書は次の4項目を提言しているのであります。その1つは、高齢者の多様な社会参加を促進し、社会の仕組みを高齢者の自立に適したものに変えていく、児童の健全育成、健康の自己管理と、それを支える保健医療の充実など、生活の質にかかわる施策を充実する、大学に人口学の専門課程を設置するなどによって、人口学の教育、研究水準の向上を図る、国際協力を推進する、であります。 さて、ひるがえって本県の実態はどうかということでありますが、敬老の日の前日、県統計課の発表によれば、本県の老年人口は9月15日現在で推計30万7,000人で、昨年より9,000人、3%増加して、初めて30万人の大台を超えたのであります。県総人口に占める老年人口の割合は、前年比0.4ポイント増加し、12.4%になり、同じく15日、総務庁統計局発表の全国の老年人口の推計1,194万人、老年人口比率9.9%と比べて、実に本県は2.5ポイント高く、全国平均より10年も早く高齢化が進んでいるのであります。さらに、高齢化の推移を昭和45年を基準にとって見ますと、この14年間に県総人口が4.1%の増加にとどまっているのに対し、65歳以上の人口は60%増になっているのであります。このような観点から、本県は国の施策に先駆けて将来構想を検討し、高齢社会への方針を策定する必要があると思いますが、県の対応はどうか、お伺いいたします。 高齢社会対策は、所得、就労、住宅、保健、介護、社会参加、生きがい等、一つ一つの問題にどう取り組んでいくか、早急の課題でありますが、その前提として、高齢者に対する考え方の転換が必要であると思うものであります。これまで、高齢者は社会の功労者であり、弱者であるのだから、労働から解放され、余生を楽しんでもらうという思想が基調ではなかったかと思うのであります。それが結果的には社会生活の場から引き離し、生きがいを奪い、老化を早める一因になってきたことを見逃してはならないのであります。 高齢者には家族や周辺の人々や社会の手助けが必要であることは当然でありますが、単に弱者としてのみとらえ、世話をされる立場と考えることは、かえって人間としての生の充実を奪うことになってしまうのであります。人間として生きるということは、社会とのかかわり合いの中で生きることであり、自立自助が原則であります。したがって、人間という視座に立ち返り、職場を持ち、社会の成員としてともに生きることを基本に、そのあり方を検討しなくてはならないと思うのであります。つまり、精神の爛熟時代に当たる高齢期を余生として送るのではなく、本生としてその力を生かせる社会づくりが必要であろうと思います。将来構想の中で高齢者に対する考え方、老人福祉に対する考え方に発想の転換をする必要はないかと思うのでありますが、お伺いいたします。 次に、高齢者の生きがい対策でありますが、ユネスコもさきの国連国際人口会議の際に、高齢者の力を生かせとの報告を行っていますが、今見直しが迫られているのは、老いの積極的意味、社会的評価の問題であります。本県においても、高齢者労働能力活用事業、老人社会活動推進事業などを推進しておりますが、これで十分かどうか検討してみる必要があろうかと思うのであります。 老年期は、迫りくる死を前にした不安と、健康や社会的地位などの喪失の時期で、体力、知力、社会的変化への適応力の低下が顕著でありますが、プラス要因としては、世の中のことがわかってくるので、自信を持ってだれとでも会える、物事の本質をできるだけ単純化してつかみ、表現し得る、物事を組み立てるのに空回りしない、などの年の功、経験からくるプラス面を持っているのであります。ただし、これは個人差が大きいのでありまして、知的障害のほとんどない老人の大部分は、日常的に知的刺激を受ける職業の人や、ふだんから思考する習慣を持つ人々であったという、ある地方の長寿村での知能テストの結果があるのであります。これは生涯教育の重要性を示唆していると思うのでありますが、生涯教育は、直接的にはぼけないために、具体的な目標としては趣味や再就職のためといった幅広い観点から、重要度が増してくるに違いないのであります。 また、定年制及び再雇用の問題は、年金、医療の社会保障制度への衝撃を和らげる観点からも、中高年者が仕事を持ち、収入があるということは、本人にとっても社会にとっても有益であります。そのためには高齢者の職域を確保し、新たに開発する必要がある、高齢者が積極的に社会参加できる条件づくりが要請されるところでありますが、高齢者の能力、パワーを引き出して役立てる施策をどのように考えておられるか、お伺いいたします。 一方、寝たきり老人や体の不自由な老人に対する施策でありますが、特養ホームの建設は県長期総合整備計画に基づき、60年度までに2,200床の目標は、本年度の新発田市、燕市2カ所の建設で96.4%の達成で順調に推移しておるのでありますが、60年度以降の計画の中で、施設へ収容するという方向と同時に、在宅看護を中心にした福祉の充実に力を注いでいくことが必要ではないかと思うのであります。施設への収容には限度があるし、家族の温かい愛情の中で生きることは人間本来の望みであるはずであります。その上で施設の再配備、家庭と施設とのかかわり合い、短期保護事業の充実強化、住宅事情の改善など家族への負担を軽減する諸制度の導入強化が必要ではないかと思いますが、お伺いいたします。 こうした機構、制度の充実とともに、最も肝要なのが人間の思いやりであります。施設、制度は大切でありますが、いわば社会の骨格をなし、そこに温かい人間の血を通わせるのは、人間自身の思いやりあふれる行為であります。老人介護に当たっては、自発的なボランティア活動、地域ぐるみの援助、協力体制を強力に推し進める必要があると思うのでありますが、本県のボランティア活動などの現状はどうか、お伺いいたします。 次に、住民相談と警察の対応策についてお伺いいたします。 去る7月、警察庁から発表された59年版警察白書は、変貌する地域社会と警察の対応について特集をしているのであります。この中には、犯罪以外のさまざまなトラブルで住民が警察に解決を求めている実態が浮き彫りにされ、それを受けて白書では、「警察では、住民の困りごとの適切な解決に努めるとともに、地域住民の活動と連携して、地域社会の抱える問題を解決し、安全で住みよいまちづくりを進めていく必要がある。」と提言、警察庁がシンクタンクとなって、全国の駐在所や派出所に寄せられる住民の悩み、困り事を収集、分析し、行政の谷間を埋める総合的防犯対策を確立、推進していく方針を打ち出しているのであります。 白書によれば、本来、事件、事故の緊急通報である110番が、住民の困り事に使用される傾向が増加し、この10年間で2.1倍に達しているとのことであります。駐車違反や放置自転車などの交通関係が年間46万件と相談の半数を占めておりますが、最近増加しているのがカラオケなどの騒音防止、サラ金、訪問販売などの消費生活問題、家庭不和、風俗環境、犬の放し飼い、いたずら電話など多方面にわたっているのであります。中でも債権取り立てや交通事故の示談など、暴力団が資金源獲得のため介入、関与している問題については、民事介入暴力事件として積極的に取り組んでおり、昨年1年間で1万2,091件と、55年に比べ36%増の受理件数となっているのであります。 少年相談も、昨年は11万9,733件。その他家出、しつけ、家庭不和といった家庭問題、校内暴力、薬物乱用といった非行問題、異性に関する悩み、いじめなどの交友関係、性や健康問題の順になっており、助言、面接、継続といったランクで指導を行い、ほとんどの問題を解決しているというのであります。このほかサラ金や訪問販売、土地、家屋の取引、物品貸借などの消費生活に関連した相談が6万7,203件で66%増、カラオケを中心に騒音苦情も4万3,560件に上り、5年前の30%増。さらに、全国で保護を要する独居老人が50万人いると言われていますが、派出所などに保護を求める訴えが年間約1,000件に上り、外勤の警官が巡回連絡や警らで立ち寄り、きめ細かな相談に乗っているというのであります。まさに行政の谷間を埋める活躍であると評価をするものでありまして、本県の実態もほぼ同じであると考えられますが、お伺いいたします。 このように、種々雑多の問題が洪水のように警察に持ち込まれているわけでありますが、警察法では、「個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、」「その他公共の安全と秩序の維持に当る」ことを警察の責務としているのであります。住民が日々警察に寄せる困り事相談の中には、そのまま放置すれば凶悪犯罪、自殺、家出など不幸な事態につながるものが多い、個々の問題が病理現象として社会に蔓延する前にその芽を摘むと判断すれば、どんな問題でもこの大きな警察の責務の中に包まれてしまうわけでありますが、今回白書が指摘した独居老人の生活、家庭不和、異性問題、消費生活問題、近隣騒音といった困り事相談は、むしろ警察とは距離のある出来事と言わざるを得ないのであります。警察がどこまで責任を持って解決に当たることができるのか、もし警察が責務として取り組むとすれば、駐在所、派出所の機能強化、相談体制の整備が必要になってくると思うのでありますが、警察本来の仕事、負託された責務の範囲はどこまでなのか、警察組織のあり方まで考え合わせて、今後どのように対応されるのか、御所見をお伺いいたします。 「安全で住みよい地域社会を目指して」という副題のついた警察白書は、本文の3分の1を使って、年々増加している困り事相談の実態を述べ、警察が前向きに受けとめていく決意表明をしているわけであります。行政の立場で住民の悩みや困り事を有効に処理するシステムの確立が急務であると思われますが、知事のお考えはどうか、お伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔知事君健男君登壇〕 ◎知事(君健男君) 国庫補助の負担率の引き下げに対する全国知事会の対応でありますが、60年度予算概算要求における国庫補助金の負担率の引き下げ方針につきまして、全国知事会を含む地方六団体では、地方公共団体に財政負担を転嫁するものであるとして、7月、8月の2回にわたり政府に対し緊急要望を行い、このような措置をとることのないよう強く訴えてきたところであります。また、9月12日に行われた政府主催の全国都道府県知事会議におきましても、政府に対しまして、全国知事会の会長並びに各調査委員会委員長が代表して、同様の内容で強く要望を行ったところであります。 また、今回の国の検討案は、本来の行財政改革の趣旨とは全くかけ離れた見直し案であり、容認できない問題でありますので、既に全国知事会等からも申し入れがなされておりますが、今後とも本県選出の国会議員の方々に機会あるごとに働きかけるなど、強力に反対運動を展開してまいりたいと考えております。 また、公共事業も削減対象となった場合、公共事業の絶対額が多い本県にとりましては大打撃となりますので、もし削減されることになりましたならば、その削減分については、本県にとって不利にならぬ形で、地方財政計画の枠組みの中で補てん措置がなされるよう要望してまいりたいと考えております。 次に、行政改革についてでありますが、私は、行政改革を進めるに当たりましては、まず、行政の役割の分担を明確にすること、情勢の変化に対して弾力的に対応すること、そして、行政の総合性の確保を図りながら、組織・機構を初めその簡素効率化に努めていかなければならないものと考えております。申し上げるまでもなく、行政の目的は住民の福祉の増進であり、執行に当たっては最少の経費で最大の効果を上げることであります。改革によって省かれたむだ、節減された経費の余力は、行財政の健全運営に資するとともに、県民の新たな需要に応じた積極的な施策の展開に振り向けられるべきものであると思っております。 支庁廃止と県民サービスの問題につきましては、先ほど来繰り返し申し上げておりますとおり、県民に御迷惑をかけないよう十分配慮いたす所存であります。 次に、本年度の人事委員会勧告につきましては、できるだけ尊重したいと考えておりますが、勧告がなされた後、政府の方針並びに他府県の動向なども慎重に見守りながら対処してまいる考えであります。 次に、非核平和宣言についての御質問でありますが、国においては、世界で唯一の被爆国として、平和憲法を守り、世界に類例のない非核三原則を堅持しながら平和への努力を続けていくという基本姿勢を明確にしており、私もこの考えには全面的に賛意を表するものであります。しかしながら、現段階では国においても非核平和宣言はしておらず、県としてもこれについて具体的にどのように対処するかについては、今後の検討課題といたしたいと考えております。 次に、鳥屋野潟問題であります。鳥屋野潟整備計画の変更の有無についてでありますが、現行の鳥屋野潟整備計画の変更は考えておりません。なお、本計画の推進のために必要となる土地区画整理事業の案につきましては、年度内に提案したいと考えております。 次に、鳥屋野潟整備計画の主体についてでありますが、私は、9月20日の記者会見で申し上げましたように、あらゆる公共事業について住民の協力が必要である以上、直接住民とかかわりを持つ市町村が、事業推進のため市民のコンセンサスについて協力が必要であるわけであります。あくまでも主体として県がやるとしても、市町村の協力は不可欠であります。中でも鳥屋野潟整備事業につきましては、土地区画整理事業、都市公園事業、河川事業、下水道事業等、多くの事業がかかわっておることから、地元対策については市町村に、より積極的な対応をしていただきたいと考えております。特に鳥屋野潟の浄化の問題は、市民の雑排水問題と市の下水道対策が大きく関連しておりますので、市の協力が絶対的に必要と考えております。 次に、整備計画達成の見通しについてでありますが、現在の公共事業の抑制下におきましては、相当長期間を要するものと考えておりますが、事業の緊急性にかんがみ、なお一層事業の推進に最大の努力をしてまいる所存であります。 また、国の助成についてでありますが、現在鳥屋野潟整備の一環として行われております中小河川改修事業、河川環境整備事業、都市公園事業、下水道事業につきましては、いずれも国の補助を得て進められております。御提言のように、これからもできるだけ国の助成を得て、潟の整備を進めていきたいと考えております。 本県の老年人口比率は、今年4月1日現在12.4%と推計され、9月15日現在の全国推計値9.9%をかなり上回っております。このような本県の人口高齢化に適切に対応するためには、県政の全般にわたり長期的な展望のもとに、施策を総合的、体系的に推進していく必要がございます。そのため本年度は、まず民生部を中心に高齢化社会総合施策のあり方を検討することとし、本県における対策課題の選定、課題に対する検討計画の策定及び当面の課題に対する方向づけ等を行い、明年度以降、高齢化社会対策の具体化を進めることといたしております。 次に、高齢者に対するイメージの転換でありますが、高齢者の方々のうち、さまざまな形で社会の営みに参加している人は決して少なくございません。まして今後より多くの高齢者が健康で社会に貢献するようになれば、高齢者自身にとって好ましいことはもちろん、社会の活力を一層高めることになると思います。このためにも、高齢者を単なる被扶養者としてでなく、社会に対する積極的な貢献者としてイメージの転換を図る必要があると考えております。 また、生きがい対策の問題でございますが、健康である限り、働いて社会に貢献したいというのが国民すべての願いであります。このため、生きがいを主目的にした就業機会の拡大を図るシルバー人材センターの育成指導を初め、希望と能力に応じた仕事のあっせんを行います高齢者無料職業紹介所事業の拡充のほか、生きがいと創造の事業の推進、高齢者の社会参加の促進など、高齢者がより一層生きがいを持って充実した生活を送ることができるよう、その環境づくりに努めてまいる所存であります。 また、老人はできる限り住みなれた家庭や地域で生活することが最も望ましいわけでありまして、このためにはボランティア活動、家庭奉仕員の派遣事業、日常生活用具の給付を初め、入浴、食事、リハビリテーションなどについての施設サービス等、今後とも在宅福祉対策の充実を図ってまいる考えであります。 次に、困り事相談のシステムでありますが、住民の悩みや困り事の相談を受ける窓口といたしまして、昭和55年度から社会福祉事務所に社会福祉相談員を配置し、地域住民の相談に対応しているところであります。また、地理的条件や対象者の条件等で来所のできない人たちのために、専用の福祉電話を設置するなどいたしまして、住民の個別的な相談に応じる体制を整えておる次第であります。今後も社会福祉相談員の幅広い活用を推進するため、市町村の広報紙などを通じ、地域住民にこのシステムの徹底を図っていく考えでございます。 以上で答弁を終わります。   〔土木部長佐々木隆男君登壇〕 ◎土木部長(佐々木隆男君) 鳥屋野潟の浄化対策としてのヘドロのしゅんせつの実施についてでありますが、たとえ湖底でありましても、当該土地が民地であれば、土地の形状を変更することとなる河川工事の場合は、地権者の同意、所有権の取得により、河川管理者が権原を取得する必要があります。 また、フラッシングの今後の計画でありますが、当面は潟内の水脈筋しゅんせつに合わせ、信濃川からの浄化用水を導入して、水質改善を継続していく予定であります。その後につきましては、潟内全域のヘドロのしゅんせつの実施に合わせて、国及び関係市町村と協議し、阿賀野川等からの浄化用水導入も含め、実施してまいる予定であります。   〔生活環境部長山崎浩司君登壇〕 ◎生活環境部長(山崎浩司君) 家庭用雑排水対策に関する御質問についてでありますが、生活雑排水対策の推進に当たり最も肝要なことは、関係市町村が、共同処理施設の整備や家庭内浄化対策の推進等を含む生活雑排水処理計画を策定し、鳥屋野潟流域の住民の方々の御理解と御協力を得て、いかにその計画を実施することができるかにかかっていると考えております。 このため、県といたしましては、鳥屋野潟水質汚濁対策行政連絡会議内に早急に分科会を設置し、関係市町村等と十分に協議を重ねながら、この方向に沿いまして対策を推進していくことといたしております。   〔民生部長田中俊雄君登壇〕 ◎民生部長(田中俊雄君) ボランティア活動についてお答えいたします。 県内におきましては、各地域で住民の触れ合い、助け合いによりますさまざまな奉仕活動が行われておりまして、在宅老人福祉に関するものといたしましては、寝たきり老人等の食事、入浴及び身辺介助に16の市町村、40グループございます。それから、ひとり暮らし老人等の給食サービスに19市町村、24グループを初め、機能回復訓練介助、訪問看護、除雪の奉仕、理美容、マッサージ、はり・きゅう、友愛訪問等、幅広い活動となっております。 このような在宅ボランティアは今後ますます重要になってくると考えられますので、この推進母体でございます社会福祉協議会を中心に、地域における助け合いとボランティア活動を今後一層充実してまいりたいと考えております。   〔警察本部長斉藤隆君登壇〕 ◎警察本部長(斉藤隆君) 困り事相談等警察の対応についてお答え申し上げます。 まず実態でございますが、本県では、派出所、駐在所のほかに専門的な相談の窓口といたしまして、困り事相談所を各警察署と本部の防犯課に設置しているほか、電話による専門の相談窓口として、ヤングテレホン、暴力相談窓口等を設置いたしております。これらの専門窓口において取り扱いました昭和58年中の困り事相談の総件数は約6,500件でございまして、5年前のちょうど1.3倍に上っておりまして、その内容、増加傾向等も、先ほど来お話のありました全国的な傾向とほぼ同様でございます。このほか、統計はとっておりませんが、派出所、駐在所等の警察官が交通問題等で相談を受け、現場で解決したものが相当数あるものと思っております。 次に、警察の責務と困り事相談の関係でありますが、困り事相談は、それをそのまま放置いたしますと、刑事事件や自殺、家出などの悲劇を招くおそれがございますので、その前段で芽を摘む必要がございます。警察の責務は、警察法2条に明示されておりますが、困り事相談の処理は、このうちの人命、身体、財産の保護、犯罪の予防の範疇に入るものと考えております。 しかしながら、あらゆる相談がすべて警察自体で責任を持って解決できるかというと、おのずと限界があるのはもちろんでございます。したがいまして、警察では解決できない相談につきましては、それらの内容を所管いたしますそれぞれの関係機関や団体をお教えしたり、あるいは警察の方からそれらの機関に引き継ぐなどいたしまして、解決を図っているところでございます。近年行政機構が複雑になりましたために、相談先がわからないためにまず警察を訪れるという事例が相当数ございます。したがいまして、相談先の振り分けといいますか、交通整理的なことをやっておる側面もあるわけでございます。今後とも警察といたしましては、対応を誤らぬようにしながらも積極的に対処してまいりたい、かように考えておるところでございます。 ○議長(岩村卯一郎君) 金子一夫君の質問は終わりました。 次に、阿部信夫君の発言を許します。   〔阿部信夫君登壇〕(拍手) ◆阿部信夫君 既に各党、各会派代表者によって多くの質問が出されましたし、またそれなりに答弁もあったところであります。私のこれからの質問も、重複するところはたくさんあると思いますけれども、私は民社党の立場で、当面する県政の問題について質問いたしたい、このように考えております。 まず最初に、県財政についてお伺いいたします。 国の財政事情の悪化の影響を受け、緊縮財政を余儀なくされた県予算も、執行後半年を経過し、その動向が注目されているところであります。景気は、全国的に緩やかではあるが、回復途上にあると言われておりながら、県内景気は余りぱっとせず、むしろ本年に入ってから、業種を問わず企業の倒産が相次いで新聞報道されています。このことはまた県財政に無関係ではありません。県税収入の現状はどのようになっているのか、また、今後下半期の見通しは心配ないのか、あわせて知事からお答えをいただきたいと思います。 次に、予算に関係して、公務員の給与改定についてお伺いいたします。 人事院勧告の完全実施は、公務員のスト権の代償として、当然守られてしかるべきものであります。しかし、昨今の国の財政事情の悪化や政治的絡みもあって、その実施について凍結をしたり一部実施したりして、公務員給与の改定に当たっては、今日なお釈然としないものがあります。当初予算編成に当たって、わずか1%の財源措置が講ぜられてはおりますが、人事院は既に公務員の給与改定に6%を超える勧告をしております。これを完全実施することになれば、当然100億円に近い財源が必要となり、財調を全部取り崩しても賄い切れない額となるわけであります。知事は、これまでどおり国の方針、他県の動向などを勘案して対応をなさることと思いますが、公務員給与改定に臨む知事の決意とその財源対策について、どのような方針で臨まれるお考えなのか、お伺いしたいのであります。 また、第137号議案で明らかになった核燃料税の新設は、既に自治大臣の内諾を得ており、本定例会で承認されれば、正式に12月より条例施行となるわけであります。本税による収入は、知事が明らかにされたように、昭和60年度から64年度までの5年間に総額48億3,000万円程度と見込んでおられるようであり、その使途が注目されるところであります。知事は、この多額な核燃料税収入をどのように使われようと考えておられるのか、お伺いしたいのであります。 さらに、60年度国家予算の概算要求で、国は高率国庫補助負担率を一律10%引き下げる方針を打ち出しています。県はこれに伴う本県の影響額について発表しましたが、それによると、補助率50%以上について10%引き下げが実施された場合、59年度現計ベースで39億1,800万円で、このうち県分が17億9,800万円、市町村分が21億2,000万円と試算されることが判明しております。これらの本県への影響について、さきの全国知事会で絶対反対の緊急要望はしたが、10%の引き下げは実施されるだろうと、悲観的な所見を知事は発表しておられます。 さらにまた知事は、国が公共事業の補助金も対象にしたい動きがあることに対し、公共事業が対象となったら本県の影響額が140億円となり、財源手当てはできないことを指摘され、この動きに強く反対していく考えを示されました。国の財政事情が悪化している現在、やむを得ないことであるとはいえ、だからといって地方自治体の実態を無視するような態度に対しては、断固我々は反対していかなければならないと存じます。また、今定例会にも多くの陳情が出されており、その関心のほどがうかがえますし、特に、国民の福祉に関する一律カットは断じて許すことはできません。これら一連の国の動きに対し、県民生活を守るために、知事はどのような姿勢で今後対応されるのか、来年度の予算編成ともあわせ、その決意のほどをお伺いしたいのであります。 次に、県の機構改革についてお伺いいたします。 知事は、今月20日、庁議後の記者会見で、突如として県行政機構の見直し問題に触れ、上越と佐渡の両支庁の廃止について早急に検討する旨の方針を明らかにされました。事業見直し課や両支庁関係者にとって、まさに寝耳に水的発言として大きな波紋を投げかけられました。事務事業を見直し、効率的な運営を図り、もって県民生活へのサービスをより以上にしたいとする知事の姿勢は多とするものであります。本年度当初に、既に生活環境部と衛生部の来年4月からの統合が打ち出されており、今追い打ちをかけるように両支庁の廃止を発表されたことに対して、正直言って私は戸惑いを生じておるものであります。知事は、廃止に当たって、地域に絶対に迷惑をかけないと強い決意を示しておられますが、25年間にわたり地元とのパイプ役を果たしてきた両支庁並びに地域住民の感情は、むしろ逆に権限強化を望む声も出ており、今後論議が集中することは必至であります。 そこで知事にお伺いいたしますが、まず第1に、突如として両支庁廃止の方針を示された知事の意図は何であるのかお伺いしたいのであります。また、新聞報道によれば、事業見直し課から提言があった様子もなく、記者会見の席上、同席した県幹部も一様に驚きの様子であったやに聞いておりますが、知事は、以前から両支庁の廃止について検討する必要があるとお考えになっておられたのかどうか、あわせてお伺いいたします。 第2に、両支庁は、言うまでもなく、地方自治法第155条第1項の規定に基づき設置されたものであります。正式に提案されたわけではありませんが、今回その方針を示された以上、県条例の変更にかかわる大きな問題であります。したがって、無用な混乱を避けるためにも、ある程度事前の根回しが必要と考えられます。その意味から、議会側に事前に何らかの連絡があってしかるべき事項ではないかと私は考えるものでありますが、お考えをお伺いしたいのであります。 第3は、衛生部と生活環境部の統合についてであります。6月県議会でも若干の質疑があったところであります。新聞にも報道されているとおり、来年4月から統合が予定されているようでありますが、今定例会にも正式提案はなされておりません。具体的な統合計画案はいつごろになるのか、お伺いしたいのであります。 次に、鳥屋野潟対策についてお伺いいたします。 鳥屋野潟は、新潟市、亀田町、横越村にまたがる180ヘクタールに及ぶ面積を有し、早くから治水と汚濁の浄化、自然環境の回復、県立公園化等、県民、市民から要望のあったところであります。しかし、私有湖底地である鳥屋野潟は、地権争いが絡んで、県立公園化しようという県の整備計画も、せっかくの努力にもかかわらず、暗礁に乗り上げ、その対策が待たれているところであります。県は、54年、それまでの整備計画を見直したのに基づき、55年には、当時の川上新潟市長を会長とする鳥屋野潟整備計画推進協議会を組織し、君知事の諮問に対し、私有湖底地の全面積を区画整理方式による代替換地で公有地として整備に着手することを答申しましたが、川上市長の死去に伴い、せっかくの答申も宙に浮いた格好となっているのが現状ではないかと考えます。 こうした中で、世界的な湖沼の汚染に対応するため、去る8月28日から4日間、大津市で「84世界湖沼環境会議」が開催されましたが、鳥屋野潟は全国ワースト・エイトというひどい現況にあり、湖底にはヘドロが2メーターの厚さで積もり、200万立方メートルにも上るとされています。鳥屋野潟は、亀田郷の生活、工場、農業の各排水が栗の木川、通船川などから流れ込むほか、低水位で水がよどむ閉鎖性水域となっています。しかし、湖岸からのごみ投棄により、汚濁は一層進み、早急な対応が望まれるわけであり、きれいな水、魚のすめる鳥屋野潟に変身するには幾多の難問題が山積していることは事実でありますが、積極的な行政の取り組みを切に希望するものであります。 今定例会にも、関係地区自治連合協議会の名で、鳥屋野潟周辺の都市化が進む中で、潟の汚濁が問題となり、この浄化を求める陳情がなされております。県は、関係市町村と早急に連絡を密にした整備方針を樹立するため、最大限の努力をすべきではないかと考えられます。そこで、知事に幾つか質問をいたします。 第1は、私有湖底地の全面積を、区画整理方式による代替換地で、公有地として整備に着手するという答申を知事は堅持されているようでありますが、地権者との話し合いについて、今年度中に接触できれば前進とされていますが、およそのめどはいつになるのか、また、どんな方法で交渉に当たられるのか、お伺いいたします。 第2は、治水や水質汚濁、公園化が叫ばれてから今日まで、20年にもなります。知事は、事業を遂行するには、住民や関係市町村の協力がなければ達成できるものではないことを主張されています。そのとおりだと思います。しかし、鳥屋野潟周辺を公園化することは、県の積極的な姿勢が地域や関係市町村を動かす大きな要素でもあると私は信じます。したがって、私は、鳥屋野潟周辺の公園化はいつごろをめどに整備計画を進められるのか、お伺いいたします。 第3は、陳情書にもあるとおり、汚水流入防止対策、ごみの撤去及びごみ不法投棄の防止、浄水の誘流による浄化、堤防の整備等について、県としてどのようなお考えをお持ちなのか、これらの方針をあわせてお答えいただきたいと存じます。 次に、他用途利用米についてお伺いいたします。 他用途利用米につきましては、水田利用再編第3期対策から新たに制度化され、当県には国から転作等目標面積の9.3%、面積で約2,000ヘクタール、量で約1万トンが配分されましたが、その後市町村等から他用途利用米生産の枠を拡大してほしいという要望が出され、最終的に国の了解を得て、2,300ヘクタール、約1万3,000トンで取り組まれることになったと承知しております。  さらに、6月県議会において、県は、国への要望が受け入れられたことから、いわゆる青刈り稲から他用途利用米への移行措置を検討することを約束し、市町村長の意向を尊重する形の中でそれを実行され、その結果、最終的には青刈り稲の約半分が他用途利用米に移行し、3,700ヘクタール、1万7,000トンの生産に拡大されたとのことであります。このことは、転作の枠内で実施されるものであり、また、青刈りするよりも所得に結びつくことなどから考え、理解のできる適切な措置であったと高く評価しております。 問題はその後の経過であります。いわゆる53年産米の臭素残留問題に端を発して、国が韓国への貸付米の返還を決めたことから、農業団体は強く反発し、御承知のように輸入の即時撤回、60年の転作面積の縮小、他用途利用米の主食用への買い上げを政府に要求し、これらが受け入れられなければ他用途利用米の契約はしない、昭和60年の転作には協力しないことを決定し、これを59年産米の米価要求と絡めて運動したことは、承知のとおりであります。 これに対して、国は、主食用買い上げに伴い不足する加工原材料用米の輸入もあり得るとしながらも、最終的には、59年産他用途利用米については、一定の条件下で希望者につき主食用に転用する。これに伴い不足する加工原材料用米については、農協がその自助努力によって農家保有米等を集荷することにより充当する。なお、その数量等については、今後政府、農協間で協議の上決定することで決着したところであります。 その後、加工原材料用米の数量等について、政府と農協との間で協議が行われ、数量については全国で20万トンと決まり、加工原材料用米の確保についても、全国農協中央会は目標を定めて集荷することを決定し、これを受けて、本県農協米対策本部は、他用途利用米を主食用に転用した農家は、自家保有米等で集荷目標数量を達成するよう最大限努力する、これが困難な場合は、行政の協力を得て、他用途利用米契約数量の80%を加工原材料用米として出荷することを申し合わせ、農協中央会長みずからが知事に対して行政からの協力を陳情するとともに、現在、農協等と行政が一体となって農家を説得しながら、必要量の確保に努力中であると聞いています。 これらの経過を見ますと、一度は主食用への転用を農家が希望すれば全量主食買い上げが行われるという期待を抱かせながら、結果としては、最低でも他用途利用米のうち21.5%が主食用に転用されることになったということであります。このようにして他用途利用米が米価決定時から今日まで大きく揺れ動いたことは、今年度の加工原材料用米の確保を初め、明年度への影響が懸念されるところであり、これまでの思惑や混乱を収拾し、水田利用再編対策の中に他用途利用米制度をしっかりと位置づける必要があるものと私は考えます。そこで、このような観点から、次の事項について知事並びに関係部長にお伺いいたします。 第1は、農業団体の行政協力の要請に対し、県はどのように市町村を指導し、これに対し市町村はどのように対応したのか、お伺いいたします。また、契約後の具体的な事務手続や集荷方法等はどうなるのか、主食用へ転用されたものも転作カウントされるのか、お伺いいたします。さらにまた、明年度の他用途利用米制度は、今年度のスタートと同じようになると考えてよいのか、お伺いしたいのであります。 次に、水田利用再編対策についてお伺いいたします。 今年度からの第3期対策においては、奨励補助金の基礎額が減額され、新たに他用途利用米や在庫積み増しが制度化されるとともに、カウント制度の拡充など制度の見直しが行われた一方で、先ほど申し述べましたように、新設の他用途利用米の取り扱い変更問題などがあったため、これらが今年度以後の実施に微妙に影響したのではないかと懸念いたしておるところであります。そこで、農林水産部長にお伺いいたします。 第1は、今年度の転作の目標達成率は最終的にどの程度になると考えておられるのか。あわせてまた、未達成市町村は昨年より増加しないかどうかについてお伺いいたします。 第2は、県はポスト3期をにらみ、転作の定着化を図るため、転作田の集団化や高度利用によって収益性を高めることを指導するとともに、収益に結びつきにくい青刈り稲や保全管理を極力少なくする運動を展開されておりますが、その指導の成果についてお伺いいたします。 第3は、さらに現在麦の播種が始まっておりますが、農家から、来年度の目標面積はどのくらいになるのかと質問を受けます。確かに目標面積緩和の背景は幾つかありますから、当然のことと思います。国は、ことしの豊作を盾に、緩和したとしても小幅であるとの考えが最近報道されていますが、県はどのように考えておられるのか。また、配分の時期を早めてほしいという要望が強いわけでありますが、いつごろになると考えておられるのか、お伺いしたいのであります。 次に、米の問題に関連して、米の不正規流通、つまりやみ米対策についてお伺いいたします。私がこの問題を定例会で取り上げるのは、実はこれが3回目であります。時期が時期ですので、あえて質問いたします。 今さら私が申し上げるまでもなく、食管法の目的が、国民の主食である米について、政府が全量管理することによって、安定生産、安定供給を図ろうとするものである以上、食管法にとってがんのような存在がいわゆるやみ米であり、これを放置した場合、政府の管理機能が低下し、ついには制度そのものの崩壊につながることは明白であります。したがって、米の過剰、不足にかかわらず、食管法を守るため、流通適正化のための対策には地道に取り組んでいかなければならないと考えるものであります。米の供給がゆとりのあるときであっても、米の全量を正規ルートで流通させ、政府管理のもとで質量ともに安定した供給を行うことの必要性は全く変わらないわけであります。 そこで質問いたしますが、第1に、一般にやみ米の流通量は全国で200万トンから300万トンと言われており、流通ルートもかなり複雑なようであります。昨年の本県の米の生産量は約74万トンであり、集荷が約57万トンですから、その差17万トンくらいが農家の保有米の量ということになります。このことは、農家人口からして多過ぎるのではないかと考えられます。したがって、ある程度の米は、残念ながら必ず流通しているのではないかと考えられます。やみ米防止策の前提となるやみ米の流通量及び流通ルートについて、県としてどのように把握し、対策に当たっておられるのか、お伺いしたいのであります。 第2は、去る9月8日深夜、津川町で今年最初の路上取り締まりが実施されたことが報道されましたが、その後県内各地でも引き続き実施されているようであり、関係機関挙げて取り組んでおられる熱意に対し、その御苦労を多とするものであります。私は、こうした取り締まりの必要性とともに、これら未然防止のための対策の必要性を痛感するものであります。やみ米の発生がなければ、取り締まりは必要ないわけであります。やみ米の根絶は極めて難しい問題でありますが、農家も関係者も、やみ行為をやることはみずからの首を締めることになるということを啓発するような対策を講ずべきであると思うのでありますが、県としてはどのような考え方で不正規流通防止対策を行っているのか、また、どのような内容、方法で実施しているのかお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔知事君健男君登壇〕 ◎知事(君健男君) まず、県税収入の見通しでありますが、8月末の県税の調定状況は、県税全体で対前年比108.4%、法人事業税114.3%、法人県民税115.7%と比較的好調に推移しております。これは、景気回復に伴う、特に3月決算の比較的大手法人が好調であったことによるものであります。そこで、下半期の見通しでありますが、今後申告される法人には、県内の比較的中小規模の法人が多く、これにつきましては大手の法人ほどには回復していないものと考えられますので、県税の伸び率も現在よりは低下するものと考えております。 次に、給与改定についてでありますが、人事委員会の勧告を完全実施できなかったことは、まことに残念なことと考えております。本年度の人事委員会勧告につきましては、できるだけ尊重したいと考えておりますが、勧告がなされた後、政府の方針及び他都道府県の動向なども慎重に見守りながら対処してまいる所存であります。なお、人勧実施のための財源確保につきましても、厳しい財政事情ではありますが、努力をする所存であります。 核燃料税の使途につきましては、法的には使途に制限のない一般財源でありますが、本税創設の趣旨にかんがみまして、財政状態の許す限り、地元市町村の区域内における財政需要に対しまして、優先的に充当する方向で検討いたしたいと考えております。 国の高率補助負担率の一律カットの問題につきましては、これまでも答弁いたしましたが、このようなやり方での地方への負担は容認できないことと考えております。来年度は、地方財源不足額の圧縮によります財源対策債の大幅な削減が考えられますとともに、公債費等の義務的経費も大幅に増加する見込みとなっております中、さらに国の補助負担率のカットが行われますと、本県を取り巻く財政環境はかなり厳しくなるものと考えておりますので、全国知事会あるいは本県選出の国会議員の方々を通じまして、強力な反対運動を展開してまいりたいと考えております。 次に、支庁廃止の問題であります。再々申し上げておるところでありますが、私は、行政機構は時代の変化に適合した弾力的運用を忘れてはならないものと常日ごろ思っておりますし、支庁問題につきましてもかように考えていた次第であります。両支庁に係る組織改正につきましては、いずれ成案を得た上で議会にお諮りいたしたいと考えておりますので、よろしく御理解と御協力をお願いいたしたいと思います。 支庁長に権限を強化すべきであるとの御意見でありましたが、現在でも中越地区並びに下越地区との関係で、権限は与えられておりません。ましてやこの権限を強化するならば、全県的な行政の整合性の関係上、大きな支障をもたらしかねないものであります。現在のような縦割り行政の場合には、不可能に近いと考えております。 また、衛生部と生活環境部の統合計画案につきましても、目下具体案づくりを事務的に詰めさせておるところであり、できるだけ早い時期にお示しいたしたいと考えております。 次に鳥屋野潟対策でありますが、まず、土地区画整理事業についての地権者との話し合いの時期と方法についてでありますが、鳥屋野潟整備計画について、県民の理解が一層得られるように努めながら、時期としては今年度末を目途としております。また、地権者との対応につきましては、今後新潟市と十分協議の上進めてまいりたいと考えております。 また、鳥屋野潟周辺の公園化の目途についてでありますが、現在公園事業を進めておる潟の周辺26ヘクタールのうち、南西部の約6.6ヘクタールについて、昭和60年度末に供用する予定であります。 いずれにいたしましても、鳥屋野潟問題は、市町村の全面的な協力体制のもとに、県といたしましては強力に推進いたしたいと考えております。 次に、他用途利用米に対する行政指導につきましては、去る8月30日、県農協米対策本部では、中央段階での決定を受けて、他用途利用米を主食用に転用した農家は、農家保有米等で加工用米の集荷目標数量、全国20万トンでありますが、本県は1万3,332トンであります、を達成するよう最大限努力すること。及び、第2に、これが困難な場合、行政の協力を得て、主食用へは約2割とし、残りの8割は他用途利用米のまま出荷することを内容とする方針決定を行いまして、県に対して協力の要請を行ってきたところであります。 この要請に対しまして、県といたしましては、本年の極めて特殊な事情の中で、やむを得ないものと考え、市町村に対しましては、9月4日付で農業団体の行います集荷努力に対する理解と協力を文書で要請したところであります。これを受けた市町村では、制度がスタートした途中での方針変更に戸惑いは見られたものの、大方の理解は得られたものと考えております。現在、県、市町村も協力する中で、農協等が中心となって加工用米の集荷対策が行われており、これまでに把握したところでは、県全体でおおむね目標数量に近い線は確保される見通しとなっております。 なお、詳細については農林部長から答弁させます。   〔生活環境部長山崎浩司君登壇〕 ◎生活環境部長(山崎浩司君) 生活環境部関係の鳥屋野潟浄化対策についてお答えいたします。 汚水流入防止対策につきましては、まず、汚濁負荷の最も大きい生活雑排水につきまして、鳥屋野潟水質汚濁対策行政連絡会議内に早急に分科会を設置し、関係市町村等と十分に協議を重ねながら、今後実施すべき具体的対策を検討していくことといたしております。また、事業場排水につきましても、浄化対策の推進をあわせて検討しているところであります。 なお、具体的なごみ処理対策につきましては、地元市町村の業務と考えておりますが、鳥屋野潟の環境浄化に対する住民意識の啓発を図るため、関係市町村等と共同でごみの一斉回収や講演会を実施するとともに、ごみの不法投棄防止に関しましても監視強化に努めることといたしております。   〔土木部長佐々木隆男君登壇〕 ◎土木部長(佐々木隆男君) 鳥屋野潟の水質浄化対策等についてお答えいたします。 水質浄化対策につきましては、当面は信濃川からの浄化用水の導入を継続して、潟の水質改善を図ってまいります。将来は、国及び関係市町村と協議し、阿賀野川等からの浄化用水の導入を実施してまいる予定であります。 なお、鳥屋野潟の堤防の環境整備につきましては、県単事業で対応し、また、治水対策といたしましては、緊急性のある親松排水機場の増設のための導水路拡幅の用地買収を進めていく予定であります。   〔農林水産部長山田稔君登壇〕 ◎農林水産部長(山田稔君) 他用途利用米の契約後の具体的な事務手続につきましては、現在、食糧庁と全国中央会が、集荷業者ごとに加工原料用米の集荷計画を作成いたしまして、現地で混乱が生じないように集荷の指導に当たっております。 また、転作のカウントにつきましては、当初の他用途利用米の一部が最終的に主食用に移行する部分も含めまして、転作の扱いになるのは確実であります。県でもそのように現在事務を進めております。 さらに、他用途利用米制度の来年度の見通しにつきましては、公式文書ではございませんが、農林水産省の農蚕園芸局と食糧庁から、制度そのものは来年度も現行のまま存続するというふうに知らされているところでございます。 次に、今年度の転作目標達成率と未達成市町村の見込みについてでございます。 お話にもありましたように、今年度はいろいろの問題がございましたが、現時点では、今年度の転作等の基本目標面積、2万820ヘクタールでございます、この市町村への配分に対しまして、実施見込み面積は2万1,510ヘクタールでございまして、目標面積の103%と全国並みの達成率が予定をされております。この達成率は、最終的にも大きく変わることはないものと考えておりますが、各農家の方々の御努力、市町村長を初めとする関係機関の適切な御指導によるものと感謝をいたしておるところでざいます。 また、未達成となる市町村数でございますが、57年度は7市町村ございました。昨年度は5市町村でございました。本年度の見込みは3ないし4市町村に減少する見込みでございます。 次に、転作の定着化の指導でございます。 これまでの転作の中身を見ますと、農家経営の中に組み込まれて、経営内に定着している事例が各地に見られる一方では、収益に結びつきにくい青刈り稲や保全管理、休耕田の合計が、昨年度でも転作総面積の約3分の1、7,400ヘクタールも占めておりました。そこで、本年度からスタートいたしました第3期の対策の最大の課題であります転作の質的向上と定着化を計画的に推進するために、県と市町村は、具体的な到達目標などを内容といたします基本方針を策定しながら、関係機関が機能的に役割を担い、鋭意推進してきたところでございます。 現在、本年度の転作などの実施状況を取りまとめ中でございますが、まず第1には、青刈り稲と水田預託(保全管理)、いわゆる休耕田でございます、これは前年度に比べまして、他用途利用米の生産が制度化されたことなどもありまして、50%ないし60%も減少する見込みでございます。しかしながら、転作の質的な内容の一つの指標であります、いわゆる団地化、集団化の加算の対象となります数量はまだ不十分でございまして、今後制度の仕組みや内容などの周知徹底を図りながら、60年度には加算対象面積をさらに拡大するように、取り組みを強化をしてまいりたいと考えております。 次に、明年度の転作などの目標面積の見通し、配分の時期等でございます。 韓国米の返還問題が表面化いたしました際に、農林水産大臣の談話が出されまして、相当数の緩和の量が期待をされたところでありますけれども、本年産米の作柄が全国的に豊作がらみに推移をしていることなどから、最近はにわかに慎重にすべきとの動きが出ておるところでございます。国の考え方は、面積の緩和はするものの、極めて小幅であるという感触を受けているところでありまして、こういった国全体の情勢を踏まえながら、本県といたしましては、良質米生産県への傾斜配分を中心にいたしまして、今後とも国に働きかけをしてまいりたいと考えております。 目標面積の配分の時期でございます。できる限り早期に大枠でも示してもらえるように、今後とも重ねて国に要望してまいりたいと考えております。 最後に、やみ米対策についてでございます。 やみ米の流通量についてでございますが、正規の業者が関与をしているもの、あるいは、いわゆるやみ業者、それから加工用の業者などが関与するものなど、複雑な流通ルートがございまして、その量も全国で200万トンから300万トンに上ると言われております。事柄の性質上、正確な実態把握が難しい面があるわけでございますが、県といたしましても、過去に摘発をした事例あるいは関係資料などから、本県内でも、一般に言われている程度の量、すなわち約3万トン前後は正規ルートを外れて流通しているものと推計いたしております。 また、不正規流通防止対策の考え方につきましては、国民の主食であります米の安定生産、安定供給という重大な使命を有する食管制度の安定的な運用を図る観点から、各種の対策を実施しているところでございまして、不正規流通を放任した場合、政府による管理機能が低下をし、最終的には制度そのものの崩壊のおそれもありますので、米の過剰、不足のいかんを問わず、流通適正化のための対策は不可欠であると考えております。 お話の路上取り締まりにつきましては、一昨年の食管法改正以来、県警本部の御協力もいただきながら、食糧事務所と合同で、例年この時期に実施をいたしているものでございまして、本年も既に3回実施をいたしました。これまでのところ、幸いにも路上検問による直接的な摘発事例は生じておりません。しかしながら、路上取り締まりの状況が新聞、テレビ等で報道されたこともございまして、一般人からの警察への通報によりまして摘発をされた事例が2件ございます。現在、その事件の引き継ぎを食糧事務所及び県が受けまして、調査を進めているところでございます。 以上でございます。 ○議長(岩村卯一郎君) 阿部信夫君の質問は終わりました。   ――――――――☆―――――――― ○議長(岩村卯一郎君) これにて本日の一般質問は終了いたしました。   ――――――――☆―――――――― ○議長(岩村卯一郎君) お諮りいたします。 次会は、明10月3日午前10時から開くことにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(岩村卯一郎君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   ――――――――☆―――――――― ○議長(岩村卯一郎君) 本日の議事日程は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 △午後4時50分散会...